アメ車マニア


悪魔の棲む家 (原題:THE AMITYVILLE HORROR)

1979年アメリカ映画


70年代を締めくくるオカルト映画です。
テレビでも何度も放映されていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

一家の長男が両親や兄妹を惨殺したという過去を持つ豪邸を、曰くつきである事を承知の上で格安購入したラッツ夫妻。
子供たちと共に、この湖畔の豪邸へと引っ越してくる。
しかしハエが異常発生したり、突然窓が閉まって子供の指を挟んだりと、不可解な事件が連発。
やがて夫ジョージを幻聴や幻覚が襲うようになり、徐々に精神のバランスを崩していく。
家に異常な力を感じた妻キャシーは神父にお清めを依頼するが、ハエの大群が神父を追い払ってしまう。
キャシーは図書館で過去の事件を調査すると、家族を惨殺した男はジョージと瓜二つの姿をしていた。
その頃、家では霊感の強い女性が訪れ、家の地下室の壁の中に隠し部屋がある事をジョージに告げる。
ジョージが壁を壊すと、内部は壁を真っ赤に塗った小部屋が出現する。
そこが霊界との繋がる部屋だという事が分かる。
その頃キャシーは図書館から自宅へと戻っている途中だった。
家ではジョージが一心不乱に斧を研いでいた。
幻覚に襲われているジョージは子供たちに襲い掛かる。
しかし間一髪のところでキャシーが止めに入り、我を取り戻すジョージ。
家族揃って家を捨てる覚悟をするが、家も家族を逃がすまいとドアを自ら閉ざしてしまう。
しかしガラスを破り、車に乗り込んだ家族は家を後にする。
ところが、愛犬がいない事に気付いたジョージは、家族を車内へ残して一人家へと戻っていく。
愛犬の気配を感じたジョージは地下室へ降りていくが、階段が抜け、そのまま赤い部屋へと落下。
赤い部屋の中には黒い液体で満たされた井戸が口を開けており、ジョージはその中へ落ちてしまう。
霊界へと引きずり込まれそうになったジョージの袖を愛犬が引き上げ、命からがら家族の下へと向かうのだった。

実話がベースという触れ込みでしたが、実際には殺人事件のあった家に引っ越したのは事実。
悪魔に襲われたというのは本にして金儲けするための嘘だったとか。。。

子供の頃に見た時の印象はとても強く、非常に怖い映画だという印象でした。
また監督のスチュアート・ローゼンバーグはポール・ニューマンの「暴力脱獄」、ロバート・レッドフォードの「ブルベイカー」や「マシンガン・パニック」など、社会の暗部を描く点で定評のあった人です。
暫く後になってからそんなウンチクを得て、なるほど、だからあんなに怖かったのか~。と妙に納得したものでした。

と・こ・ろ・が…大人になってから見直すと何かおかしい。全然怖くない。
「エクソシスト」「オーメン」などと肩を並べるオカルト映画の代表作だと思ってたのですがとんだ勘違い。
まさに子供騙しのお化け屋敷ものでした(笑)

まず映像表現が稚拙。
窓の外には赤い電球を2つ並べただけと思われる赤い眼。
その赤い目の正体は猪のような怪物。(悪魔の正体?)
地下室の赤い部屋は壁のブロックと天井と床のコンクリートを赤く塗っただけで仕掛けは何も無し。
その床が崩れて現れる井戸は海苔の佃煮みたいな黒い液体で満たされているだけで、それが何なのかも明かされない。

赤い壁を見てギャー!なんて普通騒がないでしょ。
普通なら、前の住人は赤が好きだったのね、程度の反応では?

でもね、家のデザインとか、昔そこでインディアンがいたぶられたとか、悪魔の本に悪魔の聖地としてその家のイラストが紹介されてたりとか、ちょっとゾクッとさせる部分もあるんですよ。
そういう設定を活かしきれていないのが勿体無い。
きっと子供の頃に見て印象に残ったのは、そういう細かい演出から感じたものだったのかもしれませんねえ。

社会派監督もホラー映画のツボは理解していなかったようで、ちょっと残念さの残る一本です。

それにしてもジェームズ・ブローリンの顔は恐い。。。(最近は息子のジョッシュ・ブローリンが活躍してますね)



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