アメ車マニア


<2000年代のカーアクション映画>

※ワイルドスピードシリーズはまとめて掲載しています。

<1970年代へ>  <1980~1990年代へ>  <2010年~>


60セカンズ(原題:GONE IN 60 SECONDS)

2000年アメリカ映画

バニシングin60のリメイク作品です。
1989年8月、バニシングin60PART2撮影中、不慮の事故により亡くなってしまったH.B.ハリッキーの遺志を、結婚後わずか3ヶ月で未亡人となったハリッキー夫人が、あの大物プロデューサー、ジェリー”アルマゲドン”ブラッカイマーに企画を持ちかけた事から実現した作品だそうです。
監督のドミニク”カリフォルニア”セナは、ジャンクマンの撮影クルーとしてハリッキーのもとで働いた経験の持ち主。
ハリッキー映画ファンとしてはたまらない生い立ちを持った映画です!

ストーリーは、リストアップされた高級車数十台を短期間のうちに盗まなければならない、というのが概要で、これはバニシングin60と同じ。
ただ細かな部分はかなりアレンジされており、バニシングin60を知っている人間にとっては「う~ん・・・」というのが正直な感想。
盗むクルマの持ち主の事を考えて盗難保険に加入しているクルマしか盗まない、というのがオリジナル版の主人公達がこだわっていた部分。
ここが好きな部分でもあったのに、新作の中ではそのエピソードは省かれていました。
オリジナル版では主役はクルマ、人間はオマケ。
セリフも無く延々45分間(上映時間の半分です)もマスタング対パトカーの追いかけっこ&ぶつかり合いが展開されました。
ところが今回のリメイク版は主役はニコラスケイジ、クルマはオマケ(あたりまえといえばあたりまえか・・・)。
見せ場のシェルビーGT500のジャンプシーンなんてCG合成だったし。
もしハリッキーが生きててこれを見たら何て言うだろう?なんて考えると今日も眠れません。
カーアクション映画に大スターもCGも要らんっ!!とか言うのかな・・・。

とは言っても、普通の映画として見たら立派なA級大作アクション映画です。
文句ばかり書いてますけれど、実は近年見た映画の中では一番興奮しました!!
オリジナル版の存在を忘れて見れば素直に楽しめます。
シェルビー、HEMI cuda 、エスカレード、ハマー、69カマロ、ベビーサンダー、ベルエア、コルベット、GTO、ナビゲーター・・・
出てくるクルマを見ているだけでも楽しいです。
特にHEMI cudaの中でニコラスケイジとアンジェリーナジョリーがエロエロモードになった時、ピストルグリップのマニュアルシフターが邪魔で途中で断念するシーン。
マッスルカーファン憧れのあのシフトノブのせいで生殺しにされたニコラスケイジ、アメ車好きには最高に笑えるエピソードでした!

あと、ニコラスケイジが運転して逃げ回るGT500、何でカスタムしてあるの?
ライトの横にプロジェクターのフォグ埋めこんでみたり、サイドステップみたいなエアロパーツ付いてたり。あれじゃ価値下がっちゃうでしょ!!
どうせ盗むならオリジナル盗めよっ!!なんて思ったのは自分だけなのでしょうか・・・ね?
追記(2001年2月)なんとあのシェルビーGT500、黒人カスタムカーデザイナーのスタンフォードがカスタムしたものでした。
オフシャルサイトhttp://video.go.com/goneinsixty/flash_intro.html

【アラ探し】
●メンフィスとキップが車で移動中、敵対するギャングに道を塞がれます。
 車を止められるまでの車内のシーンはどうみてもSUV。でも二人が降りてくる車はシェベル。

●逃亡中、エレノアのミラーをぶつけて壊しますが、所々で元通り直ってる場面があります。
●エンディング、キップがメンフィスにGT500をプレゼントするシーン、オットーがみんなを車の前に案内しますが、
 そこでチラッと映るGT500はウインドウとルーフしかシートが覆っていません。
 でもカットが切り替わると、フロント周りからウインドウまでをシートが覆っています。
●ヘロインが見つかるキャデラック。
 バニシングin60と同じくエルドラドですが、しかし中途半端な年式で魅力に乏しい。
 何でわざわざこんな半端な年式を選んだんだ?と思ってましたが、この世代のエルドラドは「ジャンクマン」で
 ハリッキーが乗ってたんですよね。それへのオマージュなのかな?

●キップの仲間の一人、トビーは、H.B.ハリッキーの愛称トビーから?それにしてはお粗末な役でしたねぇ。
●後から発売になったディレクターズカット版DVDは、通常板より10分も長くなっており、エレノアの逃走シーンも
 いくつか新たな場面が追加になっている。

    


ワイルドスピード(原題:THE FAST AND THE FURIOUS)

2001年アメリカ映画

2001年10月に日本でも劇場公開されました。
公開時はそれほど話題にもならず、2~3週間で打ち切りになったのですが、その後発売されたDVDが記録的な大ヒットとなった作品です。
日本車などの小型車をベースに、ビジュアルと走りを高めるカスタムを施した「スポーツコンパクト」と呼ばれるカスタムカーが活躍します。
日本でもスポコンと呼ばれて一時期流行ってましたね(→自分が乗ってたキャバリエもスポコン風味でした)。
ここに登場するカスタムカーたちは本物ばかり。
全米のカスタムカーを取りまとめる協会の協力により、雑誌のグラビアを飾るような有名な車両がかき集められて出演しているんです。
主人公が乗るオレンジの80スープラは、確かその協会の会長が所有する車両だったと記憶しています。
映画用の車両を仕立てるのではなく、このように本物のカスタムカーを使用することで、映画としては珍しいほどリアルなカスタムシーンが描かれています。

ストーリーは、チューニングされたシビックでトラックを襲う連続ハイジャック団を追う捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)が主人公。
身分を隠してストリートレーサーの集団に紛れ込みます。
違法な公道レースに参加するうちに有力なチームのリーダー、ドミニク(ヴィン・ディーゼル)に認められ、チームと行動を共にしつつ犯人を捜していきます。
仲間との友情が芽生え始めた頃、自分の所属するチームがトラック強盗団であることを知る…。

スポコン、ストリートレースなどをベースにしていますが、クライムアクションとしてしっかりしたストーリーが組み立てられているため、単なるクルママニア向けの映画ではありません。しっかりした娯楽作品です。
監督のロブ・コーエン特有のちょっとB級臭漂う力の抜けた演出がアングラ感を生み出し、作品にプラス効果をもたらしています。
出演した若手スターたちもこの作品の後人気が出て、ポール・ウォーカー(南極物語、ボビーZ)、ヴィン・ディーゼル(トリプルX、キャプテンウルフ)、ミシェル・ロドリゲス(SWAT、バイオハザード)、ジョーダナ・ブリュースター(テキサス・チェーンソー・ビギニング)それぞれが活躍しています。

       


ワイルドスピードX2(原題:2 FAST 2 FURIOUS)

2003年アメリカ映画

スポコンファン待望の2作目!試写会のチケットをGETできるチャンスがあったのに、どうしても仕事で抜けられず断念した経緯もあり、公開早々見に行って来ました。
今回は1作目よりもテンポが良く、クルマに興味が無い人でも楽しめるエンターテイメントMOVIEに仕上がっています。
監督が「ボーイズ'ン・ザ・フッド」や「シャフト」のジョン・シングルトンに変わったのもいい感じ。
1作目と同じロブ コーエン監督だと、B級臭さが漂う演出になりそうですからね。
プレステのレースゲームを意識したようなエンディングの遊び心も、ジョン・シングルトン監督ならではのユーモアかな。

