アメ車マニア


カーアクション映画


自分がクルマ好きになったのは、幼い頃に見たカーアクション映画の影響が大きいと思います。
自分が4歳前後だった頃、映画界はカーアクション映画ブームでした。
当時クルマ好きだった父は、ミニカーを片時も離さず握り締めている自分を、頻繁に映画館へ連れて行ってくれました。
そしてボコボコになっても走り続けるタフな外車の姿にホレボレ。
その頃から子供向け自動車図鑑の「自動車映画」記事を参考に、クルマ映画を片っ端から見まくりました。
テレビ欄で深夜に放送されるのを見つければ、夕食直後に布団に入り、夜中に起こしてもらって見たものです。
(ビデオも普及する前だったので)

そんな幼児期の影響は大人になるまで続き、クルマ趣味&カーアクション映画趣味は今まで続いています。
ブームも過ぎ去り、一時はカーアクションというジャンルそのものが忘れ去られた時代もありましたが、復権した現在は本当に幸せです(あはっ♪)。
しかし中には、DVD化はおろかビデオ化すらされず、放っておけば忘れ去られていきそうな作品も多数あります。
そこで、当時から見てきたカーアクション映画の数々をここに記録しておこうと思います。(前置き長い…。)

まずは誰にでも楽しめるクルマ映画コーナー!!


<1970年代のカーアクション映画>

<1980~1990年代へ>  <2000年代へ>  <2010年~>


ダーティ メリー クレイジー ラリー(原題:DIRTY MARY CRAZY LARRY)

アメリカ1970年度作品

「俺達に明日はない」「明日に向かって撃て」「イージーライダー」「バニシングポイント」などと並ぶアメリカンニューシネマの名作です。
スーパーマーケット強盗をした元レーサーのラリーとそのメカニックのディーク、そして2人と同行する羽目になった女メリーの破滅への逃避行を描いています。

3人はまず1968年型のブルーのインパラでパトカーとカーチェイスを繰り広げます。
インパラと聞くとローライダーのイメージが強いですが、こんなマッスルな感じに仕上げるとストックカーのようでこれまたCOOLです。
警察を振り切った3人は途中で黄色い1969年型ダッジ チャージャーに乗り換えます。
ボディサイドにブラックのライン(ラインの上には440の文字が!)が入れられ、ディッシュホイールでカスタムされたスタイルが堪りません♪
すぐに警察に発見されて激しいカーチェイスを演じますが、3人の乗ったチャージャーはクルミ林の中に逃げ込みます。
碁盤の目のように道路が走るクルミ林でのカーチェイスはカーアクション史上に残る名シーン!必見です!

ラリーは「イージーライダー」のピーター・フォンダが演じ、メリー役は「わらの犬」のスーザン・ジョージ。
二人とも70年代を代表するスターですね。
特にスーザン・ジョージのビッチっぷりは最高。かわいすぎる♪
そして3人を執拗に追いかける保安官はビック・モローが演じています。
この人が出るだけで映画に重みが出ますね。

監督は名作オカルト映画「ヘルハウス」のジョン・ハフ。
「ヘルハウス」と同時期に撮った映画なのでこちらの完成度が高いのも妙に納得です。
ちなみに襲われるスーパーの店主は「ヘルハウス」にも出ていたロディ・マクドウォールがチョイ役で出演しています。

逃走中は意見の相違から険悪な空気になりつつも、最後は力を合わせ、保安官の執拗な追跡を決死のカーチェイスで振り切って歓喜の声を上げる3人。
しかし突如、チャージャーの前を貨物列車が塞ぎ・・・

  

バニシングポイント(原題:VANISHING POINT)

アメリカ1971年度作品

これは有名な映画ですからご存知の方も多いのではないでしょうか。
当時のアメリカの社会への批判と反発を、体制の象徴である警察への反抗という形で描いた名作アメリカンニューシネマ。
人生を回想しながらvanishing point(消失点)へ向かって1970年型ダッジ・チャレンジャーを走らせる孤独な主人公コワルスキーが何ともCOOLです。

自動車の陸送業で生計を立てるコワルスキーは、シカゴからサンフランシスコまで車両を運ぶ仕事請け負う。
仲間から常識では不可能な時間でサンフランシスコまで着けるか?という賭けを持ちかけられ、それに乗る。
些細な賭けなのに、常軌を逸した暴走でサンフランシスコを目指すコワルスキー。
警察から追跡されるが、元レーサーであるコワルスキーはそのドライビングテクニックで次々と振り切ってゆく。
警察無線を傍受していた盲目のDJ、スーパーソウルは、ラジオを通じてコワルスキーに警察の動きを伝えてサポートしていく。
いつしか他のマスコミからも注目されることになり、アメリカ中が見守る中、コワルスキーの逃走劇は続いてゆく。。。

宗教的な含みを持たせたシーンが数多くあり、この作品が単なる能天気なアクション映画ではない事を物語ります。
コワルスキーの回想で語られてゆくのは、挫折と悲しみに彩られた彼の人生。
最初に見たときは「人生に疲れた男が自殺するためにチャレンジャーでバニシングポイント=消失点を目指す映画」だと思っていました。
ところが繰り返し見ていくうちに、この映画のエンディングがネガティブなものではない事に気付きます。
コワルスキーにとってのバニシングポイントは人生を終わらせる場所ではなく、魂を開放する場所、次の世界へ行くための入口であると分かるんです。。。

ゴスペルやロック、R&Bの曲をバックに、真っ白なチャレンジャーのカーアクションシーンで引っ張っていきます。
考えさせられる内容でありながらしっかり娯楽性も兼ね備えていて、見終わってもまたすぐ見たくなる作品です。

ちなみにいちばん最後のシーン、ブルドーザーに突き刺さっている車種は何かわかりますか?
67年型の・・・

ソフトの方は廉価版DVD、ブルーレイが発売されていますが、古い作品でありながらブルーレイの映像の鮮明さ、発色の鮮やかさに驚かされました。
またその後発売されたコレクターズエディションDVDは、伝説となった未公開カットシーンが収録されました。
このカットシーン、「愛の嵐」のシャーロット・ランプリングがヒッチハイカーとして登場しています。
怪しくエロい雰囲気が強烈ですよ~。
また、「バニシングポイント」のサントラ盤もお勧めです!

