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「バタリアン」シリーズ


バタリアン (原題:RETURN OF THE LIVING DEAD)

アメリカ1985年度作品

ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の続編として作られた作品。
といってもジョージ・A・ロメロは参加しておらず、監督・脚本は「エイリアン」の脚本家だったダン・オバノンが「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」への敬意をたっぷり込めて制作したホラーコメディとなっています。

医療研究用の死体などを扱う会社の地下室に保管された古びたタンク。
この中には「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の基となったある事件で捕らえられたゾンビの標本が収められていた。
従業員のフランクとフレディが面白半分でタンクを叩くとガスが漏れ出し、中のゾンビが目覚めてしまう。。。

今じゃ「ドーン・オブ・ザ・デッド」以降、走るゾンビが当たり前となりましたが、最初に走らせたのは「バタリアン」だったと思います。
それまではノソノソ歩くのが当たり前だったのが、全力疾走で追いかけてくる姿に大爆笑しましたね。

走る以外にもゾンビの常識を覆したのが、脳を破壊しても死なない事。
バラバラにしてもパーツごとで生きる続けるほどの生命力で、もはや人間に勝ち目はありません。
さらには焼却すると天に昇った煙が雨となって地上に降り注ぎ、墓地に埋まった死体を生き返られてしまうという性質の悪さ。
数あるゾンビものの中でもバタリアンは最強かもしれません。

ブラックユーモアのセンスも最高でした。
「ゾンビは脳を破壊すれば死ぬ!」と脳天にツルハシを打ち込んでも大暴れ。
じゃあ首を切り落とそうとノコギリでゴリゴリ切ったら、切られた頭は口をパクパク、顔を失った体は棚にドカンドカンぶつかりながら大暴走!
あと、個人的にホラー映画史上に残る名シーンだと思うのが、ゾンビになった自分を悲観して自ら焼却炉に身を投じるシーン。
哀愁を漂わせながらも爆笑させてくれました。
他にも医療資材屋の社長、葬儀屋のおっさんのキャラもツボなんですよねえ。

日本公開時は、各ゾンビのキャラクターにオバンバ、タールマン、ハーゲンタフといった愛称がつけられていて日本でも話題になりました。
名前は日本の配給会社のイタズラですけど、ゾンビもそれぞれキャラがしっかり立っててインパクトがありました。

今考えると、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を題材としたコメディ「バタリアン」と、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の正当な続編「死霊のえじき」が同時期に公開されたのが興味深いですね。

 


バタリアン2 (原題:RETURN OF THE LIVING DEAD 2 )

アメリカ1988年度作品

ダン・オバノンの手を離れ、完全にテンションダウンした続編。

今回もやはりゾンビが収められたタンクが発端で、軍用車で輸送中に橋の下に落下。
見つけた悪ガキがいたずらしてたらガスが漏れ出して街中ゾンビだらけになってしまいます。
物語の中心は少年とその姉と彼氏。
最後はゾンビを変電所に集めて全員感電させて一件落着。…ってゾンビ映画としてどうなの?
前作では何しても死ななかったのに、電気が弱点だったんだ!?

あと、なぜか前作でゾンビ化したはずのジェームズ・カレンとトム・マシューズが墓荒らしとして再登場しますが、特に盛り上がりもなく終了。
ファンサービスかもしれないけど、まあ扱い方が中途半端で何させたかったのかよくわかりませんでした。

主人公が子供なのもキッズムービーっぽくて大人が乗り切れない一因。
内容がソフトになってるし、中高生あたりを狙ったお子様ホラーに方向転換したのかなあ。
ユーモアにはキレも毒も無く、作品全体のスケール感も大幅にダウン。
特殊メイクはゴアシーンこそ控えめですが、上半身と下半身が真っ二つになるゾンビとか、マイケル・ジャクソン風ゾンビとか、所々に見所もあったのに活かされていなくて惜しいです。

ただサントラはロック系アーティストが名を連ねるホラー映画にしては豪華な内容。
ロバート・パーマー、アンスラックス、ジュリアン・コープ、レザーウルフなど。ラモントが歌ったテーマソング「
Flesh to flesh」もなかなか格好いいです。



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