ストーリーは、おとり捜査のために犯罪組織へ潜入する事を命じられた元警官のブライアンが、幼馴染みのローマンと共に自慢のドライビングテクニックを活かして悪人をぶっ潰す、というもの。
汚れた金を運ぶ運び屋として潜入するのですが、潜入捜査中とは知らない警察に追われたり結構スリリングです。
「クルマに興味が無い人でも楽しめる」けど、クルマが好きな人にはもっと楽しめるのは確実!
常に画面に登場している色鮮やかなスポコンを眺めるだけでも、この映画は楽しめますよ。
し・か・も、今回は1作目のダッジ・チャージャーに続きアメ車もたくさん登場します!!
おまけに車種が超マニアック!!!1970HEMIチャレンジャー、1969YENKOカマロ、サリーンマスタング、バイパー・・・アメ車好きの心をくすぐりますよね~。
サリーンマスタングは18ホイーラーに踏まれた挙げ句、C5コルベットに突っ込まれてグッチョグチョ。
ちなみに、HEMIチャレンジャーとYENKOカマロもクラッシュさせられてしまいます。←こうなると「あぁ、レプリカなんだなぁ。」と萎えちゃうのも事実だけど。。。
スポコンではブライアンのランエボ7とローマンのエクリプススパイダーのみが目立ってます。
この2台以外はその他大勢といった扱いでちょっと残念。
ブライアンが冒頭で乗ってるR34なんて、登場シーンは派手なのにあっという間にポリスに破壊されちゃうし。
あと、日系人スーキーのS2000にももっと活躍してもらいたかったなぁ。ピンクのS2000も、むくれっ面 で一生懸命走ってるデボン青木も、妙にかわいかったから。
とはいっても、警察の追跡をかく乱するために数百台のスポコン軍団が一斉に飛び出してくるシーンなど、やはりクルマ好き、特にスポコン好きにはたまらない映画ですね。

ブライアン役のポール ウォーカーが某インタビューで「3作目は是非日本で撮りたいね」と言っていたけど、そんな事になったら超楽しいですよねっ!
エキストラでうちのキャバリエ君も使ってくれないかなぁ。
撮影開始までにさらにお金を注ぎ込まねば。

あ、そういえば、パンフレットにHEMIチャレンジャーの排気量が5900ccと書いてありましたが、約7000ccの間違いでーす。

       


ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT(FAST AND THE FURIOUS:TOKYO DRIFT)

2006年アメリカ映画

あのワイルドスピードシリーズの3作目です。
2作目終了後から、次回作は日本が舞台になるのでは!?なんていう噂が飛び交っていましたが、なんと本当に東京が舞台です!すげーっ!!
実際に都内でロケを行っているので、撮影当時も「新宿で撮影に出くわした」なんて情報を耳にしましたよ。

1作目は公道ドラッグレース、2作目は公道レースでしたが、今度の3作目では公道ドリフト大会!
制作当時、アメリカでは日本のD1が飛び火してドリフトがブームでしたから、そんな風潮も反映されているのでしょうね。
ドリフトしないでグリップ走行した方が早いのでは!?なんていう野暮な突込みは入れずに、素直に迫力の走行シーンを楽しみましょう!

母親と二人、アメリカで暮らしていた高校生ショーンは、公道レースで大事故を起こして警察沙汰になります。
問題児であるショーンはおかんに見放され、離れて暮らす父親の住む東京の高校へと転校してきます。
今回はここで出会ったストリートレーサーたちとレースをすることになるのですが、そこにヤクザが絡んできて再度トラブルに巻き込まれていきます。
・・・と、ここまで書いたのに何ですが、はっきり言ってストーリーなんてどうでもいいです。 そんな程度のお話です。
要は、トラブルの決着はドリフトで決めようぜ!ということになってレースをする。それだけです。
シリーズ3作中、脚本の出来は一番ヒドイです。
メリハリが無く、ダラダラしてて、起伏が無いまま終了。
それにもうちょっと東京を活かしたお話が作れなかったものでしょうか。

キャストも弱い。
ルーカス・ブラック、BOWWOWは知ってるけど、映画の中心に置くにはキャラクターが貧弱。
感情移入できないんですなぁ。
ポール・ウォーカーには遠く及びません。
ヒロインのナタリー・ケリーも華が無いし、北川景子なんて添え物でしかない。
でも俳優たちが悪いんじゃなくて、彼らを活かせてない演出サイドの問題でしょうね。
そんな中で存在感があったのは、悪役D.K.とハンのアジア系の2人くらいでしょうか。
といってもヴィン・ディーゼルのようなオーラを期待したらいけませんよ~。
あと、ゲスト出演の日本人俳優の中で、柴田理恵さんは良かったですねっ。 うるさい女教師を好演してました。
妻夫木は若手演技派俳優なのに「こ、これだけ!?」という役でした。出ないほうが良かったのでは。。。

今回登場の車種は、複数のZ33、FD3S、ランエボ、S15など、やはり日本車が多いです。
でも今回はスポコンというよりも競技車輌っぽいドレスアップで、個人的にはいまいちつまらなかったです。
そして最後のバトル、悪役D.K.のZ33に対して主人公が乗るのは1967年型マスタング!!
しかもエンジンはスカイラインGT-RのRB26DETTに換装してる化け物。
ま、アメ車ファンにとっては「余計なことを・・・」という突っ込みどころですが。

それにしてもこのワイスピシリーズ、日本車が大活躍していても最後の締めだけは必ずアメ車ですね。
観客の愛国心をくすぐる戦法なんですかねぇ。
ストーリーとしてはいまいちだけど、ドリフトシーンは結構迫力があるのでそっちをメインとして見れば楽しめると思います。
あと一番最後のサプライズも気が利いてますよっ♪

       


ワイルドスピードMAX(原題:FAST & FURIOUS)

2009年アメリカ映画

シリーズ中一番お気に入りの1作目のキャストが再集結した「ワイルドスピード」4作目。
ドミニク=ヴィン・ディーゼル、ブライアン=ポール・ウォーカー、レティ=ミシェル・ロドリゲス、ミア=ジョーダナ・ブリュースターが見れるだけでもファンには堪りません!
監督は残念ながら1作目のロブ・コーエンではなく、前作「~TOKYO DRIFT」のジャスティン・リン監督が連投。

ドミニカ共和国で相変わらずトラック強奪を繰り返すドミニクたち。
しかし警察の捜査が迫ってきた事から、仲間の身を案じ、強盗団を解散して姿を消すドミニク。
しかしそれから暫くして、アメリカに戻ったレティが麻薬組織のトラブルに巻き込まれて命を落としてしまう。
復讐のためLAに舞い戻るドミニクは、FBI捜査官として捜査を行うブライアンと再会し、レティの命を奪った犯人を追い詰めていく。

