アメ車マニア


エイリアン(原題:ALIEN)

1979年アメリカ映画


貨物運搬宇宙船ノストロモ号は地球へ向けて宇宙を航行していた。
近くの惑星から発信される電波を受信し、会社の命令で調査へと向かう事になる。
到着した惑星で発信源へと向かうクルーたちが目にしたのは、大昔に放置されたと思われる巨大な異性人の宇宙船だった。
宇宙船の砲座には、胸に穴が開いて息絶えた異性人の遺体が、化石化した状態で横たわっている。
そして砲座のすぐ横には穴が開いており、そこからクルーのケイン(「エレファントマン」のジョン・ハート)が船内へと入っていくと無数の卵らしき物体が並んでいた。
その中の一つを覗き込んだとき、卵から飛び出した何かがケインの顔に飛びついた!
顔に異物を付けたまま意識を失ったケインはノストロモ号に運び込まれるが…

以上が導入部分です。
SFホラーの金字塔ですから見た事がある人も多いと思われますが、ストーリー紹介は一応ここまでで止めておきます。

監督リドリー・スコットの暗黒の美学が炸裂した映像が圧巻です。
悪趣味と美をギリギリのラインで融合させたエイリアンや宇宙船のデザインはスイスの画家H・R・ギーガー。
性器などをモチーフとした独特のデザインは有機質と無機質を組み合わせた独自の世界観を構築。
機械である宇宙船を有機的に、生物であるエイリアンを無機的にデザインしたのは何ともお見事です。不気味で仕方が無い。
エイリアンの造形は後のシリーズに登場するものよりもヌメヌメしており、デザインはこの一作目が一番だと思います。
長い頭をゆっくりもたげるシーンなんてゾクゾクします。
このエイリアンヘッドを作り上げたのは、モンスタースーツ(着ぐるみ)の第一人者カルロ・ランバルディ。
ギーガーのデザインを再現した「シャーーーーー!カプッ!」というあの口を作ったのもこの人。
あの口のアップと唇をめくり上げるエイリアンの表情は夢に出てきそう。
成体以外の形態でもインパクトは絶大で、フェイスハガーが顔に張り付いた姿や、胸を突き破って出てくるチェストバスターも印象は強烈です。

メカニカルなコンセプトデザインを担当したのはロン・コッブ。
ジョン・カーペンターの「ダークスター」の宇宙船、「スターウォーズ」のカンティーナのエイリアン、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシン化されたデロリアンなどをデザインした人です。

脚本はこちらもジョン・カーペンターの学友でもあったダン・オバノン。
「ゾンゲリア」の脚本や「バタリアン」の監督、脚本家としても有名ですね。

「エイリアン」シリーズ、「エイリアン2」は銃火器だらけのSF戦闘アクション、「エイリアン3」は刑務所惑星という閉鎖空間で武器も無しに戦うという迷走作品、「エイリアン4」は大人向けダークファンタジー風味と、作品ごとに色が全く違うのが特徴。
でもやはりシリーズ中最高傑作と言えるのはこの1作目だと思います。
「エイリアン2」のように無数のエイリアンが出てくる訳ではなく、たった1匹のエイリアンと戦うのですが、じっくりと戦いを描いたおかげでその恐怖感といったら大変なものです。
SFホラーの最高傑作は間違いなくこの「エイリアン」1作目でしょう。
異性人の中でもこいつが最強!と痛感させられます。

現在は「エイリアン・ディレクターズカット」というバージョンも存在しています。
意識して見比べて見ると細かいシーンが増えたり減ったりしてるのですが、最も大きな変更点が、トム・スケリット演じるダラス船長とハリー・ディーン・スタントンがエイリアンに捕らえられ、壁に貼り付けられているシーン。
「エイリアン2」でも同様のシーンがあり、卵の中のフェイスハガーに襲わせ、幼虫(チェストバスター)のホストとされるという設定でした。
ところがこの1作目の舞台はノストロモ号船内であり、卵も無い、フェイスハガーもいない、エイリアンクイーンも居ない状況。
この状況で船員を捕らえるのにはどういう意味があったのでしょうね???
単なる習性なんでしょうか?意味の無いことに手間を掛けるような頭の悪い生物には見えないんですがね。。。
とうことで、個人的には劇場公開版の方がすっきりと見終われるのでお勧めです。
ちなみにDVDで「ディレクターズカット」を所有していますが、これに「劇場公開版」も収録されています。
これならDVDでも充分!と思わせる高画質も素晴らしいです。

     


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