アメ車マニア


<2010年以降のカーアクション映画>

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ドライブ・アングリー3D (原題:DRIVE ANGRY 3D)

2011年アメリカ映画

ニコラス・ケイジが「60セカンズ」に続いてまたカーアクション映画に主演する、という話を海外の映画サイトで随分前に知りました。
そしてしばらくして公開された本国の予告編を見て胸を躍らせたものです♪
それからまたしばらく経って無事日本公開が決まりましたが、上映劇場が少ない!
近所に映画館はいくつもあるのにどこも公開されなかったので、わざわざ1時間半もかけて劇場まで足を運びました。

この作品、3D映画として製作されたのですが、最近の奥行を出すために3Dを用いるのではなく、ガンガン飛び出してくる系です。
観客に向かって物体が飛んできたり、長いものを突き出してきたりと、思わず避けちゃうようなシーンが多くて楽しかったです。
古典的手法だけど、やはり3D映画は飛び出し系が好きです。

Blu-rayも発売と同時に購入しました。
結構動きの速いアクションシーンや細かい描写も多いので、3Dじゃないのは残念ですが劇場よりも細部まで楽しむことができます。

お話は、カルト教団に娘を殺され、孫を奪われた男ニコラス・ケイジが、赤ん坊を取り返すために教団の悪者達を倒していくというもの。
事件に巻き込まれて行動を共にする美女が、今話題のアンバー・ハード。
ワイルドでビッチなヒロインを格好良く演じています。
ビュイック・リビエラで現れたニコラス・ケイジ、悪者が乗るフォードF150に体当たりして冒頭で不動車に。
そこで目をつけたのが、アンバー・ハード演じるウェイトレスが乗るダッジ・チャージャー。
しばらくは大活躍しますが後半でやはり不動状態に。
最後はデヴィッド・モース演じる友人からシェベルを受け取り、教団との最後の戦いに挑みます。

ちなみに「ドライブアングリー3D」、普通のカーアクション映画ではありません。
なせなら監督はホラー映画で有名なパトリック・ルシエ。
つまりホラー映画とカーアクションを組み合わせたオカルトカーアクション映画なんです。
ちょっとグロいシーンもありますがそれほどそっちに力は入ってい ません。 基本はやはり車ですね。
リビエラは一瞬ですけど、チャージャーとシェベルの格好良さは堪能できますよ~。

さて、後半にはニコラス・ケイジの正体が明らかになるのですが…ネタバレだけど書いちゃいます。
実はニコラス・ケイジ、娘の復讐と孫の救出のために地獄から舞い戻った死者なんです。
しかも生前は悪人だったため地獄の牢獄に閉じ込められていた。
それが残してきた家族のため、脱獄して蘇ってきたんです。ちょっとドラマチックですよね。
でも脱獄犯を地獄の番人達が放っておくわけもなく、刺客が後を追いかけてきます。
この地獄の使者がウィリアム・フィクトナー。
身なりはFBI捜査官のようにスマートですが、ブラックなユーモアを発散してて面白いキャラクターです。

ということで、地獄の使者と警察に追われながら、カルト教団を追い詰めていくというお話な訳ですが、最後は無事に赤ちゃんを取り返すことができるのでしょうか?そしてニコラス・ケイジの運命は?
シボレーベルエアが走り去るエンディングの格好よさは半端じゃないのでお楽しみに!

 

ドライブ(原題:DRIVE) (原題:DRIVE)

2012年アメリカ映画

本国での公開前から気になっている作品でした。
ティーザー予告を見ているとウォルター・ヒル監督、ライアン・オニール主演のハードボイルドカーアクション映画「ザ・ドライバー」のリメイクのよ うに見えたからです。
しかも主演は若手演技派ライアン・ゴズリング、ヒロインがキャリー・マリガンというところにも興味を惹かれました。

ウォルター・ヒル監督の「ザ・ドライバー」は、強盗の逃走を請け負う運転手が主人公でした。
強盗団に金で雇われたドライバーはただ運転して警察の追跡をかわすのが仕事。強盗には一切携わりません。
ひたすらCoolに仕事に徹するドライバー、殆ど喋らない謎の美女イザベル・アジャーニ、銭形警部のように憎めない鬼刑事を演じたブルース・ダーン。
徹底したウォルター・ヒルのハードボイルド演出と、テクニカルなカーアクションシーンで彩られたカーアクション映画の名作でした。