今回戦うことになる犯罪組織が麻薬の運び屋を選ぶためにストリートレースを開催、そこに2人で潜り込む事になります。
この辺の流れは2作目と被りますが見所の一つです。
そして運良く組織に認められ、二人揃って麻薬の運び屋となってメキシコへと不法入国させられます。
国境を跨いで地下に秘密のトンネルが隠されており、ここを国境警備隊に気付かれる前に猛スピードで通過しなければならない。。。
よく厳戒な警備の国境にそんなもん作ったね…と突っ込みながらもアイデアとしては面白いです。
が、トンネルと言っても岩山をくり貫いただけのまるで鉱山の坑道のような狭い通路で、そこを車高短の改造車が猛スピードで走るという設定に無理がありまくり。
絵的にも閉鎖的な空間で周囲は岩肌のみという殺風景な中なので華がありません。
残念な事にラストのバトルもこのトンネルが舞台なんですよねぇ。
できれば1作目の最後みたいに、アメリカのストリートで決着をつけて欲しかったなぁ。

登場するクルマはシリーズ中で一番アメ車が多いです。
主要な登場車種を列挙してみると、ダッジ・チャージャー、シボレー・シェベル、ビュイック・リーガル グランナショナルGNX、フォード・グラントリノ、シボレーC10、ハマー・H1、マスタングS197、R34GT-R、インプレッサWRX STI、NSX、V35スカイラインクーペ、BMW5シリーズ E39、ポルシェ・ケイマンなどなど。
アメ車が多いのはアメ車好きとしては嬉しいけど、「ワイルドスピード」=スポコン映画と認識してるからちょっと複雑。
1作目は北米のスポコン協会(?)推薦のリアルなチューニングカーたちを出演させてただけあって、当時最先端のカスタムやストリートの雰囲気、カスタムカルチャーまでも映画の中に取り込んでいたのが素晴らしかった。
でも本作も含めて2作目以降はそういうリアリティが無くなってしまったのが残念。

あと、ラストの砂漠でギャング軍団に追われる場面ですが、ギャングの乗るクルマがその辺の中古車屋の隅で埃被ってるようなクルマばかりなのがドン引き。
車種もタイプもバラバラでビジュアルの統一感が無く、みんな揃ってポンコツ、追跡車としては明らかに性能が不足している車種ばかりなんです。
その他大勢に分類されるエキストラだけど、クルマが主役の映画でクルマを手抜きしちゃ駄目でしょう。

このように物足りないところや突っ込みどころもあるにはありますが、近年のカーアクション映画の中では充分及第点。
格好いいカスタムカーと、再結集したオリジナルキャストだけでも見る価値はありますよ。

ちなみに4作目のDVD&Blu-Ray発売を機に、シリーズ全4作をパッケージしたボックスセットが発売されました。
1~3作目までDVDで持ってたけど、Blu-Ray4本セットを追加購入しちゃいました。
家庭でこんなに高画質な映画が見れるなんて本当にいい時代になりましたねぇ。(しみじみ)

       


ワイルドスピードMEGA MAX(原題:FAST FIVE)

2011年アメリカ映画

ワイルドスピードの5作目はなぜか「MEGA MAX」。
普通に戻して「ワイルドスピード5」でいいんじゃね?
2012年時点の情報じゃ7作目まで作るって話だし、6作目は「SUPER MEGA MAX」?7作目「ULTRA SUPER MEGA MAX」ってな感じになるんでしょうか?あ~分かりにくくて嫌だ。

さて、そんな5作目「MEGA MAX」は、前作「ワイルドスピードMAX」からの流れで1作目のキャストが中心となるストーリーです。
しかも今回は2作目のメンバーも加わり、ついに1作目と2作目の接点ができたんです。
そう、2作目にはブライアン(ポール・ウォーカー)以外、1作目の主要キャストは絡んでいなかったんですよね。
ちょっと意外ですが、ドミニク(ヴィン・ディーゼル)とローマン(タイリース・ギブソン)は5作目で初顔合わせなんです。
シリーズ通して見ているファンは、そんな顔合わせのシーンにニヤニヤしちゃいますね。
個人的にはスーキー(デボン青木)あたりも引っ張り出して欲しかったなあ。

さてさて、お話は前作のエンディング、逮捕されたドミニクを護送車から奪還するシーンから始まります。
ブライアンが乗る1970年型シャージャーが大型バスの前で急ブレーキをかけると、止まりきれないバスがチャージャーのお尻に激突してゴロンゴロン横転します。
ちなみにチャージャーは戦車並みに重いのか、 突き飛ばされもせずに姿勢を乱しません。んなアホな。

こうしてドミニクを奪還したブライアンとミア(ジョーダナ・ブリュースター)は、逃亡の末、ブラジルで暮らすヴィンスを訪ねます。
ヴィンスといえば1作目でミアを取り合ったブライアンの恋敵。
しかし現在はブラジル人の奥さんとの間に子供も生まれ、幸せそうに暮らしています。
ブライアンたちにヴィンスは「逃亡資金を稼がないか?」と自動車泥棒の話を持ちかけます。
走行中の列車にトラックを横付けして積まれたスーパーカーを奪い取るという大胆な計画に、彼らは参加する事を決める。
しかしこの車はFBIがリオの麻薬組織から押収した証拠品だった。
どうにかフォードGT40、デトマソ・パンテーラを盗み出し逃がしたブライアンとドミニクだったが、二人は組織に捕まり殺されかけた所で命からがら逃亡に成功する。
隠れ家で落ち合った仲間と盗んだGT40をバラしてみると、なんとナビのチップに麻薬組織の極秘資料が隠されている事を発見する。
とその瞬間、アジトにもギャング軍団と腕利き捜査官ホブス(ドウェイン・ジョンソン)率いるFBIが同時に急襲。
居場所を失った一行はVWの廃工場に場所を移し、そこへ世界中にいる仲間を呼び集める。
ドミニクはリオの麻薬王の財産を丸ごと奪い取る計画を立てたのだった!

結構今回はストーリーもちゃんとしてて非常に見ごたえがあります。
おまけに前述の列車のシーンに加え、リオ名物バラック上での追いかけっこや、ドミニクと ホブスの素手の大乱闘など、クライムアクションとしての見所もたくさん。
もちろん様々なカーアクションシーンも用意されています。
でもやはり一番の見所は、予告編でも見せていた2台のダッジ・チャージャーSRT8で巨大な金庫を引っ張り回すシーン。
殆どCGかと思いきや、実際に巨大な金庫を引きずり回したそうで、その迫力はかなりのもの。
これまでの作品では単に走って終わりだったラストシーンがとても賑やかになっています。

あとお馴染みのキャラクターを上手く活かせていたのがファンとしては嬉しかったです。
中でもブライアンの恋敵ヴィンス。あいつって昔から嫌な奴だけど、本当はいい奴で誤解され易い性格のキャラでした。
それが今回もしっかり引き継がれてて、しかも泣かせてくれるんですよ。ヴィンス、お気に入りの脇役キャラです。

最後、大金を手にした一味はそれぞれ思い思いの車で旅立っていくんですが、LEXUS LF-Aに乗ったハンさん、同乗しているおねえちゃんに「東京には行かないの?」と聞かれ「まだ行かない」というような事を答えてました。
TOKYO DRIFTで彼は死んでしまいますからね。自分の悲しい運命を知っているかのようなハンさんの態度にちょっと切なくなりました。
あ、ちなみにエンドロールが始まったからって消しちゃダメですよ。
最後にスペシャルゲストの登場と次作のヒントが提示されますからね。

