アメ車マニア


「エクソシスト」シリーズ


エクソシスト (原題:THE EXORCIST)

1973年アメリカ映画



以前書いたレビューがいい加減だったので書き直し。
とは言っても、ストーリーなんか書いたってこの映画の本当の怖さは伝わらないんですよ。
だからストーリーは「12歳の少女リーガンに取り付いた悪魔バズズと、神父たちとの戦いを描いている。」で充分。
ホラー映画という枠に収まりきらない名作なので、もしも見ていない映画ファンが居るならとりあえず見ておいた方がいいですよ。

監督は「フレンチ・コネクション」のウィリアム・フリードキン。
脚本は原作者でもあるウィリアム・ピーター・ブラッディ。
特殊メイクは現代の特殊メイクの礎を築いた第一人者、ディック・スミス。
「ゴッドファーザー」ではマーロン・ブランドを、「アマデウス」ではF・マーリー・エイブラハムを、この「エクソシスト」ではマックス・フォン・シドーを老人に化けさせました。
1985年の「アマデウス」では1980年から設けられたアカデミー賞のメイクアップ賞を受賞。
もっと早い時期からメイクアップ賞が設けられていたなら「ゴッドファーザー」も「エクソシスト」も受賞してたでしょうね。
そして美しくも悲しく恐ろしいテーマ曲「チューブラーベルズ」も素晴らしいです。


出演は少女リーガンにリンダ・ブレア、メリン神父がマックス・フォン・シドー、カラス神父がジェイソン・ミラー。
冒頭、メリン神父がイラクの遺跡から悪魔バズズの像を掘り起こしたのを発端に、後半の神対悪魔の戦いへとなだれ込んで行きます。
遺跡でバズズの像と向き合うメリン神父の姿がまあ格好いいこと!
やがて訪れる壮絶な戦いの時を予感しているかのようなシーンです。
メリン神父は過去にも悪魔祓いの経験があるベテランの老神父ですが、健康状態が思わしくなく、薬に頼ってどうにか生きているような状態。

そんなメリン神父の補佐役として悪魔祓いに立ち会うのが若いカラス神父。
カラス神父は元々信仰への迷いがあったが、母親を亡くした事でさらに神への忠誠が揺らいでいます。
彼の元へ、娘の周辺に起こる怪現象の相談にリーガンの母親が訪れるのです。

そして問題のリーガン。
子役ながらリンダ・ブレアの演技にはひたすら圧倒されます!
彼女の演技でどれだけ大勢の大人が絶叫し、ヒィヒィ泣かされたことでしょうか。
冒頭の純真さを残した少女が、悪魔に憑かれた途端、全くの別人に変貌します。
もちろんディック・スミスのメイクの効果もありますが、それだけじゃあそこまでの恐怖は作り出せなかったはず。
十字架を自分の股間に何度も突き刺して「ファックミー!」連呼は気を失いそうになります。
まさにリンダ・ブレアあっての「エクソシスト」だと思います。
ただ、あまりにもこの演技が強烈過ぎたせいかリーガンのイメージが抜けず、後のキャリアはパッとしませんでしたねえ。

でも特殊メイク界の神様、ディック・スミスももちろんいい仕事をしています。
徐々にボロボロになっていくリーガンの顔や、体を乗っ取られたリーガンが自分の腹部にミミズ腫れのような文字で「help me」と浮き上がらせるところとかは衝撃的です。
その反面、当時40代だったマックス・フォン・シドーを、完璧なヨボヨボ老人にごく自然に変身させてるのも見事としか言いようが無い。
知らずに見たらマックス・フォン・シドーが40代なんて誰も気付きませんよ。

ってな具合で見所たくさんなので、ホラーファンもそうでない方も必見の一本です。

ちなみに、2000年に「エクソシスト ディレクターズカット版」が公開されました。
こちらは最初の公開時にカットされた15分の未公開シーンを加えたバージョンです。
リーガンがブリッジで走るスパイダーウォークのシーンばかりが話題になりましたが、個人的にはあのシーンは無くても良かった気がします。
その代わり、会話シーンが増えたことでより人間ドラマとしての厚みが増している事の方が嬉しかったです。
あ、あとサブリミナル的に色々な場面に悪魔の顔(?)を合成したのは完全に蛇足だと思います。
あんな事するから一気にうそ臭い映画に見えちゃいます。
個人的には、スパイダーウォークも含めて15分の追加のみで、顔の合成が無いバージョンをまた作って欲しいなあ。

  



エクソシスト2 (原題:EXORCIST 2 THE HERETIC)

1977年アメリカ映画



カラス神父が身を呈して戦ったというのに、この続編では何と「実はまだリーガンの中に悪魔が居座ってまして…」という酷い展開。
カラス神父の死は無駄だったというわけですか。。。ほんと酷すぎる。。。

で、今回は宗教的にではなく、科学的に悪魔憑きを解明しようとする訳ですが、もう台無しです。
これがあの名作の続編とは思いたくないです。
これを見た原作者のウイリアム・ピーター・ブラッディも激怒したそうですよ。
(エクソシスト2は映画用に作られたストーリーで、ブラッディはノータッチです)

趣向を変えて科学を武器に…という意気込みは買うけど、前作にあった荘厳さが完全に消えました。
代わりに聖書に出てくるイナゴの大群など、象徴的な仕掛けも用意されてはいるのですが…

気になる人は是非一度見てみてください。
でも1作目と同じ物を望んじゃダメですよ~。

 



エクソシスト3 (原題:THE EXORCIST 3)

1990年アメリカ映画



「エクソシスト2」の出来に怒った原作者ウイリアム・ピーター・ブラッディが、自ら制作、脚本、監督を務めた正当な続編。
1作目とも2作目とも違う雰囲気に仕上がってますが、サイコホラーっぽくてこれはこれで面白いです。

3作目のストーリーは、刑事が殺人事件を追っていくうちにリーガンの悪魔憑き事件に行き着く。
一連の事件は、カラス神父の魂を乗っ取った悪魔の仕業だった。
リーガンへの憑依を邪魔したカラス神父への復讐として、カラス神父の魂を借りた悪魔が殺人事件を起こし、カラス神父の良心を痛めつけていたのである。。。

原作者自らの手でシリーズを軌道修正すると同時に、ストーリーをしっかりと完結させたのがこの作品です。
1作目、2作目と同じ物を期待してみると「は?」となりますが、一度頭をリセットしてから見ると面白いです。

 


<オーメン666・リメイク> <リストへ戻る> <ザ・フォッグ>