そのリメイクだと思ってこの「ドライブ」を見始めました。

美しい夜景と格好いい音楽により洗練された印象のオープニングで幕を開けます。
強盗団に雇われた無口なドライバー(名前は最後まで明かされません)が主人公。
映画の冒頭から見事なドライビングテクニックで警察の追跡をかわし、仕事をやり遂げます。

まずこのカーアクションシーンに度肝を抜かれます。
カーアクションシーンなのに車を外から映した映像がほぼ使われていません。
ドライバーの視点、逃走用に調達したシボレーインパラの車内の様子、迫り来るパトカーの映像などだけで緊迫のカーチェイスを描き切ります。
物陰にインパラを停め、パトカーが通り過ぎるのを待つスリル。。。
どこかからパトカーが飛び出して来ないかという恐怖。。。
外側から主人公達を眺めるのではなく、主人公達と同じ車内から追跡劇を描いた事で、まるで逃走車両に乗り合わせてしまったかのような臨場感が味わえます。
カーアクション映画が大好きで山ほどそんな作品を見てきましたが、ここまで車を出さずにカーチェイスを描いた作品は無かったと思います。
そしてそれにより生み出されるスリルは、今までのカーアクション映画の中でも群を抜いています。

夜は裏社会に生きるドライバーも、昼間は整備工場で働きながら時折舞い込むカースタントの仕事をこなし、いつしかストックカーレースに出場する事を夢見る青年だった。
ある日、アパートの隣部屋で息子と共に暮らすアイリーンと知り合う。
彼女には刑務所に服役している旦那スタンダードがいたが、惹かれ合ったドライバーとアイリーンは、彼女の子供と共に幸せな時間を過ごしていた。
しかし、スタンダードが出所してきた事により、二人の関係はすぐに終わってしまった。
一家と距離を置こうとするドライバーだったが、スタンダードが抱えた借金が返せず半殺しに遭ってしまう。
一家の幸せを守るため、ドライバーはスタンダードの強盗計画を手助けする事にした。。。

ここまでは「ザ・ドライバー」にちょっとロマンス要素を加えたリメイク、という雰囲気でした。
ところがここから物語が思わぬ方向へと転がり始めます。
びっくりする展開になりますので、鮮度を維持したまま見たいという方はここから先は知らない方が良いかもしれません。
未見の方は予備知識無しで見た方が確実に楽しめます。
ただ、人によっては心の準備をしてから見始めた方が良いというケースもあるかもしれないけど。。。

押し入った店で予想以上の大金を手に入れるも、反撃に遭いスタンダードが殺されてしまいます。
危険を感じたドライバーは現場からマスタングで逃走を開始。
しかし襲撃計画を知っていたかのように待ちかまえていたクライスラー300Cの猛追を受けます。
ここは外から映した普通のカーチェイスで、マスタング VS 300Cのバトルが短いながらも楽しめます。
そしてスローモーションで見せる300Cのクラッシュシーンはドラマチックです。

罠にはめたチンピラを問い質すと、盗んだ金はなんとマフィアの金である事が判明。
アイリーンの命を守る為、ドライバーは盗んだ金をマフィアに返そうとするのだが。。。

ここからはバイオレンスの嵐。
暴力シーンの描写はホラー映画並みの残酷さです。
ショットガンで脳天をふっ飛ばし、繰り返し胸に鉄パイプを突き刺し、手の甲を何度もハンマーで叩き潰し、腕の動脈をナイフで切り裂き…
アクション映画だと油断させておいて、半ばあたりで突如開始される血みどろのバイオレンスシーンに目が点になりました。

この映画、意外性を上手い具合に取り入れています。
いい意味で観客の予想を何度も裏切り、結果それが劇的な展開を作り出しています。
何でカーアクション映画がこんなにたくさんの映画賞にノミネートされたり受賞したりしてんだ!?と思いましたが納得です。
カーアクションなんていう単純な括りに収まるような作品ではありませんでした。
「感動した」なんていう陳腐な言葉では言い表せない、魂すら揺さぶられるような感覚を味わえます。
当初「ザ・ドライバー」の知名度に乗っかったリメイクでしょ?と高を括ってた自分が恥ずかしい。。。