1996年にTVの2時間ものとして「バニシングポイント」はリメイクされ、日本でもビデオが発売されました。
こちらの内容はオリジナルと比べてかなりソフトなメロドラマ調です。
個人的には1971年のオリジナルのほうがお気に入りではあるのですが、リメイク版ではアメ車マニアの心をくすぐるような言葉やシーンがたくさん出てくるのがたまりません!
こちらも日本語版DVDが発売されると嬉しいのですが。

    


続・激突!カージャック(原題:THE SUGARLAND EXPRESS)

アメリカ1974年度作品

スティーブン・スピルバーグの劇場映画デビュー作です。
赤いプリムス・ヴァリアントがトラックに追い回される「激突!」がデビュー作と思ってる人が多いですが、あれはもともとテレビ映画として作られた作品なのです。
そしてあたかもその「激突!」の続編のようなタイトルが冠せられた今作ですが、「激突!」とは全く無関係。完全に別のお話です。
「続・激突 カージャック」というタイトルは日本の配給会社が勝手に付けた邦題ですのでご注意を。

窃盗罪で揃って投獄された夫婦が親権を剥奪され、一人息子を奪われてしまう。
里親から息子を奪い返すために脱獄し、警官を人質にパトカーを奪い夫婦共に逃亡するというお話。

カージャック犯の夫婦は、若きゴールディ・ホーンと「ダイ・ハード」のテレビリポーター役、ウイリアム・アザートン。
ゴールディ・ホーンはコメディエンヌとしてではなく、子供のように天真爛漫な奥さんをかわいらしく演じています。

ラストはスピルバーグらしからぬ、アメリカンニューシネマ風の悲劇的な結末を迎えます。
「激突!」ほどカーアクションシーンはなく、いかにも低予算作品といった雰囲気ですが、笑いあり、涙ありと、劇場デビュー作でありながら既にスピルバーグらしい娯楽作品となっているのが興味深いです。
1973年制作の作品でありながら今見ても全く古臭く感じず、現代の作品と比べても見劣りしません。
ただ、夫婦の子供への愛情がより深く掘り下げられてたらもっと感動できたのになあ…と思えちゃうのがちょっと惜しい点ではありますが。

念願叶って発売されたDVDは画質も良く、テキサスの大地と空の美しさを味わえます。
そんな映像の良さも古臭さを感じない理由のひとつかもしれませんね。
でもゴールディ・ホーンの顔だけが目立つDVDのパッケージはイマイチ。
この作品の良さが全く伝わってきません。
中身のある映画なんだから、それを表したパッケージにすればいいのにねえ。

 



バニシング in 60(原題:GONE IN 60 SECONDS)

アメリカ1974年度作品

自動車窃盗集団を描いたカーアクション映画。
主人公メイドリアン・ペースは表向きは自動車保険調査員。
本業は盗んだクルマを外国へ売りさばく自動車窃盗集団のリーダー格。
「リストにある52台すべての車両を集めることができたら40万ドルで買い取る」という大きなビジネスを請け負う。
タイムリミットが迫る中、膨大な数のクルマを着実に盗んでいくが、52台中最後の1台、1973年型マスタングを盗み走り出した時、仲間の裏切りによって待機していた警察に発見され追われる羽目になってしまう。

ここから延々45分に渡ってマスタングとパトカーのカーチェイスがノンストップで続くのですが、このマスタングがタフでかっこ良すぎです!
主人公のセリフはほとんど無しで警察の無線の会話とV8のエンジン音、タイヤのスキール音、クルマのぶつかり合う音のみで、まさにクルマが主人公といった感じの映画です。
マスタングの他にもダッジチャージャー、プリムスサテライト、ダッジチャレンジャー、キャデラックエルドラド、インパラ、etc....60~70年代を代表するアメ車がカーチェイスの末、惜し気も無く破壊されまくります。
欧州車ではフェラーリデイトナ、ランボルギーニミウラ、デトマソパンテーラ、ロールス他が登場し、破壊こそされませんが、眺めているだけでも幸せになれます。

特に懐かしさのあまり感動するのは「マンタ」!外見はCAN-AMのレーシングマシンのようなのに、エンジンはVWやポルシェのエンジンを積んでいるという変わり種でした。

自分は4歳の時にこの映画を劇場で見て、ピッカピカの黄色いマスタングがボロボロになっても走りつづける姿にすっかりやられ、もう数十年、このマスタングに片想いです。このときからアメ車一色の人生が始まってしまったんです。

製作・監督・脚本・主演のH.B.ハリッキーは、映画界に進出する以前から青年実業家としてすでに財を築き、数十台の名車コレクションを持っているほどのクルマ好きでした。
事業が軌道に乗ったのを機にかねてからの希望だったカーアクション映画を企画。
いくつもの映画会社を訪問して企画を売り込みました。
しかし、前例のないカーアクション主体の企画に制作費を出す映画会社は無く、企画は暗礁に乗り上げます。
ハリッキーは「きっと自分のように、こういう映画を見る為に喜んでチケット代を払うお客はいるはずだ」と確信し、自らの財産を注ぎ込んで独自に製作を開始。
この情熱は公開後多くの観客に支持され、結果的に興行収入記録を塗り替えるほどの大ヒットになったのです。

