アメ車マニア


悪魔の墓場(原題:LET SLEEPING CORPSES LIE)

1974年イタリア・スペイン合作映画


まず最初に、語り尽くされた部分ですが、この作品の基本情報を書いておきます。

【1.ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の亜流作品である】
【2.日本では「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が劇場公開されず、「ゾンビ」より先にこの「悪魔の墓場」が劇場公開されたため、一時は近代ゾンビの元祖と勘違いされていた】
【3.日本公開時はウォーホールの「悪魔のはらわた」、トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」と共に悪魔三部作として宣伝された(もちろん3作とも無関係な作品】
【4.後半に登場する頭部包帯&腹部縫合痕のゾンビがいい味出してる】

以上。

イタリア・スペイン合作という事で、見るまではルチオ・フルチ系の軽いノリのスプラッターをイメージしていました。
舞台は南国?ニューヨーク?と思ってたら予想に反してイギリス。
ロンドンタクシーや二階建てバスが走る都市部から始まり、スタイリッシュな映像と音楽に乗せて舞台は田園風景が広がる郊外へ移動。
古城のような建物や古めかしい街並みからはイギリス製ゴシックホラーのような重厚なイメージが漂います。

お話は、その田園の中の一軒の農場が、新型の害虫駆除マシーンを稼動させた事により、周辺の遺体を甦らせてしまった事から始まる騒動を描いています。
世界規模の惨事となるロメロゾンビとは違い、主人公の周辺のみに起こった死人蘇生事件という点がまた往年の怪奇映画的な雰囲気を高めているように思えます。
しかしゴシックホラーと明らかに違うのは、やはりマカロニゾンビ映画の流れを汲む残酷描写。
後の「ゾンビ」などと比べれば若干大人しい描写に見えるかもしれませんが、ネタ元の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」と比べたら遥かにきわどいグロ描写が満載。
内臓を引きずり出し、それを貪り食うゾンビの姿は、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」よりも「ゾンビ」に近いです。
またイタリアらしいのは、そのえげつなさ。
女性のブラウスを引き裂き、露わになった乳房を握り潰して引き千切る。。。
何でそこまでやるかな…と若干引かせるのがイタリアゾンビの真骨頂ですね。

「ゾンビ」ほどのアクションシーンは無いが「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」よりはリズミカル。
イタリアの血が入っているのにイタリアンホラーであることを忘れる(グロシーンで思い出すけど)。
亜流作品でありながら独自性もある。正直、予想外に楽しめると思います。

しかし「悪魔のはらわた」も「悪魔のいけにえ」もひどい邦題ですが、「悪魔の墓場」って。。。
墓地なんて一瞬しか出てこないし。
おまけに無関係の作品に似たタイトルを冠してシリーズ化してしまうとは。
日本の配給会社の逞しい商魂にはいつも度肝を抜かれますねえ。


<ゾンビランド> <リストへ戻る> <セクシー・キラー リベンジ・オブ・ザ・デッド>