愛する女性とその息子を守る為、命がけの勝負に出る男の物語なのでした。。。

 


逃走車(原題:VEHICLE 19)

2013年アメリカ映画

先日、大好きな俳優ポール・ウォーカーが自動車事故で急死してしまいました。
「ワイルドスピード」シリーズを1作目からリアルタイムで追いかけてきたファンとして、言葉にできないほどのショックを受けています。
素顔はいかにも西海岸育ちらしい、陽気な気のいい兄ちゃんで、人道支援や動物保護活動にも熱心でした。
事故も自分が主催するNPOのチャリティーイベント会場へ向かう途中に起きたもので、友人が運転するポルシェカレラGTが道路脇のポールや立ち木
に衝突、炎上して帰らぬ人となってしまいました。
もう彼の新作が見れないのがとても残念です。
そんな思いもあり、ここ暫くは彼が今まで出演した作品を片っ端から見直しました。
そして、今年公開された新作「逃走車」をまだ見ていなかったので早速入手、鑑賞したので紹介します。
ポール・ウォーカーが製作者に名を連ね、自ら主演もしたサスペンススリラーです。

アメリカ大使館で働く別れた妻とよりを戻すため、単身南アフリカのヨハネスブルクを訪れたマイケル。
飛行機を降りてレンタカーを引き取りに行くと、頼んだセダンとは異なるミニバンが用意されていた。
レンタカー屋に誤りを伝えるが、飛行機の到着が遅れたことにより元妻を待たせていたため、そのままそのミニバンに乗り込んで走り出した。
暫く走ると、グローブボックスからスマートフォン、シートの下からはハンドガンが出てきた。
スマートフォンにかかってきた電話に出ると地元の警察からで、そのレンタカーは捜査員が乗ることになっており、手違いでマイケルに配車されてし まったのだという。
警察は指定場所でレンタカーを交換しようと倉庫の場所を伝えてくる。
指定場所へ向かっていると今度はリアシートが倒れ、ラゲッジルームから口と手を縛られた女性が転がり出てくる。
現地警察の組織的人身売買の秘密を握ったために、悪徳警官に誘拐された女検事のレイチェルだった。
警察は誘拐に使用したレンタカーをレイチェルごと殺し屋に引き渡すはずだったのが、手違いでマイケルの手に渡ってしまったのだった。
とりあえず指定場所へ着く2人だったが何者かに狙撃され、殺し屋の車に追い掛け回される。
その場はどうにか追っ手をクラッシュさせて無事逃げきるが、悪徳警官から掛かってきた脅迫電話でマイケルの妻が標的にされた事を知らされる。
妻が勤める大使館へと車を走らせると、そこには既に悪徳警官一味が待ち伏せており、そこへ運悪く大使館から妻が出てきてしまう。
咄嗟の判断で警官の車両に体当たりして生じた混乱の中、妻は大使館の中へ無事引き返した。
しかし警官が発砲した弾丸がレイチェルの胸に命中。
地下駐車場に車を停めて手当てしようとするが、自分の死を悟ったレイチェルは携帯電話に警察の悪事を録音し、直後に息を引き取る。
証拠品を託されたマイケルは、レイチェルの遺体を駐車場内に寝かせると、証拠を提出すべく裁判所へ向けて車を発進させる。
しかしすぐに遺体は発見されてしまい、レイチェルの殺人犯として指名手配、顔写真が報道されてしまう。
ヨハネスブルグ中を敵に回し、そして射殺命令まで出されたマイケルを警察は執拗に追跡する。。。

車で逃げるという設定に、【ワイルドスピードのポール・ウォーカー】というイメージも手伝って、見る者誰もが激しいカーアクション主体の娯楽作品を期待するのは仕方のないところ。
しかし「逃走車」はアクション映画ではなくあくまでもサスペンススリラー。
固定観念に囚われながら見た観客たちからの評判は芳しくなく、結果、世間の評価は散々なものになっています。
しかし「ワイルドスピード」のイメージと切り離して見ればそれほど酷い出来ではなく、充分に見れるクオリティです。
個人的には、ポール・ウォーカー=カーアクションという固定観念を持って見た人たちから不当な評価を受けているように思えます。