しかしその後も数本のカーアクション映画を撮りますが、「バニシングin60」ほどのヒットには恵まれずに低迷。
そして1989年、満を持して「バニシングin60 PART2」の製作に着手する事になります。
そんな矢先、アクションシーンの目玉となる給水塔がクルマの上に倒れる場面の撮影中、倒れてきた建造物の下敷きとなり、48歳の若さでこの世を去ってしまったのです。。。

オフィシャルサイト http://www.GoneIn60Seconds.com/

追記(2000年6月):
なんと「バニシングin60」がリメイクされました!
日本では2000年9月9日公開予定の「60セカンズ」です。
すでに公開されているアメリカではランキング初登場1位 だったそうです。
製作は「アルマゲドン」のジェリー・ブラッカイマー、主演はニコラス・ケイジ!
リメイク版の主人公はなんと1967年式SHELBY GT500で逃げ回るようです(あ~あ、BIGマスタングじゃないのかぁ~…)。
ヒットメーカーとハリウッドスターがこの名画(自分的には…)をどのように蘇らせてくれるのか興味津々です。


追記(2003年3月)

つ、ついに バニシングin60がビデオとDVDで再販されました!!
これも60セカンズが公開されてオリジナルが注目されたからなのでしょう。
ブラッカイマー、ドミニク・セナ、ニコラス・ケイジえらいっ!!
もちろん自分はDVDを速攻で購入しましたよ~。

DVDの仕様について:
公開当時、「バニシングin60」で使われていた音楽はカントリーでした。
どの曲も非常に格好いい曲で、歌詞が映画の内容、登場人物の心情を歌っていました。
DVDが登場する以前、まだビデオカセットが全盛の頃、松竹ホームビデオから発売されていたビデオも公開当時の曲が使われていました。
ところが、近年発売されたDVDは曲の権利者と揉めたようで、全ての音楽が差し替えられてしまいました。
しかも新しい曲は、まるで著作権フリーのBGMのような安っぽい打ち込みの曲。
はっきりいって作品が台無しです。
歌詞が登場人物の言葉を代弁していたのに、歌詞が無いので意味不明な映像が延々続く部分があります。
DVDで初めて「バニシングin60」を見た人は「は?」と思うのではないでしょうか。
映画は映像だけで成り立っているものではありません。
音楽も映画の一部であるという事を権利者の方に理解して頂き、一日も早くオリジナル音源での再発売を望みます。

 

追記(2014年4月)
なんと2014年8月、HDニューマスターの「バニシングin60」がBlu-rayとDVDが発売されます!!
過去最高画質の「バニシングin60」が拝めるとなれば買わない訳にはいきませんね!!!
でも問題は音楽だなあ…。


  


激走!5000キロ(原題:GUMBALL RALLY)

アメリカ1976年度作品

爆笑のカーアクションコメディ。
公開当時、父親と映画館で見ました。
テレビでも何度も放映されているのでご存知の方も多いのでは?

時間を持て余す金持ち達が暇つぶしのために開催する大陸横断レース。
優勝者へ与えられるのはトロフィー型のボトルに入れられたガムだけ。
N.Y.~L.A.を誰よりも速く走るという栄光だけを目指して、変わり者のセレブ達が大笑いさせてくれます。

基本的にはコメディーですが、あくまでもメイン要素はカーアクション。
クルマ好きを充分満足させてくれる作品となっています。

まず出てくるクルマが超豪華!
フェラーリデイトナスパイダー、ACコブラ427、カマロZ28(サメカマ)、コルベット(アイアンバンパー)、メルセデスベンツ300SLロードスター、911タルガ、ロールスシルバーシャドー他。
今では価格が高騰した名車たちがレースを繰り広げるんですから堪りません!
特に「60セカンズ」などでも使われた用水路で、デイトナスパイダーとコブラ427が繰り広げるバトルは涙ナシでは見れません!
水しぶきを上げながらの暴走!水に乗ってクルクルスピン!何と粗末な扱い!!
どちらも今買おうとしたら億単位の値段ですからねぇ。

参考までにキャストは、懐かしのスターであるマイケル・サラザン、「アダムスファミリー」のお父さん役だったラウル・ジュリア、「リーサルウェポン」の殺し屋ゲーリー・ビジーなどが出ています。

相変わらず国内でDVD化されておらず、ついに我慢できなくなってアメリカから直接取り寄せちゃいました。
ebayで落札して日本に届くまでの費用総額で3600円ほどでした。
言葉の壁さえ気にしなければ意外と安く買えちゃうんです♪

 


爆走!キャノンボール(原題: CANNONBALL! )

アメリカ1976年度作品

これも公開当時、劇場でみた作品です。
この作品も、日本では長い事ソフト化されておらず(DVDはおろか、多分ビデオ化もされなかったのでは?)、アメリカから直接DVDを取り寄せて30年ぶりくらいに見ました。
ずーっと見たかった映画なので感動の嵐でした♪

ちなみにあの有名な「キャノンボール」(ハル ニーダム監督、バート レイノルズ主演)とは全く関係ありません。
しかも、あのシリーズよりもかなり前に作られているので、これがパクリ元ですね。
こっちはビッグスターは出ていませんが(といっても70年代のB級アクションスター、デビッド・キャラダイン主演)、カーアクション映画という意味ではこちらのほうが好きです。

登場するクルマはトランザム(1970~73年のモデル)、1969年型マスタング、1968年型ダッジ・チャージャーなどが主要キャラの愛車。
他にもデトマソ・パンテーラ、コルベット、リンカーンなどが登場しています。
ちなみに出てくる車両はオールペン&ライトカスタムされている物が多いです。

パンテーラは一定の速度を上回ると爆発する仕掛けがあり、パトカーとのカーチェイスの最中に爆破されてしまいます。
公開当時は「あ~もったいない」と思いましたが、今見たら爆破シーンでは別の車に差し替えられてました…。
そりゃそうですよね、ロジャー・コーマンの息が掛かったB級カーアクション映画でイタリアンスーパーカーは爆破しませんわなぁ。