監督は3作目、4作目と同じジャスティン・リン。
正直、3作目「TOKYO DRIFT」の時にはもうジャスティン・リンは使って欲しくないと思ってました。
それが4作目では「あら?随分マシになった?」とは思ったものの、まだ不完全燃焼気味。
ところがこの5作目では完全に吹っ切れてます!一流の娯楽作品監督と言えるレベルにまで到達したように思います。
まあ顔なじみのキャストや ド派手な映像に助けられた部分はあるかもしれませんが、この「MEGA MAX」は誰にでもお勧めできるエンターテイメント作品になっています。

自分は劇場で見ましたがBlu-rayソフトも発売日に買いました。
4作目のソフト発売時には、1作~4作目までがセットになったBOX版Blu-rayも買って持っているので1~5作目まで全部Blu-rayで揃いました!…と喜べない事態が。。。
5作目発売に合わせ、5枚セットBlu-ray BOXが出てしまったのです。。。
まあ気分の問題なんですけど、何だか悔しいですよね。
シリーズもののファンにとってボックスセットってのは永遠のテーマですから。。。
でもまた6作目、7作目と続くようですし、気にしたらキリがないので出来る限り気にしないようにします。。。

     


ワイルド・スピード EURO MISSION(原題:FAST & FURIOUS 6)

2013年アメリカ映画

ついにワイルドスピードシリーズも6作目!
低予算のカーアクション映画として誕生しましたが、回を重ねるごとにスケールアップし続け、カーアクションという枠を超えたエンターテイメント大作へと成長しました。
日本では1作目が公開された時は3週間で打ち切られるという憂き目に遭ったものの、2作目からはDVD販売も含め、ドル箱シリーズへと大化け。
この6作目公開前から既に7作目の製作も決定するなど、まだまだ続きそうな気配です。

物語上のサプライズシーンなどは伏せつつストーリーの概要を書きます。
でもこれを書いてる時点ではまだ劇場公開中。
多少のネタバレもあるので予備知識を入れたくない人は読まないでくださいね。

国際手配されスペイン領のカナリア諸島へと逃亡したドミニク(ヴィン・ディーゼル)、ブライアン(ポール・ウォーカー)。
ドミニクは新しい恋人エレナ(エルサ・パタキ)と、ブライアンはミア(ジョーダナ・ブリュースター)と誕生したばかりの赤ちゃんと共に暮らしていた。
そこへホブス捜査官(ドゥエイン・ジョンソン)が現れ、ロシアで軍事機密強奪事件を起こした犯罪組織に、死んだはずのドミニクの元恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)が加わっている事を伝える。
盗まれた機密は強力な兵器を開発可能な部品を保管している軍事基地の情報だった。
ホブスはドミニクに仲間を招集して犯罪組織の検挙に協力してくれれば、レティの身柄と過去の犯罪に対する恩赦を与えると約束する。
こうして再度終結したドミニクの仲間達は、組織が活動するロンドンへと旅立つ。

元SAS(英国特殊部隊)のショウ率いる犯罪組織のアジトを急襲した一行は、逃亡したショウの追跡を開始。
するとそれを妨害するかのように現れたレティは、執拗に追いかけてきたドミニクの肩にためらいもなく銃弾を撃ち込んで逃げ失せた。

レティはFBI捜査官だったブライアンからの依頼で麻薬組織へ潜入している時、正体がバレて殺されかかった。
その時の衝撃で記憶を失い入院しているところをショウに拾われ、彼らの仕事に協力していたのだった。

ストリートレース会場へ現れたドミニクはレティの姿を見つけ、レースを挑む。
記憶を無くしながらも、ドミニクとの公道レースに懐かしさを感じるレティ。
しかし動揺した彼女は再び姿を消してしまう。

ブライアンは、ショウと取り引きのあったブラガ(4作目で逮捕)から情報を聞き出すため、収監されている刑務所に潜入する。
殺されかかりながらも情報を得たブライアンは仲間の下へと帰る。

犯罪組織が軍事施設を襲う兆候を見せたため、軍は彼らが狙う部品を装備した兵器の移送を開始する。
しかしショウたちはそれを見越し、移送中のトラックを狙ってハイウェイに居た。
それを阻止する為にドミニクやブライアンたちが現れ、激闘の末にショウを逮捕、クラッシュにより空中に放り出されたレティを救出する。

一件落着に見えたが、ショウの部下は自宅でブライアンたちの帰りを待っていたミアを拉致していた。
人質の命と引き換えに釈放された犯罪組織メンバーを、再びドミニクたちが追いかける。。。

ざっと書くとストーリーはこんな感じです。
現在公開中というタイミングで書いているので念のために一部曖昧にしてみました。

今回も色々な車種が登場しますが、中でも重要な役割を果たす車はこんな感じです。

ダッジ・チャージャー デイトナ(1969年型)
ジェンセン・インターセプター
フォード・エスコートRS
フォード・マスタング(1969年型)
BMW M5(E60)
アルファロメオ・ジュリエッタ
ダッジ・チャージャー(現行型)
ダッジ・チャレンジャー(現行型)
日産・GT-R(R35)
レンジローバー
メルセデス・Gクラス

登場車種やロンドンの町並みを見ていると今までのワイルドスピードと雰囲気が違って新鮮です。
ヨーロッパが舞台なだけあって、この他にも欧州メーカーのスーパーカーがたくさん登場します。
ただ背景の一部のような扱いなのでそれはあえて書いていません。
でも後ろに置かれている車を見るだけでも楽しめますよ。

ここからはさらにネタバレ全開でいきます。

カーアクションについてはちょっと物足りなさが残りました。
前作が車を使ったアクションが派手でしたから、それと比べると、という感じです。
夜のシーンが多いのも何となく地味に感じる原因だったかもしれません。

あと車だけで見せ場を作るのを諦めたのか、戦車や巨大輸送機などが使われています。
もちろん戦車vs車、輸送機vs車という構図ではありますが、自分が求めているワイルドスピードの形からはちょっと離れ過ぎた気がしました。

なお、犯罪組織の切り札としてフリップカーという車が登場します。
フロントノーズが斜めのスロープ状になっており、前方から来る車に対しジャンプ台のような形となり、相手をひっくり返せるというもの。
面白い仕掛けではあるのですが、このアイデアは「バニシングin60 PART2」に出てくるスライサーという車そっくりです。
「バニシングin60 PART2」自体、監督・主演他を務めたH・B・ハリッキーが撮影中に事故死してしまったため、未完のまま闇に葬られた感があります。
しかしそんな作品から露骨にアイデアを拝借するという姿勢にはあまり感心しません。

このような突っ込みどころがある反面、今回は人間ドラマに厚みがあったので映画作品としては非常に楽しめました。
今やハリウッドの人気女優となったミシェル・ロドリゲスの復活と、それに伴って展開する物語が最大の見所です。

ミッションを果たした見返りとして、約束どおり恩赦と、1作目でドミニクファミリーが集まっていたLAのあの家を取り戻します。
晴れてアメリカに戻った一行が1作目のようにガーデンパーティを楽しむシーンは、シリーズを見続けてきたファンにとっては感慨深いです。

また、ハン(サン・カン)はジゼル(ガル・ガドット)と共に東京で静かに暮らす約束をします。
しかし犯罪組織との最後の戦いで、ハンを守る為にジゼルは自ら死を選んでしまう。
傷心のハンはドミニクたちと別れて1人東京へ旅立つ…