また多くの方が書かれている「車を捨てて逃げれば良いのでは」という疑問ですが、舞台の南アフリカ・ヨハネスブルクといえば、治安の悪さで有名な町です。
白人の旅行者が徒歩で歩くなど自殺行為です。
隙を見せれば瞬殺されてしまうような街で、車を捨てて歩くなんてできないでしょう。
そんなヨハネスブルクの現状を知っていれば、車から降りなかったのも理解できます。
(でも一度は乗り捨てようと車から離れるシーンもあるのですが…)

トヨタ・セプター、BMW・E39、BMW・E36のクラッシュなど多少のカーアクションはありますが、車が見所ではありません。
ポール・ウォーカーが運転するミニバンに限っては外観が全く描写されません。
一瞬だけガラスに映るシーンや、TVニュースで逃亡犯の車と同型車して紹介されるシーンで、それがクライスラー・ボイジャーである事が判明します。
あくまでも車内のポール・ウォーカーが主体の映像で、初めて訪れた危険な国で、濡れ衣を着せられた逃亡犯の苦悩を描いています。

車内から映したカーアクション映画としてはライアン・ゴズリング主演の「ドライブ」と似ています。
でも決定的に違うのは、「ドライブ」は車内から外を見たPOV映像がメインであること、「逃走車」は車内のドライバーを映している事です。
カメラが内向きか外向きかで見る者へ与える印象が大きく違うのが興味深いです。

「逃走車」は貧乏臭い程ではないものの、必要最低限の予算で撮られた作品である事は明白。
最近の「ワイルドスピード」のようなA級娯楽作でもありません。
またポール・ウォーカー以外スターも出ていないし、有名なスタッフもいません。
でもポール・ウォーカーが製作まで買って出た作品です。
サスペンス映画としてはいい線いってると思うので、固定観念を捨てて正当に評価してあげてほしい。。。

 


ゲッタウェイ・スーパースネーク(原題:GETAWAY)

2013年アメリカ映画

原題を見るとサム・ペキンパーの「ゲッタウェイ」のリメイクか?と一瞬思いますが全くの無関係。
最初から最後までほぼシェルビーGT500スーパースネークの車内で展開するお話です。
ちなみに、シェルビーGT500とは、フォード・マスタングをキャロル・シェルビー監修の元でスーパースポーツ化した車両で、その中でもスーパースネークはさらに高度なチューニングが加えられており、最もハイスペックなモデルはフォードの保証対象外となるほど限界を極めたモデルです。

ブルガリアに移住した元カーレーサーのブレントは、帰宅してみると自宅は荒らされ、妻が何者かに連れ去られていた。
そこに残されていたiPhoneに掛かってきた電話の相手は、妻を助けたければ駐車場に停めてある「特別なクルマ」を盗み出すよう告げる。
指定された駐車場へ向かうと、そこにはシルバーにブラックラインのシェルビーGT500スーパースネークがあった。
駐車場から盗み出した途端、多数のパトカーが追跡を開始。
電話の相手は次々と無理な走りを要求してくるが、車内、車外には無数の小型カメラが設置されており、ブレントの動きは完全に監視されているため逆らう事が出来ない。
自慢のドライビングテクニックで、次々とパトカーを破壊し、人ごみや交通量の多い街中を暴走するブレント。
警察をまき、裏通りに潜んでいると、銃を持った若い女が助手席に乗り込んできて車を奪おうとする。
しかしiPhoneの向こうの男は、車から降りる事を許さず、女を乗せたまま走り出すよう指示する。
こうして事件に巻き込まれた少女だったが、スーパースネークの持ち主である事が判明。
数日前に盗まれた愛車が見つかったと警官から連絡が入り、取り戻すために乗り込んできたという。
しかしそれも警官を装った仕掛け人の罠であり、全ては彼の計画通りだった。
再び多数のパトカーに追われる中、電話の主は発電所へ向かい、破壊して電力の供給を止めるよう要求してきた。
発電所に忍び込んだ少女はパソコンを操作し、発電所のシステムに負荷を掛けて爆破、街中の電力が絶たれた。
次の指示は、ブルガリア投資銀行へ向かう事。
銀行は停電になるとコンピューターの中枢を別の場所へ移す。
仕掛け人たちは銀行の地下から運び出されるそのコンピューターを奪う為、ブレントたちを囮として銀行の正面に向かわせようとしたのだ。
その計画に気付いた二人は銀行の地下へ向かい、奪われそうになったコンピューターを奪い返し、組織からも追われる事になる。。。