デスレース2000年(原題:DEATH RACE 2000)

アメリカ1976年度作品

B級映画の帝王、ロジャー・コーマン製作のカーアクションSFホラー(…ってどんなジャンルだよ。。。)。

近未来のアメリカ連邦の公道を舞台に繰り広げられる大陸横断レースは、テレビ中継されるほどの国民的イベント。
出場するのは、謎のレーサー・フランケンシュタインを初めとする5組のレーサー&ナビゲーターたち。
どのチームも個性的な愛車を駆ってレースに挑む。
このレースはただ単に速さだけを競うのではなく、ある事をするとポイントが加算されていく。
それは人を殺す事。路上に居る人間を轢き殺すことでポイントが得られるのである。
そのため、各車両の前部には殺傷能力のある鋭利な装飾が付けられており、速さを競いながら獲物を狙って暴走する。
ところが、レースの妨害を企む反政府組織の破壊工作により、レーサーたちにも危険が迫る。。。

この作品、見所も満載だけど突っ込みどころも満載。いや、突っ込みどころが見所と言うべきか。。。
そんなポイントを掻い摘んでみると。。。

見始めて早々に爆笑を誘ってくれるのがオープニングのタイトルや車。下手クソな手描きなんです。
間違いなく自分の方がもっとマシな絵が描けます。
いくら低予算でも作品の顔となるオープニングタイトルがこのクオリティじゃいけないと思うんですが、ロジャー・コーマン先生的にはこれで良かったのかなぁ。

そんなオープニングで「この映画は大丈夫か?」と不安になっていると、泣く子も黙る大スター、シルベスター・スタローンが登場!
製作年度から考えたら「ロッキー」のヒット寸前。
アホで憎たらしい敵役を演じ、主人公のライバルだから出番もばっちり。
彼の登場で不安はかなり吹っ飛びます。
大スターの下積み時代が見れてなかなか興味深いと思いますよ。

あと車のデザインがすごい。凶器が装備されているだけでもインパクト充分なのにそれだけじゃない。
大砲が付いてたり、恐竜のような背びれが付いていたり、闘牛やライオンの顔を模した車も強烈です。
個人的にはスタローン演じるマシンガン・ジョーの愛車がお気に入り。
巨大なナイフとドラムマガジンのマシンガンが装備されているんです。
一度見たら忘れられない車ですね。
ちなみに牛号とマシンガン号のベースは、VWのシャシーにファイバーボディを載せたキットカー。
ネオナチ号はカルマンギア、フランケンシュタイン号はC3コルベット。
ライオン号は何だろ?サイズからしてイギリスのライトウェイトスポーツカーベースかな?

舞台は西暦2000年。製作年の1976年から見たら近未来。
一瞬だけショボイ合成映像で50年代風近未来都市が出てきたりしますが、予算の都合で未来的描写は希薄です。
でもアメリカが合衆国ではなくアメリカ連邦になっているのが興味深かったです。
連邦政府が悪者と描かれているあたりは冷戦時代を象徴する設定ですね。

そして、ロジャー・コーマン作品の最後のお楽しみはエンドクレジットです。
後のスターや有名人の名前がたくさん発見できちゃうんですね。
この作品では、後にスティーブン・キング作品を撮りまくるルイス・ティーグ監督、そしてあのジョン・ランディス監督の名前まで載っています。
さすが、新人発掘の名人であるコーマン先生作品なだけはあります。

ちなみにこの作品、上で紹介している「爆走!キャノンボール」と同じスタッフによって製作されています。
主演も同じくデヴィッド・キャラダイン。さらには製作年も一緒。
実はロジャー・コーマンの指示で2本同時に撮った作品なんです。
1度の撮影で2本撮れれば確かに美味しいけど、続編や繋がりのある作品ではなく全く異なる作品を並行して撮るなんてちょっと無茶ですよね。
きっと監督のポール・バーテルも困った事でしょう。
でもそれをちゃんとやり遂げて2作品ともそれなりに成立させてるんだから素晴らしい。
器用な事をしますよね。
たださすがにロケーションはあからさまに被ってます。
「あ、同じ場所…」というシーンがたくさんあるのはご愛嬌ですね。

このように作り手の都合が見え隠れするのでものすごくB級臭いです。
お金がかかっていないのは誰の目にも明らか。でも素直に面白い。
B級作品でしか為し得ない魅力がこの「デスレース2000」には詰まってるんですね。
「面白い映画に必要なのは金じゃなくてアイデア」という事を思い知らせてくれる1本です。
内容が内容だけに苦手な人も居ると思うので万人には薦められませんが、個人的には忘れられない作品です。

  



フェラーリの鷹(原題:HIGHWAY RACER)

1976年イタリア映画

シトロエンDSで強盗を繰り返す強盗団をなかなか捕まえることができない警察。
警官の中にはドライビングテクニックに長けたパルマがいたが、短気な性格が災いし、強盗団追跡中に事故を起こして仲間を死なせてしまう。
落ち込んだパルマは警察を辞めようとするが、上司が隠し持っていたボロボロのフェラーリを譲り受ける。
上司はパルマを強盗団に潜入させ、強盗団の足を掴もうと画策する。
フェラーリを走れるように修理したパルマはギャング団の仲間になる事に成功し、その運転技術から一目置かれる存在となる。
しかしひょんな事で正体がばれてしまったパルマ。
そして、銀行を襲った強盗団と、フェラーリを駆るパルマとの激しいカーチェイスが始まる!