と、突然LAから新宿へと場面が変わり、東京の街中をRX-7、ランエボ、Z33がカーチェイスする場面に切り替わります!
そう、「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」のシーンです!!
渋谷駅前を通り過ぎたあと、ハンが運転するRX-7にメルセデスのSクラス(W140)が激突します。
横転したRX-7の中でもがくハン。
ここからは「TOKYO DRIFT」では描かれなかったシーンですが、メルセデスのドアが開き、降りてきたのは何とジェイソン・ステイサム!!
彼は犯罪組織のリーダーだったシュウの兄で、殺された弟の復讐のため、手始めにハンを狙ったというのです!
ドミニクへの宣戦布告を口にするジェイソン・ステイサムの後ろで爆発炎上するハンのRX-7。。。

つまり、現在既に製作準備が始まっていると言われる7作目では、シリーズの番外編のように浮いた存在だった「TOKYO DRIFT」がワイルドスピードサーガに組み込まれ、その後のストーリーが展開するというのです!!!
しかも!またもや東京で撮影が行われる予定だそうで、日本のファンにとっては嬉しい限りです♪

『ワイルド・スピード』第7弾、舞台は再び東京に!(シネマトゥデイ・2013年5月20日)
http://www.cinematoday.jp/page/N0053135

せっかく日本を舞台にしたのに中途半端だった「TOKYO DRIFT」が、どのように7作目へと繋がっていくのか興味津々ですね~。
ちなみに、その「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」から4作連続で監督を務めてきたジャスティン・リンは、今回の6作目を最後にシリーズの監督を降板するそうです。
「TOKYO DRIFT」では2作目までのキャラクターが全く登場しない(ヴィン・ディーゼルのカメオ出演は除外)&ドリフトという異なる車文化を取り入れた事が災いし、当時はまだ無名だったジャスティン・リン監督に誰もが「あーあ、やっちゃった」と思ったはず。
ところが続く4作目「ワイルドスピードMAX」では1作目のキャラクターを集め、さらに5作目「ワイルドスピードMEGA MAX」では共演した事がなかった2作目のキャラクターも合流させて本来のワイルドスピードの世界観を広げる事に成功しました。
ジャスティン・リンは今やハリウッド超大作を依頼されるほどの大物監督です。
そんな監督の成長ぶりは「TOKYO DRIFT」から順にワイルドスピードシリーズを見ていく事で実感できるのが面白い。
まさにワイルドスピードと共に成長してきた監督といえるのではないでしょうか。

こうしてジャスティン・リン監督が1作ごとにスケールアップさせてきた流れを見ると、今回の6作目が単なるカーアクション映画の枠に収まりきらなかったというのも理解できる気がしますね。

ちなみにジャスティン・リンの後を継ぐのは「ソウ」のジェームズ・ワン監督。
「ソウ」は画期的な構成の映画でしたし、先の読めないストーリーをスピーディに見せていました。
ただ、ホラー映画監督というイメージが強いジェームズ・ワンがワイルドスピードをどう料理するのか、蓋を開けてみるまでは想像もつきません。
期待と不安が入り混じったまま、7作目の完成を楽しみに待ちたいと思います。

   


ワイルド・スピード SKY MISSION(原題:FURIOUS 7)

2015年アメリカ映画

公開初日に劇場で見てきました。

人気カーアクション映画シリーズの第7弾。1作目から追いかけてきたファンとしてはここまでの長寿シリーズに成長したのが嬉しいです。
ただし、この7作目の撮影中、シリーズの存続に関わるあの悲劇が起こってしまいました。
ヴィン・ディーゼルと共に1作目から主役を張って来たポール・ウォーカーが交通事故で他界してしまったのです。
自信が主催するチャリティイベントへ愛車のポルシェカレラGTで向かっている時、ハンドルを握っていた友人が操作を誤り、街頭や街路樹へ衝突。
二人とも帰らぬ人となってしまいました。
大好きなポール・ウォーカー=ブライアン・オコナーが亡くなったというニュースを聞いた時は頭が真っ白になりました。
事故直後の現場写真を見ても彼の死が信じられませんでしたが、献花のため現場を訪れたタイリースが泣き崩れている動画を見て初めて、ポール・ウォーカーがこの世を去ってしまった事を実感、涙が溢れてきました。。。

主役の一人が亡くなってしまった事でワイルド・スピードシリーズも終わりだと諦めていました。
でも残されたキャストやスタッフは諦めなかった。
脚本を書き直し、撮影し直す事で完成させてくれたのです。
殆どのポールの出演シーンは撮影が完了していたという事で、不足している場面と脚本変更に伴う追加シーンを、ポールの実弟を代役に、その顔にCG処理を加えて制作。
関係者の努力と最新の技術でこの世を去ったポール・ウォーカーを甦らせてくれました。
ポールの遺志を継いで最後の出演作品を見せてくれた事を、ワイルドスピードとポール・ウォーカーのファンとして関係者に心からお礼を言いたいです。

監督は、3作目「TOKYO DRIFT」から務めてきたジャスティン・リン監督が降板し、「ソウ」「死霊館」のジェームズ・ワンにバトンタッチしています。
映像職人であり、また独特のユーモアを持つジェームズ・ワン監督ですが、このような大作アクション映画を撮るのは今回が初めて。
果たしてどんなワイルド・スピードになっているのか、期待と不安が入り混じっての鑑賞でした。


前作でドミニク(ヴィン・ディーゼル)達を苦しめたオーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンス)は、最後の戦いの末、離陸直前の輸送機の後部ハッチから投げ出された。
一命は取りとめたものの大怪我を負って昏睡状態のままロンドンの病院に入院していた。
意識の無いオーウェンに対し、その兄であるデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)はドミニクたちへの復讐を誓う。

オーウェン・ショウ逮捕に協力した見返りとして恩赦を受けたドミニクたちは、それぞれ自由な生活を謳歌していた。
LAに戻ったドミニク、そしてブライアン、ミア(ジョーダナ・ブリュースター)夫妻とその息子ジャック。
ミアのお腹には二人目の子供が宿っていたが、ブライアンに刺激の無い生活を強いるのではと心配する彼女は言い出せずにいた。

ある日、ドミニクの家に日本から荷物が届くと、その送り主であるデッカードから電話が入る。
東京でハンを殺したというその男は、弟の復讐の為、ドミニクたちへの復讐を宣言。
すると荷物が爆発し、自宅が吹き飛ばされてしまった。

ドミニクは東京へハンの遺体を引き取りに行き、LAの墓地へと埋葬した。
その葬儀の最中、不審なマセラティ・ギブリを見つけたドミニクは、プリムス・ロードランナーで追跡を開始。
壮絶なクラッシュの末、マセラティから降りてきたのはデッカードだった。
対峙した二人だったが、そこへ政府の特殊部隊が現れデッカードに逃げられてしまう。

部隊を率いるのはミスター・ノーバディと名乗る政府の役人(カート・ラッセル)だった。
彼はドミニクに、傭兵組織に捕らえられたラムジーという女性ハッカーと、ラムジーが開発した「神の目」と言われるハッキング技術を活用した追跡装置の奪還を依頼。
取り返す事ができれば「神の目」をデッカードの追跡に利用させてくれると言う。