クルマから降りられず、相手の指示に従って走り続けなくてはならないというサスペンス要素を盛り込んだカーアクション映画です。
ホラー映画製作で有名なダーク・キャッスル・エンターテインメントの作品だけあって、カーアクションの体を取りながらも一味違う作品です。
主役のブレントを演じるのはイーサン・ホーク、巻き込まれる少女はセレーナ・ゴメス、謎の仕掛け人がアンジーのパパ、ジョン・ヴォイトです。
これだけのスターを揃えてはいるものの、映画の出来は良くも悪くも思いっきりB級。この人たち、どうして出ちゃったんだろ…。
最後のオチもいまいち落ち切らずに不完全燃焼でしたし。
何気なくつけたテレビで放送しているのを見たら得した気分になるかもしれないけど、わざわざお金を払って見て満足できるのは一部のマニアだけかもしれません。

カーアクション映画ファンとしては、走行シーンの見せ方にちょっと不満が残ります。
小刻みにした映像を編集で繋いでテンポよく見せているのですが、アクションシーンのワンカットが短すぎて動きを感じる暇がなく、静止画をスライドショーで見ているような印象。
せっかくのアクションなんだからその動きはしっかり見せないといけませんよね。
ラスト、敵のクルマを延々と長回しで追いかける場面はちょっと面白かったですが、途中でウインカーを出している車を見るとその点滅速度が速く、早回ししているのがバレバレ。勿体ないなあ。

降りたくても降りられないというスリラー要素も、結局は車内にいる二人だけで展開していくのでやはり動きが少なく、予想外の展開に発展しずらいので後半はややマンネリを感じます。
アクションとしてもスリラーとしても中途半端になっているのが惜しいですねえ。

では、とりあえずシェルビーGT500スーパースネークでも眺めて楽しみましょうか♪と思うと、アクションシーンの殆どが普通のマスタング。
ボンネットはスーパースネーク風に変えられていますが、フロントバンパーが標準仕様のマスタングのままでグリル部分だけちょっとGT500に似せて手直しした状態なんです。
マスタングとシェルビーGT500ではフロントバンパーを見れば、丸型フォグランプの有無などで簡単に見分けが付いちゃうんですよねえ。
高額なスーパースネークを壊せないのは理解できるんですけど、外観だけでもしっかりシェルビーGT500化してほしかったですね。

 

マッドマックス 怒りのデス・ロード(原題:MAD MAX : FURY ROAD)

2015年オーストラリア映画

2000年代初頭から噂のあった「マッドマックス」シリーズ4作目です。
製作されると報じられはじめた当時からその情報にアンテナを張っていましたが、同時多発テロや中東の戦争などの影響で何度も撮影が延期され、その度にガッカリしていました。
天に見放されたかのように実現しない製作に、待っているファン誰もが企画が立ち消えになるのではないかと思っていたはずです。
でも、このように世界情勢に翻弄されながらもジョージ・ミラー監督のひたむきな情熱は消える事無く、製作する事を何度も公言していました。
そして2015年、ついに公開されるに至ったのです!!

このように長いあいだ楽しみにしていた作品は、見る前の期待が作品のクオリティを上回ってしまうことがよくあります。
さらに公開に先駆けて発表された予告編は、こんなに見せちゃっていいの?と心配になるくらいの激しいアクションと爆発、炎上シーンのオンパレード。
期待を煽りまくったうえに、先行して見せ場を惜しげもなく公開しちゃうなんて…と、鑑賞前から不安を感じていました。。。

ところが!ジョージ・ミラー監督は高まりまくった期待を遥かに超える新しい「マッドマックス」を作ってくれました!
先出しのアクションシーンは作品を構成する一部であり、見どころはそれだけではありませんでした!