フェラーリは250GTEで、現代の感覚からは完全にクラシックモデルです。
シトロエンのDSだってマニア垂涎のモデル。
それがカーアクションの末、大ジャンプによりクラッシュしてしまうラストは衝撃的です。
他にも往年のランチャやアルファロメオなどが登場してはガンガン破壊されるあたりも号泣できますよ。

昔テレビ東京で放映されたのを録画したビデオを何度も繰り返し見ていました。
でも今やそのビデオも無くなり、今では見る方法が無くなってしまいました。
DVDが発売されないかなあ。



 



ハイウェイ・パニック(原題:SMASH-UP ON INTERSTATE 5)

1976年アメリカ映画

子供の頃、テレビ東京で何度と無く放映されていた映画です。
アメリカのTV向け映画のようです。

冒頭からいきなり高速道路上の多重クラッシュが展開。
登場人物たちの危機的な状況を軽く見せておいて、物語は事故の48時間前まで遡ります。
そこから事故に至るまでの登場人物たちの人間ドラマを描いていきます。

登場人物は、ハイウェイパトロールの警官たち(若手警官の一人を若かりし頃のトミー・リー・ジョーンズが演じています)、奥さんが病気を抱えた老夫婦、カージャックしてきた強盗を殺してしまったカップル、トラック運転手に暴走族から襲われていた所を助けられた女性など。
ラストは彼らが同じ高速道路上を走っていたところ、妻の様子に気を取られた老人がハンドル操作を誤り、大事故に巻き込まれていきます。

オープニングのクラッシュシーンはスローモーションのチラ見せですが、最後はスピード感のある事故場面を全て見せてくれます。
この主要人物たちが乗るのが50年代前半頃のキャデラック、フィアット850スパイダー、フォードエコノラインなどで、もちろんクラッシュします。
他にもシェビーIIノバ、1969マスタング、サンダーバードなども見えます。

原題は「高速道路5号線の衝突事故」という直球タイトル。
でも事故そのものを見世物にするのではなく、交通事故が人の日常を無残に壊していく様をまざまざと見せられるのが、子供ながらに衝撃的でした。

新バニシング in 60 スピードトラップ(原題:SPEED TRAP)

1977年アメリカ映画

タイトルに「バニシングin60」なんて書かれていますが、H.B.ハリッキーの傑作カーアクション映画とは全く関係のない作品です。
日本の配給会社が「バニシングin60」のヒットに便乗して付けた邦題ですのでご注意を。
まあ昔から題名の頭に「新」が付く映画ってのは正当な続編ではないパターンが多いんですよね。
堂々と続編を謳うなら「~PART2」とか「続・~」でしょう。
「新・猿の惑星」なんて稀なケースですね。
(「13日の金曜日」の正当な続編でありながら、偽物のジェイソンが登場する5作目に「新13日の金曜日」という邦題を付けた配給会社は上手いなあと思ったり)

ストーリーはロードランナーと呼ばれる自動車泥棒を追う、私立探偵と女性警官が主役のお話。
この二人の俳優がちょっと驚き。なんとジョー・ドン・ベイカー とタイン・デイリーですよ。
この二人が出てるだけで期待しちゃうでしょ。安心してください。しっかり裏切りますから。

いやいや、それほどつまらない訳じゃ ないんですよ。
カーアクションもなかなか派手だし、出てくる車もダッジチャージャー、キャデラックエルドラド、コルベットジェンセンなど、しっかりとアメ 車好きのツボを抑えていますから。
巨大な土管からエルドラドが飛び出すシーンなんて絵的にちょっと面白いです。

じゃあ、何がダメかというと、ロードランナーさんの車の盗み方。
変な黒い小箱を使ってピピッと操作をすると、狙った車を思い通りに操作できちゃうんです。
ここだけちょっと50年代のSF特撮ものというか、怪奇ものといった感じでストーリーから浮いてます。
変わった事をしようとして大失敗。

でも今これがものすごく欲しいんですよねえ。
DVD出ないかなあ。









バニシング in TURBO(原題: GRAND THEFT AUTO)

アメリカ1977年度作品

今をときめくロン ハワード監督(コクーン、バックドラフト他)の劇場用映画、監督第1作目だったと記憶しています。
親のクルマを盗んで駆け落ちするカップルの話でした。
男の家は普通の家庭、女は大金持ちの娘という、ロミオとジュリエット状態。
盗む親のクルマはロールスロイス!
この親が2人に賞金をかけたことから、賞金目当ての人間、警察、私立探偵などが入り乱れてこのカップルを追いかけます。
ロールスにいろいろなカーアクションを演じさせた挙句、クルマ同士がぶつけ合って動けなくなったら負け、というデモリッションダービーの会場に乱入し、原型が分からないほどに破壊されてしまいます。
2人は無事結婚するのですが、ロールス…もったいないっす。

 


ザ・カー(原題: THE CAR)

アメリカ1977年度作品

この映画は不気味で恐いですよ!
砂漠に突如現れた悪魔の化身”ザ・カー”。
こいつがばったんばったん人を轢き殺していくんです。

この悪魔のクルマのデザインが何ともいえずいい感じ!
顔のようなフロント、ストレートなボディライン、チョップトップのような低いルーフ、でっかいメッキのバンパーとフロントグリル。
当時のリンカーンコンチネンタルをベースに作られたという事で、確かにデザインのテイストはリンカーンっぽいんですが、よ~く見るとリンカーンの面影はまったく残ってないんです。
見た目だけでなく、例えばクラクションも不気味な音になっていたり、外から見ると全面 フルスモークのようなガラスが、車内から見ると濃い黄色になっていたり、とにかく細かい演出が不気味を通り越して気持ち悪いんです。
ほんと、夢でうなされそうなクルマです。
荒野の砂煙の中から突然現れたら腰抜かしますよ!