こうしていつもの仲間が呼び集められ、ハンの弔い合戦のため、ラムジーと「神の目」を求めてアゼルバイジャンへ。
山岳地帯を移動中の傭兵部隊をパラシュートで車ごと降下して急襲し、ラムジーを保護する。
しかし「神の目」はアブダビの知り合いへ預けている事が発覚し、回収するために一行は中東へ移動。
ラムジーの知人の男に会うと、車の部品として装着し、高層マンションの最上階に住む富豪へ売ってしまったと言う。
そこで富豪のパーティに忍び込み、スーパーカー、ライカンに取り付けられている「神の目」を取り外そうとするが、セキュリティに見つかってしまう。
逃げ場を失ったブライアンとドミニクは、ライカンに乗り込み、車ごと隣の高層ビルへとダイビング。
地上へ落下する直前のライカンから「神の目」を取り外した二人は、無事に隠れ家へと戻る。

奪還した「神の目」を使いデッカードが身を潜める工場を突き止めた。
そこへ一行が突入すると、デッカードと共に傭兵部隊が待ち構えており、返り討ちに遭ってしまう。
そしてまたしても「神の目」を奪われ、命からがら逃げ出す羽目に。

「神の目」でデッカードたちが追ってくる事を予測し、ドミニクたちはLAに舞い戻った。
そして地の利を武器に、LAのストリートでの戦いに備える。。。


タイトルを見た時、「カーアクション映画なのナゼ空???」と思いました。
公開前から出回っていた輸送機からのダイビングシーンがあるから「SKY MISSION」と名付けたのだとしたら、また配給会社に文句を書かねば…と思ってました。
実際に見てみると、スカイダイビングの他にも今回は空中戦が多かった。
高層ビルの間をスーパーカーで飛んだり、最後のLA決戦では敵のヘリコプターに加え、無人機プレデターが地上のメンバーを苦しめたり。
「SKY MISSION」というサブタイトルにも「なるほどな。」と納得です。

以下、キャストについての感想。

ポール・ウォーカーの登場シーンは、表情が分からないくらい引いて撮ったり、横顔だけしか見せないシーンなどでは「あ、ここは弟くんなのかな」なんて意識しちゃう事もありました。
でも斜めに見るような事をしなければ特に不自然さを感じる事もなく、彼の最後の雄姿を堪能できると思います。
決戦を前に、ミアに死を覚悟して電話をする場面は泣けました。
1作目のまずいツナサンドねたとか、ファンには嬉しいセリフですね。

いつも頼りになるホブス捜査官(ドウェイン・ジョンソン)ですが、今回は早々にデッカードの襲撃に遭い、ビルから落下して骨折、入院してしまいます。
でも最終決戦ではギプスをバリバリッと割り、ミニガンを抱えて途中参戦してくれるのが嬉しかったです。

入院中のホブスの代わりに協力してくれるのがミスター・ノーバディだったのですが、ホブスのように現場で戦ってはくれず、あくまでも後方支援のみ。
おまけにデッカードの隠れ家で負傷して最終決戦を前に戦線離脱。
せっかくカート・ラッセルを引っ張り出したのにあまり活躍しないのが残念でした。

カート・ラッセルだけでなく、今回は主要な登場人物が多過ぎて、全体的に一人一人のキャラクター描写が物足りなく感じました。
ジェイソン・ステイサムももっとフィーチャーして欲しかったし、個人的にはショートヘアのエルサ・パタキももっと見たかった。

あとドミニクが東京に来るシーンでは3作目「TOKYO DRIFT」のシーンに加え、新たに撮ったショーン(ルーカス・ブラック)の登場シーンがありました。
「TOKYO DRIFT」から9年も経ってるのでまあ仕方ない事なんですが、どう見ても高校生には見えなかったです(汗)
でもこれで宙ぶらりんだった「TOKYO DRIFT」がしっかりシリーズの中に組み込まれ、やっとスッキリしました。

ちょっと意外なところを見せてくれたのがリュダクリス演じるテズ。
頭脳派キャラで今まではあまり暴力的な振る舞いはありませんでしたが、今回は敵と格闘して瞬殺する所があります。
パソコンおたくと思ってたら実は格闘家のように強い。この意外性にキュン!としちゃいました。

タイリース演じるローマンはもう完全にお笑い担当。
でもそのおちゃらけたキャラの裏では、こんなに涙を流していたんだ…と思うとやたらと悲しい。
ブライアンとローマンの掛け合いが見れないのは本当に寂しいです。

ちなみに最後、デッカードは逮捕されて収監されるのですが、弟のオーウェンもまだ生きているはずですし、この辺りが次作に繋がってくるのかな?

次にクルマについて。
前作「EURO MISSION」でもクルマの重要性が下がったように感じましたが、「SKY MISSION」も同様。
航空機と戦う時点でクルマがクローズアップされる場面は減りますよね。
ドミニクとデッカードの最後のタイマンも結局クルマではなく殴り合いだったし。
アブダビには各メンバー、ヴェイロンやマクラーレンMP4-12C、458イタリア、バイパーなどに乗って現れるものの、駐車場に停めて以降出てきません。一瞬です。
ラストはLAの市街でヘリ&プレデターの攻撃から逃げ回りますが、走り回るだけなのでカーアクション映画としての面白味はありません。
カーアクションとしての一番の見どころは走行中のバスからラムジーを救い出す前後でしょうか。

カーアクション映画としての魅力は薄れてきている反面、他のアクション要素や車以外の大掛かりな仕掛けが増えているので、娯楽映画としての幅は確実に広がっています。
ワイルド・スピードの1作目は公開当時、一部のカーマニアには熱烈に支持されたものの、クルマネタが少々マニアック過ぎたせいか万人には受けなかったようです。
それが回を追うごとに娯楽大作化を進めてきた事で、今では誰にでも楽しめるヒットシリーズに成長した訳です。
今でも1作目が一番好きな自分にはその方向性にちょっと寂しさも感じるのですが、そのワイルド・スピードの世界が今も広がり続けている事は心から嬉しいのも事実なんですよね。

ジェームズ・ワン監督の起用は、そんなワイルド・スピードの方向性には合っていたように思います。
登場人物の多さから人物描写があっさりしちゃいまいしたが、じっくり描きながらもリズミカルに物語を描けるワン監督の持ち味がしっかり出ていました。
最近の娯楽映画は展開が速いだけで中身が空っぽの作品が多いので、そういう点でも「SKY MISSION」は良質な娯楽作品と言えるのではないでしょうか。

さて、ある意味、「SKY MISSION」のキモ、一番の見どころであるのがエンディングです。
浜辺でミアと子供と戯れる幸せそうなブライアン。そしてその姿を眺めるドミニク、レティ、ローマン、テズ。
守るべきものを見つけたブライアンを残し、ドミニクはそっと彼らの前から姿を消します。
シルバーのダッジ・チャージャーで走るドミニクの後を、白い80スープラで追いかけてきたブライアン。
横に並んだブライアンはドミニクに微笑み、「さよならも言わずに…」と話しかけます。
二人はそれぞれアクセルを踏み込んで最後のレースを楽しみ、分かれ道を別々の方向へと進んでいく。。。
ブライアンはチームから離脱して、家族の為に平穏な暮らしを選んだ…という設定にしたんですね。

そして最後、画面には「FOR PAUL」の文字。。。
もう隣のカップルの目など気にせず号泣でした。
下はエンディング曲であるWiz Khalifa「See You Again」のPVですが、ラストシーンの一部を見る事が出来ます。



このシーンで使われたスープラは、ポール・ウォーカーが個人で所有していた車両だそうです。
↓↓↓ソース↓↓↓
http://www.automotiveaddicts.com/52910/one-last-ride-toyota-supra-returns-to-furious-7