核戦争により文明が崩壊し、水や緑が消えうせた荒廃した大地を愛車インターセプターで走るマックス(トム・ハーディ)。
しかし襲い掛かってきた軍団により愛車は横転させられ、マックスは捕らえられてしまう。
マックスが連れて行かれたのは、汲み上げた地下水とカリスマ性を餌に人々を牛耳るイモータン・ジョー(トゥーカッターを演じたヒュー・キース・バーン!)の街。
そこでは「ウォー・ボーイズ」と呼ばれるイモータン・ジョーの兵隊たちが街を守っていた。
核戦争の影響で体を病んだウォー・ボーイズの一人、ニュークスに輸血をするため、「血液袋」として逆さ吊りにされ血を抜かれるマックス。
その頃、ウォー・ボーイズを束ねる女隊長フュリオサ(シャーリーズ・セロン)が、イモータン・ジョーが囲っていた5人の美女を連れ出し、装甲を強化したトレーラー「ウォー・タンク」で街からの逃亡を図った。
彼女たちを連れ戻す為、改造車に乗り込んで出撃するウォー・ボーイズたち。
瀕死のニュークスも「血液袋」を愛車に括りつけてウォー・タンクを追いかける。
敵対グループの縄張りに入り込んだウォー・タンクは複数の武装グループからの攻撃を受けるが、砂嵐の中に逃げ込んで追っ手を振り切った。
ニュークスのクルマは砂嵐の中で爆発し、血液袋のマックスは吹き飛ばされてしまう。
天候が回復し目覚めたマックスは、鎖で繋がれ、意識を失ったニュークスを担いで歩き出す。
しばらく進むと、ウォー・タンクに詰まった砂を取り除いているフュリオサと女たちを発見する。
フュリオサとの激しい格闘の末、ウォー・タンクで一緒に旅をする事になったマックスとニュークス。
しかし車輪の跡を見つけた武装グループたちが再び彼らの追跡を開始していた。。。

ここまでが前半の大攻防戦です。
緑の楽園を探して走り続けるマックスたちに、次々と改造車に乗った集団が襲い掛かります。
命からがら旅を続けますが、結局緑の楽園は汚染され、既に消滅してしまった事を知らされます。
そこからさらなる未知の楽園を目指そうとするフュリオサにマックスは、兵隊を総動員して自分たちを追っているイモータン・ジョーが不在の今、彼の街へ戻って乗っ取る事を提案。
こうして来た道を戻る事になるのですが、そこで待ち構えている武装軍団との戦いが後半の山場となります。

このようにマックスが乗った大型トレーラーに敵が襲い掛かるというパターンは、「マッドマックス2」「マッドマックス サンダードーム」と同じ展開です。
ただ旧作と大きく違うのは、映画開始早々から激しい追跡シーンがずっと続くという点。2作目、3作目ラストのような大攻防戦がずっと続く訳です。
敵をまいた直後は一瞬穏やかな時間も訪れますが、基本的に超ハイテンションをずっと持続させているのが凄い。
若い頃のジョージ・ミラー監督よりも、年老いた今の方がはるかにパワフルなのが驚きです!
年と共に衰えてしまう巨匠も多いというのに、未だに進化し続けるジョージ・ミラー監督は素晴らしい過ぎます。
噂じゃこれが新3部作の1作目という話もあるので、5作目、6作目も期待しちゃいますね~。

以下、その他気になったところ。

過去の「マッドマックス」からは感じられなかった壮大なスケール感に圧倒されます。
3Dでの上映も考慮してか、奥行きや立体感が感じられる映像で、その点も旧作より良かったです。

音を上手く活かした映像が新鮮でした。(エンジン音、砂の音、BGM等)

登場する車は、鉄パイプに幌を被せただけのような「マッドマックス サンダードーム」とは違い、もっとクルマらしい形をしていて嬉しかったです。
しかもカスタマイズが斬新で面白かった。(あんな原始的な暮らしをしながらよくあんな凄い改造車を作れましたね)

主役であるマックスの存在感がイマイチ薄く、シャーリーズ・セロン演じるフュリオサの方が印象に残ってしまうのはちょっと残念。
ただ、トム・ハーディの作品ごとの変貌ぶりは面白いですね。「ブロンソン」や「ダークナイト・ライジング」とは別人にしか見えません。