この悪魔のクルマと戦う保安官が70年代のスター、ジェームズ・ブローリン。
この人の顔も”ザ・カー”に負けないくらい恐いですが、「悪魔の棲む家」ほどの”悪魔顔”は出ないのでご安心を。

個人的に”ザ・カー”のデザインが好きで、とにかくクルマが恐くてしょうがないので、演出がどうとか、脚本がどうとかっていう評価はできないんです。
感想は一言、「クルマが恐い!」に尽きます。

クルマとホラーが好きな人は是非見てみて!

 


クラッシュ(原題:CRASH!)

アメリカ1977年度作品

クラッシュという題名だとクローネンバーグの「クラッシュ」や、レースドキュメンタリーの「クラッシュ」なんかを思い出される方が大半だと思います。
ところがどっこい、これはもっと古いオカルト映画です。
悪魔の偶像を載せた初代カマロのコンバーチブルが、無人のまま人を襲うというストーリー。
といっても、実は子供の頃に一度だけ見た程度なので、今はあまり記憶にないんです。。。
特に恐かったという印象もないし、特に面白かったという印象も無いし、特にカマロがかっこ良かったという印象もない。
でも特につまらなかったという印象も無いし。
もう一度見てみたい映画の1本です。


トランザム7000(原題:SMOKY & THE BANDIT )

アメリカ1977年度作品

特に説明する必要がないほど有名な作品ですね。

バンディットとスノーマンのトラック野郎コンビは高額な報酬につられ、州外持ち出し禁止のクアーズビールをアトランタからテキサスまで、28時間内に届けるという大仕事を引き受ける。
しかし制限速度で走ったんじゃ間に合わない。
そこでスノーマンの大型トラックをサポートすべく、トランザムに乗ったバンディットが警察をおびき寄せる囮となり、パトカーとどたばたバトルを展開。
道中、結婚式場から脱走してきた花嫁キャリーを拾うのだが、その結婚相手は、執念の男ジャスティス保安官の息子であるジュニアだった事から、厄介な相手を敵に回す事になる。
面子を潰されたジャスティス保安官は管轄も無視して花嫁を連れ去ったバンディットたちの大追跡を開始する。

バンディット役のバート・レイノルズは超ハマリ役!
いい加減で無責任だけど心優しい正義漢。格好いいです。
後に同じハル・ニーダム監督作品「キャノンボール」シリーズにも出演しますが、魅力全開なのは「トランザム」シリーズですね。
ヒロインはアカデミー賞女優 サリー・フィールド。
大女優だけどこの頃はとってもキュートです♪
ジャスティス保安官は「ハスラー」などにも出演していた名優ジャッキー・グリースン。
しつこくて強面でちょっと意地悪だけど、抜けててどことなくかわいらしい保安官を好演。
バンディットの相棒、スノーマンはカントリー歌手のジェリー・リード。
家族と愛犬を愛し、我侭でだらしないバンディットに付き合う心優しい西部の男です。
聞いたら耳から離れない「トランザム7000」の主題歌も彼の作品です。(追記:惜しくも2008年に他界)

もう1人の主役であるトランザムは1977年型イーグルマスク。
ブラックボディにゴールドのファイヤーバードとラインが印象的です。
この映画公開後、黒いトランザムが日本でもたくさん走ってましたね。
その殆どが無残にも改造され、ケツ上げに極太タイヤで虐められていましたが(T_T)

スタントマン出身のハル・ニーダム監督なだけあって、カーアクションの見所は盛りだくさん。
トランザムが飛んだり跳ねたり回ったりと大活躍します。
酒場の喧嘩もお約束どおり用意されています。

要所要所に笑いがあり、コメディとアクションのバランスが絶妙。
娯楽性の高さではカーアクション映画随一。
ノリは軽いですが、傑作カーアクション映画の一本と言えます。

  


トランザム7000 激突パトカー軍団(原題:SMOKY & THE BANDIT 2)

アメリカ1980年度作品

シリーズ第2作目。(80年代に入っちゃうけどご容赦ください)
今回はトランザムの年式も少し新しくなり、1980年型の4.9リッターTURBOエンジンを積んだブラックバードです。
例の如くスノーマンのトラックを逃がすための囮として大活躍します!

サリー・フィールド演じるキャリーと前作で結ばれるかと思えたバンディットだったが、その後見事に失恋。
アルコールに溺れすっかり廃人と化したバンディットの元へ、スノーマンが儲け話を持ってやってくる。
しかし自身で立ち直ろうとする気力の無いバンディットのため、スノーマンはキャリーに連絡する。
再度ジュニアと結婚式を挙げようとしていたキャリーだったが、バンディットの事が気がかりでまたもや結婚式を放り出してバンディットの元へと走る。
おかげでどうにかアルコールを断つ事ができたバンディットは、スノーマンが用意したトランザムにキャリーと共に乗り込んでマイアミへと向かう。
ところが、二度に渡って息子の結婚式から逃げたキャリーとその恋人バンディットをジャスティス保安官が黙って見ているはずはなく、執拗に追跡してくる。。。

今回スノーマンのトラックに積まれる荷物は何と生きた象!
そう、エレファントをマイアミからテキサスまで運ぶのが今回のミッションなのです。
しかも妊娠しているメスの象だったため、体調が心配。
そこで、救急車に乗り遅れて途方に暮れる産婦人科医を拾い、象と共にトレーラーの荷台へ放り込んで旅を続けます。

しかし途中で母親象が産気づいてしまい、移動は命に関わるとドクターストップがかかる。
それでも時間内に届けなければ報酬が得られないからと、バンディットは輸送を強行しようとする。
移動に反対するスノーマンを殴り、そんなバンディットに愛想を尽かしたキャリーは再び去ってしまう。

象は無事に赤ちゃんを産むことができるのか?
そして報酬は?キャリーとの恋の行方は???