ワイスピ、ポール・ウォーカーのファンならこのラストシーンのためだけに見に行くのも十分アリです。
ソフト発売まで待ちきれないからもう一回劇場に行こうかな。多分また泣くので次は空いている時を狙って。

映画会社は9作目くらいまで構想があるようですので、これ以降はブライアンとミアのいないワイルド・スピードになるのでしょうか。
ポール・ウォーカーのいないワイルド・スピードなんて…というのが本音でしたが、彼が愛したシリーズの今後の展開もちゃんと見届けていこうと改めて思いました。


ハイウェイマン(原題:HIGHWAY MAN)

2003年アメリカ映画

あの「パッション」でキリストを演じたジム・カヴィーゼルが、殺人鬼の駆るキャデラックエルドラドに妻を殺され、復讐鬼と化した主人公を演じます。
カーアクション映画というよりはサスペンスとかスリラーに分類されるべき作品でしょうが、クルマの登場頻度はかなり高いです。
しかも犯人のエルドラドは、エルドラ史上もっとも巨大だった70年代前半のモデル。
対する主人公は60年代後半のコンパクトマッスル、バラクーダです!
コレクターズアイテムとしても価値のあるクルマたちなのに、この作品の中では無差別 殺人の道具として、また妻の復讐のための道具として、ラットな仕様で激しいカーアクションを演じています。
エルドラド対バラクーダのバトルはなかなかスリリングで見応えがありました。

監督はヒッチャーのロバート・ハーモン。
ヒッチャーと比べてしまうとかなりパワーダウン気味で、脚本の詰めもいまいち甘い感がありますが、ハラハラドキドキの演出は健在です。
ヒッチャーと同様、かぎりなくA級に近いB級映画として、この作品は多くのファンを産んだのではないでしょうか。

 


ファーストスピード(原題:THE LAST RIDE)

2004年アメリカ映画

ちまたで”カーアクション映画”という言葉を聞かなくなって久しい今、こうして新作のカーアクション映画が作られるのは嬉しいかぎりですよねーっ!
新作を見つけるたびに即買いしちゃってます。
しかも「ワイルドスピード」のロブ・コーエン監督が製作総指揮を担当、出演は「イージーライダー」のデニス・ホッパー、「60セカンズ」「アルマゲドン」のウィル・パットンも出ていると聞けば嫌でも期待しちゃいますよねえ~。
でも実際はTV向けの低予算映画で、「ワイルドスピード」のようなスピード感はありませんでした。

クルマが出てくるシーンは多いですが、その出し方に問題があるように思えます。
例えば素人が見ても「GMがスポンサーなんだろうなあ」と思っちゃう程に新型ポンティアックGTOが出まくります。
映画の裏事情が見えてしまうのは悲しいですが、発売されたばかりのGTOを思う存分見れるので、これは良しとしましょう。

さらに興醒めさせるのが脇役のクルマたち。
どこかで見た事あるな~と思ったら、なんとワイルドスピード2に出て来たRX-7(FD3S)が、ほぼそのままの姿で出てきます。
きっと主人公が乗っていたエクリプススパイダーも、カラーリングは変わっていましたがワイルドスピード2でローマンが乗っていたあの車輛のお下がりなんでしょう。
これにはかなりビックリしました。
制作費が無かったんだなぁ~と思えば、唐突に貴重な1969年型GTO THE JADGEを崖から落として爆破したりされると、「あ、使い回して節約した分は、このシーンに注ぎ込まれてるんだろうなぁ」なんてさらに侘しい気持ちにさせてくれます。(まぁTHE JADGEはレプリカなんでしょうが)

せっかくの有名俳優も良さを引き出される事なく終わります。
しかもいきなりあのエンディングはあり得ないでしょう。
ああいう展開になる経緯をもう少し丁寧に描いてくれたら、TV映画として考えればもう少し評価も上がっていたのになぁ。
違った意味で衝撃的なエンディングになってしまいました。
アメリカンニューシネマの生き証人デニス・ホッパーですから、あのようなエンディングにしたい気持ちはすご~く理解できますけどね…。

総評としては、個人的にはそれなりに楽しめましたし、結構好きな映画だったので、あえてB級臭さを楽しみながら見るのであればアリでしょうか。
あ、ただ、カーアクション映画ファンやアメ車好きには充分すぎるほど楽しめますので、そういうみなさんなら即買いの1本でしょ~。


TAXI NY(原題:TAXI)

 2004年アメリカ映画

フランスの大ヒットカーアクションコメディ映画「タクシー」をハリウッドリメイクした作品。
主人公のタクシードライバーを黒人女性に変更、ニューヨークという舞台に合わせてタクシーもフォード・クラウンビクトリアベースのイエローキャブです。
強盗団も女性だけのグループに設定が変更され、スーパーモデルがクールに演じています。

製作と原案にリュック・ベッソンがクレジットされ、監督は後にファンタスティック・フォーシリーズを手掛けるティム・ストーリー。

おおまかなストーリーは「タクシー」の1作目と同様。
そこに新要素を取り入れて新鮮さを狙ったものの、いまいち空回り気味。
ソウルフルなイケイケタクシードライバーが腰抜け刑事を振り回すんですがイマイチ笑えない。
タクシードライバーを演じるクイーン・ラティファは、結構色んないい映画に出ている演技派なんですが、ちょっとこの作品のキャラクターは頂けない。
その上、強盗団のリーダーがあまりにも美人で格好良すぎるもんだから、そっちに感情移入しちゃいました。

あと、見慣れたニューヨーク名物の一つであるイエローキャブが、エアロパーツとスーパーチャージャーで武装された姿で暴走するのは面白いのですが、アメ車の中でも保守派層やフリートユースに使われる四角いボディにエアロパーツが似合わない!
クルマの格好良さもプジョー406の方が遥かに上なんですよねえ。

たまたま点けたテレビでやってたら見るかもしれませんが、わざわざお金払って見る気にはならないかなあ。
お金払うなら何度も見てるオリジナル版の方がいいかもしれない。。。


 


デュークス・オブ・ハザード (原題:Dukes of Hazzard)

 2005年アメリカ映画

言わずと知れた(今となっては知らない人の方が多いかなぁ) TV ドラマ「爆発!デューク」をリメイクした2005年制作の劇場用映画です。
でも単なるリメイクではなく、かなりコメディ色が強くなっています。
TV 版を知っている自分にとっては、オリジナルよりも軽いノリになった事で、映画の雰囲気が変わってしまったのがやや残念ではありますが、現代で甦らせるにはこんなアレンジも必要なのかもしれませんね。
でもアクションにコメディテイストが入った事で、「トランザム7000 」シリーズや「キャノンボール」シリーズのような軽快なテンポがプラスされています。
さらに、上記2作品で主役を演じたバート・レイノルズや、「新バニシング in60 スピードトラップ」に出演していたジョー・ドン・ベイカーなど、70年代のカーアクション映画に対するオマージュが盛りだくさんなのも、この手の映画ファンにはたまりませんっ!