マッドマックスファンが大好きなインターセプターが、映画開始早々横転してしまいその後マックスが乗るシーンがない。
敵が修理してマックスたちの追跡に使用するんですが、他人が乗ってるのを見て「それ俺のクルマだよ」とボヤくマックスがかわいい。

走行中のマフラーやエンジンを素手で触って熱くないんでしょうか…。

パロディというほどでもないんですが、ちょこちょこと旧作を思い起こさせる演出がありました。
これはシリーズのファンへのご褒美といったところでしょうかね♪


こんなにパワフルなアクション映画は稀有です。
劇場のスクリーンで見れて幸せでした♪
実現まで幾多の苦労があったにも関わらず、これほどの作品を完成させてくれたジョージ・ミラー監督、ありがとう!!!



ワイルドなスピード! AHO MISSION(原題:SUPER FAST !)

2015年アメリカ映画

「ワイルドスピード」シリーズをパロディ化したコメディです。
笑いの質は「最終絶叫計画」シリーズなどのくだらない系です。
バカ丸出しのなので細かい突っ込みは入れず、呆れながら失笑するのが正しい楽しみ方です。
「ワイルドスピード」ファンはパロディネタを探しながら見るというお楽しみもあります。


ルーカス・ホワイト巡査は身分を隠し、犯罪の疑いがある走り屋グループに接近する。
リーダーのヴィンに気に入られたルーカスは、チームの一員となり、ヴィンの妹ジョーダナと恋仲になる。
他のチームメンバーは、ルーカス加入を快く思っていないカーティス、ヴィンの恋人ミシェル。
グループはギャングがタコス屋に隠した大金を強奪する計画を立てる。
そこで新たに用意したメンバーが、ラッパー風の黒人、常にスナックを食べてるアジア人、モデル風美女の3人。
こうしてどこかで見た事のあるメンバーが揃い、強奪計画の準備を進める。
マッチョの刑事ロック・ジョンソンが彼らの計画を阻止しようとする中、タコス屋を襲撃する一行だったが…。


キャラクターはワイルドスピード」に出演している俳優から名前を拝借していて、ヴィンはヴィン・ディーゼル、ミシェルはミシェル・ロドリゲス、ジョーダナはジョーダナ・ブリュースター、ロック・ジョンソンはドウェイン・ジョンソン(別名ザ・ロック)。
でも主人公はポール・ウォーカーが演じたブライアンと同じ潜入捜査官ながら、その名前は、「ワイルドスピード TOKYO DRIFT」で主役を演じたルーカス・ブラックならぬルーカス・ホワイト。故人に対する気遣い?
あと、マット・シュルツ演じたヴィンスが何故カーティスなのかも気になる所。
ヴィン、カーティス、ミシェル、ロック刑事あたりは、まあ無理して見ればオリジナルキャラに似てなくもないかな…というレベルですが、主役のルーカスはポール・ウォーカーにもルーカス・ブラックにも似てないし、ジョーダナも全く別のタイプですね。
ちなみにロック刑事と一緒にいる女刑事はエルサ・パタキではなく、「ワイルドスピードX2」のエヴァ・メンデスにデニス・リチャーズを足した感じでした。

また、カーティスを演じたダニエル・ブックは、「TOKYO DRIFT」の冒頭、バイパーをぶっ壊す高校生の仲間として出演していたり、ギャングの手下役のジョセフ・ジュリアン・ソリアは「ワイルドスピードMAX」に出ていました。

監督は「最終絶叫計画」シリーズの脚本を書いたコンビ、ジェイソン・フリードバーグとアーロン・セルツァーの共同です。

「ワイルドスピード」のパロディという事でクルマは出てきますが、車種もカスタムもカーアクションもビミョー。
「ワイルドスピード」を笑い飛ばす事が目的であって、クルマを楽しむ映画ではないのでご注意を。

突然の事故でパロディ元の主演俳優がこの世を去ってしまうという微妙な時期に製作されたこの作品。
不謹慎な…と一瞬思いましたが、実際に見てみると気になる場面はありませんでした。
わたくしも「ワイルドスピード」シリーズは大好物ですが、くだらないなりに楽しめました~。




 

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