クライマックスは、ジャスティス保安官が他州で保安官を努める兄と弟(ジャッキー・グリースン3役)に助けを求め、数百台のパトカーが集結。
それに対するバンディットとスノーマンは大型トレーラー軍団を呼び集め、荒野でパトカー軍団と対決する事になります。
タイトルは伊達じゃなく、とてつもない台数のパトカーが激しいアクションの末に破壊されてゆきます。
この激しいアクションシーンはスタントマン出身のハル・ニーダム監督の面目躍如ですね。

ストーリーは基本的に前作をベースに肉を盛り付けていったような感じで、スケールアップはしているものの目新しさは希薄です。
また今回はコメディ的な演出がやたらと目に付き、笑いの要素が少々クドイ。
前作は所々で涼しい顔でボケるような笑いでしたが、この2作目では隙あらば笑いを入れようという思惑が感じられます。
また激しいアクションシーンは用意されているものの、人間ドラマのシーンに、動物を使ったお涙頂戴など、アクション映画としてのテンポは前作に軍配が上がりますね。

でも誰でも楽しめる軽さがあり、娯楽性の高いカーアクション映画であるのは前作と同様。
そしてトレーラー軍団VSパトカー軍団のアクロバティックなカーアクションは一見の価値アリです!

日本で発売された「トランザム7000 激突パトカー軍団」のDVDには、日本劇場未公開&未ソフト化の「トランザム7000 PART3」も収録されています。
ボックスセットは1作目、2作目、3作目が、ブラックにゴールドラインのトランザムと同色のパッケージに収められたファン必携のセットです。

 


トランザム7000 PART3(原題:SMOKY IS THE BANDIT 3)

アメリカ1983年度作品

人気シリーズ3作目!…と言いたいところですが、バート・レイノルズとサリー・フィールドは出ていません。(正確にはバート・レイノルズは出ていますがチラッと出るだけ)
また監督もハル・ニーダムではないため、作品の雰囲気は前2作とはやや異なります。
ただ、バート・レイノルズとサリー・フィールド以外の主要キャストはしっかりと継続して同じ役を演じているのは嬉しいところです。

物語は、1作目と2作目でバンディットとスノーマンに賭けを持ちかけていたビッグ・イーノス親子。
相変わらず賭けが大好きのようで、引退して生き甲斐を失ったジャスティス保安官に賭けを持ちかける。
時間内にマイアミからテキサスまで、鮫の置物を時間内に届けられるか?という勝負。
引退生活に飽き飽きしていたジャスティス保安官はやってやろうじゃねーか!と乗ってくる。
ビッグ・イーノス親子は制限時間に間に合わぬよう、先回りしてあの手この手の妨害工作を仕掛ける。
しかし持ち前のしぶとさでジャスティス保安官は障害を乗り越えて走り続ける。
そこでビッグ・イーノス親子はスノーマンにバンディットの変装をして、トランザムでジャスティス保安官の前に現れるように指示。
スーパーヒーロー、バンディットを演じられると知ったスノーマンは大喜びで協力する事になる。
早速スノーマンはパトカーの屋根に縛り付けられた鮫の置物を奪い取り、ジャスティス保安官をぶち抜く。
黒いトランザムに乗り、口ひげ、カウボーイハットのスノーマンを宿敵バンディットと勘違いしたジャスティス保安官は、鮫を取り返すために追跡を開始する。。。

このように物語は前2作の逆転バージョン。
荷物を運ばされるのが保安官で、その邪魔をするのがスノーマンなのです。
ビッグ・イーノスが何故バンディットではなくスノーマンに仕事を頼んだかというと「信頼できる奴だから」だそう。
それ以外、バンディットが出ない理由は説明されません。
バンディットがどうしたかも一切語られず。
こじ付けでもいいから、バンディットが出ない理由付けが欲しかったですねぇ。

パロディというか、スピンオフというか、番外編というか、、、その程度の気持ちで見始めたら普通に見れるんです。
ただ「トランザム7000」と銘打っておきながらバンディットの存在を完全に無視で、無かった事にしようとしている所が何度見ても違和感を感じてしまいます。

ちなみに3作目のトランザムはリトラクタブルヘッドライトの初期型です。
「ナイトライダー」と同じ年代ですね。
1981年までの2代目Fボディの黒いトランザムといえばバンディットの愛車ですが、3代目Fボディの黒トランザムはどうしても先にマイケル・ナイトが出てきてしまうんですよね。
その辺りも何となく「トランザム7000」の続編として違和感を感じる要因かもしれません。

ジャスティス保安官役のジャッキー・グリースンは、この「トランザム7000 PART3」の3年後に亡くなっています。
また偽バンディットとして楽しそうにトランザムを転がしてるジェリー・リードも2008年に亡くなりました。
シリーズを支えた二人の演技を楽しめるという点で、「トランザム7000」ファンにとっては大切な作品であることは間違いありません。

ちなみに「トランザム7000 PART3」は単体DVDでの販売はありません。
「トランザム7000 激突パトカー軍団」のDVDにひっそりと収録されて販売されました。
だから「トランザム7000 PART3」を見たい人は「トランザム7000 激突パトカー軍団」のDVDを買いましょう。

 


 

ザ・ドライバー(原題:THE DRIVER)

アメリカ1978年度作品

監督はウォルター ヒル、製作ローレンス ゴードン、製作補佐フランク マーシャル。
キャストがライアン オニール、ブルース ダーン、イザベル アジャーニという、スタッフ、キャストともに大物揃いの作品です。

主人公は強盗などに雇われて逃走を助ける運転手。
警察との確執、強盗団の裏切り、盗んだ大金をめぐって警察に追われながらも強盗団を追い詰めるという、いかにもウォルター ヒルらしいハードでクールなアクション映画。

フォードLTD、ファイヤーバードエスプリなど出てくるクルマもちょっと渋めでかっこいいです。
そしてラスト、76年型くらいのトランザムで逃げる強盗団を、70年代半ばくらいのC10ステップサイド(ケツの上がり具合が絶妙!!)で追い詰めるドライバーとクラッシュシーンがこれまたCOOL!!

ちょっと地味で渋めな作品ですが、クルマは別として純粋に映画として見ても充分に楽しめる映画です。

   


コンボイ(原題:CONVOY)

アメリカ1978年度作品

これは現代を部隊にした西部劇です。
ペキンパー監督はこの映画を、西部劇へのオマージュとして製作したのではないでしょうか。
酒場のケンカ、砂煙を上げてトラックが砂漠を暴走するシーン、隊列を組んで走るトラック軍団、昔の西部劇で見たようなシーンのオンパレードです。

馬をトラックに乗り換えた西部の男達が、悪徳保安官との対立をきっかけに国家権力に立ち向かうべく、大型トラックの隊列を作って暴走を始めます。
警察に追われるトラック軍団「コンボイ」に、1台、また1台とトラックが集まっていき、とてつもない数のトラックが列になって走るシーンは見ていて爽快な気分になります。
サム・ペキンパー監督お得意の直接的なバイオレンス描写は控えめですが、この映画ではバイオレンスとも言えるような激しいアクションを見せてくれます。

そして、この映画の一番の見所は、男臭い男達とド迫力のトラックでしょう。
とにかくこのトラック野郎たちがかっこいい!!
特にクリス・クリストファーソンにはやられますよ~。男っ!って感じです。
そんな男とこんなトラックの組み合わせは、ある意味反則です。かっこよすぎ!
また、意地悪保安官役のアーネスト・ボーグナインもいい味出してました。
この人の持ち味は、やはりこういう悪役で発揮ですね。

あと少しで国外脱出という時、メキシコとの国境にかかる橋で待ち構えていたのは・・・衝撃のラストシーン!!

 


コルベットサマー(原題:CORVETTE SUMMER)

1978年アメリカ映画

周囲にはカーアクションとホラー以外興味ないと思われていますが、実はかなり熱心なスターウォーズファンだったりもします。
この「コルベットサマー」というB級青春映画は、何とスターウォーズ出演直後のマーク・ハミルが主演しているんです。
「スターウォーズ」出演時は無名の若手でしたから、この頃はまだ新人扱いだったのでしょうね。

高校の自動車部に所属する主人公はポンコツのコルベットを手に入れる。
自らの手で原型をとどめないほどド派手なカスタムカーに仕上げるが、完成してすぐに盗まれてしまう。
ラスベガスで見かけたという目撃情報を元にコルベット探しの旅に出るのだが…。

あくまでも青春映画なので旅の道中にロマンスがあったり、卒業後の進路問題で揺れたりと、人間ドラマが展開します。
一時は現実に引き戻され、コルベットへの情熱を忘れて取り返すのを諦めかけるのですが、彼女に去られて大切なものに気付く。。。といった流れは青春映画の王道ですね。

ラストではコルベットを盗み返して逃走するのですが、70~73あたりの黒塗りファイヤーバード・フォーミュラとのカーチェイスを展開します。
この走行シーンは結構本気でカッ飛んでてなかなか迫力があります。

またカスタムコルベットのデザインも見所。
50~60年代風味のカスタムが今見るとかなり斬新。
アメリカのカスタムカービルダー、ジョージ・バリスあたりが作ったのかな?と勝手に推測してたのですがどうも違うようです。
アシンメトリーのボンネットのデザインとか、サイド出しマフラーとか、固定式4灯ヘッドライトとか…、カラーリングと併せてかなり強烈な印象を残します。

ちなみに製作と脚本は、スピルバーグの「続・激突!カージャック」のハル・バーウッド。
この人が脚本と監督を務めた「バイオ・インフェルノ」というゾンビ系ホラーもなかなか面白かった記憶があります。

しかし、ネバダあたりの砂漠でヒッチハイクするマーク・ハミルの姿、どうしてもタトゥイーンのルークに見えて仕方が無いです。(画面には映らないけどきっと太陽は2つだな)


マッハ78

日本1978年度作品

日米スタントチームの対決を追った、ドキュメンタリータッチの日本映画。
日本チーム/アメリカチームに分かれ、クルマを使った難易度の高いスタントを次々と展開していく。…と書くとなんかおもしろそうだけど、ストーリーは二の次、ひたすらアメ車をブッ壊し、スーパーカーを紹介する。それがメインの映画でした。
でも、当時でさえ登場するクルマの映像には相当興奮しましたから、今見たらストーリー云々なんて感じるヒマも無く、ひたすら興奮しまくると思うなぁ。
当時6歳のワタクシはクルマオタク度数もかなり上がっており、いつも映画で見ているスタントの裏側には興味津々でした。
Tボーンクラッシュ、キャノンロール等、この映画でスタントの技にはかなり詳しくなりましたね~。

最大の見せ場は、ポルシェ930ターボで岸壁から海に向かってのジャンプ!
飛距離の世界記録に挑戦するスタントのシーンなのですが、猛スピードでジャンプ台に向かい、大空へ飛び出していくポルシェがカッコ良かったなぁ。

ところで、このポルシェに乗っていた日本人スタントマンは、当時トップクラスという方だったのですが、なぜか我が家にはこの方の直筆サイン色紙があったんです。
どういう経緯で入手したかは覚えてませんが、銀幕の中で憧れのカーアクションを演じるスタントマンが、実在する人間である事を初めて意識した瞬間でした。
そのサインは宝物になり、その時から「ボクは将来スタントマンになる!」と心に誓ったのでした~。(ならなかったけど)

追記(2009年)
なんと2007年にDVDが発売になりました!
日本映画のDVD作品にありがちな酷い画質ではありますが、この映像を再度拝めただけで充分満足!



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