コメディ調にはなりましたが、「やりすぎだろ・・・」と思うくらい派手なカーアクションシーンは健在で、今どきにしては珍しく、 CGに頼らない本当のカーアクションが満載!
ここまで激しい本物のカーアクション映画は久しぶりです。
そのカーアクションも、ドリフト競技が盛んなアメリカのモータースポーツシーンを反映してか、とにかく派手なドリフトシーンが多い。
特典映像を見ると判りますが、日本のD1でも活躍している選手がスタントドライバーとして参加しているんです。
見所がクラッシュだけではないので、クルマが好きな人には間違いなく楽しめる作品だと思います。
あと、派手なジャンプとド迫力のドリフトを見せるダッジ・チャージャーは、アメ車に興味が無い人でも惚れ惚れしちゃうと思いますよ~。

まるでジェシカ・シンプソンのワンマン映画のように宣伝されていますが、実際の主役は「ジェネラル・リー(リー将軍)」と名付けられたダッジ・チャージャーだと思います。
アメリカではラジー賞にノミネートされるなど(幸い受賞は逃しましたが・・・)、作品としての評価はあまり高くないようですね。
ただ、それでも公開時にはそれなりにヒットしたようですし、恐る恐る自分で購入してみましたが今ではかなりお気に入りの1本ですっ!
自分を含め、この手の軽いノリのアクション映画を好む映画ファンは未だに多いと思いますから、「トランザム7000」などの70年代のカーアクション映画が好きな人には激しくおすすめですっ!!


ハービー/機械じかけのキューピッド(原題:Herbie Fully Loaded)

2005年アメリカ映画

60年代にディズニーが制作したファンタジーコメディ「ラブ・バッグ」のリメイク(というより続編)です。
もちろん主役はオリジナル版と同じ“ハービー君”。
旧作ではたくさんの続編が作られたほどの人気者だったハービー君も、今ではジャンクヤードで土に返ろうとしています。
そのハービー君を見つけ、新たなオーナーとなるのは、レーサー一家に生まれながら女であるという理由でレーサーを諦めたティーンの女の子(お騒がせハリウッドセレブのリンジー・ローハン)。
ピカピカに再生されたハービー君と共になんとナスカーにまで出場しちゃいます(ナスカーのルール完全無視!)。
今回は敵役マット・ディロンのナスカーや、ポンティアック GTO 、コルベット C5 とバトルを繰り広げたり、デモリッションダービーでモンスタートラックと戦ったりします。

新作のハービー君はCGの恩恵を受けて一段と生き物っぽさが強調されています。
バンパーを口のように曲げて笑ったり、ライトを目のように動かしたり。
おまけに今回はスポコンテイストのストリートレーサースタイルになって、ブリスターフェンダーまで装備されちゃいます。
さらに、ニュービートルに恋したりと、ご老体のはずのハービー君は新作でも昔と変わらず元気いっぱいです!
天下のディズニー制作の映画ですから、親子揃って見れるカーアクション(?)映画になっています!

小学生の時に初めてラブ・バッグを見てからずっとビートルが好きなんですが、この「ハービー」はヤバイです!
本当に欲しくなっちゃった!!


カーズ(原題:Cars)

2006年アメリカ映画

ピクサーのCGアニメです。公開時、思ったほど話題にならなかった気がしますが、見て損はありません。
過去におもちゃ、虫、怪物、魚たちの世界を作り上げ、中年ヒーローの活躍を描いた前作に続き、今回の主役は「車」。
過去に扱ったキャラクターたち以上に“生き物らしくない”登場人物たち(?)に一抹の不安を覚えましたが、そんなの余計な心配でした。
表情豊かなクルマたちは愛嬌たっぷりで人間臭く、違和感無く物語に引き込まれます。
クルマを生き物として描くことでクルマらしさが失われそうな気がしますが、目と口のあるクルマのくせに、実際のクルマ以上にクルマらしいんです。
これはピクサーの作品すべてに言えることですが、ありえないストーリーの中にもリアリティが存在しているので、ありえない話がありえる話のように思えます。
また、レースシーンでのスピード感、飛び散るタイヤのカス、勇ましいV8サウンドなど、クルマ好きの大人が見ても充分楽しめます。

ストーリーは、全米を転戦するレーシングカー「ライトニング・マックイーン」が主役。
シリーズチャンピオンを決める最終戦へと向かう道中、ルート66沿いの寂れた町、ラジエタースプリングスに迷い込みます。
最初は廃墟同然のこの町を毛嫌いするのですが、都会には無い人々(車々!?)の温かさに触れ、町の復興へ向けて頑張ることになります。

廃れゆくラジエタースプリングスは故郷を思い出させ、郷愁を誘い、仲間との友情に涙がこみ上げます。
“大人でも充分楽しめる”と書きましたが、逆に大人にこそ見て欲しい作品といえるかもしれません。
もちろん子供たちだって、喋るポルシェ911(996)、フェラーリF430、インパラ、フィアット500、ハドソン・ホーネットたちに大喜びするでしょう。
ここまで幅広い層にアピールする映画はピクサーならではですね。

また、作品中で使われる曲もいいんです!「カーズ」のサントラもおすすめですよ~。
シェリル・クロウが歌う主題歌、チャック・ベリーの「ルート66」など、バラエティに富んだ選曲が泣かせます。
サントラは、前半に歌の入ったロックが並び、夕日を見ながら荒野のハイウェイをドライブしたくなります。
後半にはインストの曲が並ぶのですが、クラシック等が嫌いな方でも耳に馴染みやすいポップな曲が多く、聞きやすいと思います。

そうそう、お子さんのいる方は吹き替えで見てしまうことが多いと思いますが、是非一度、豪華な英語音声で見てみてください。
主人公役は「エネミー・ライン」主演のオーウェン・ウィルソン、ドック・ハドソンは「カーズ」を最後に引退宣言したポール・ニューマン、クライスラーのウ イングカー“キング”役はNASCARドライバーのリチャード・ペティ、フェラーリF430はF1の元世界王者ミハエル・シューマッハです。
日本語音声も楽しいですが、これほど豪華な声優陣ですから、英語版も見ないともったいないと思います!

   


デス・プルーフ(原題:DEATH PROOF)

2007年アメリカ映画

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスという二大映画オタク監督が、グラインドハウスと呼ばれたアメリカの低予算B級映画専門の映画館にオマージュを捧げたのが、その名も「グラインドハウス」という作品です。
その手の映画館では、エロやグロなど人の好奇心を引く題材を盛り込む事で、安易に利益を上げようとする低俗なB級低予算映画ばかりを上映していました。
この「グラインドハウス」という作品は、そんな映画館での上映プログラムをイメージした作りになっています。

「グラインドハウス」は2本立てとなっており、前半はロドリゲス監督のゾンビ映画「プラネット・テラー」、間に予告編を挟んで後半がタランティーノ監督のアクションスリラー「デス・プルーフ」です。
本国では「プラネット・テラー」+「デス・プルーフ」+予告編で1本の「グラインドハウス」という3時間を超える作品として公開されました。
「プラネット・テラー」、「デス・プルーフ」それぞれ、B級映画らしく1時間半程度のランニングタイムでしたが、日本での公開にあたっては1本の「グラインドハウス」としてではなく、「プラネット・テラー in グラインドハウス」、「デス・プルーフ in グラインドハウス」という2本位分けて公開されました。
単体上映にあたり、それぞれ未公開シーンを追加して100分を超える上映時間に変更になっています。

ここではタランティーノ監督が往年のカーアクション映画や、ラス・メイヤー監督のエクスプロイテーション映画などをイメージして撮った「デス・プルーフ」に絞って紹介します。

私は「デス・プルーフ in グラインドハウス」を劇場で見ましたが、とにかく冗長でダラダラした作品だと感じました。
映画のストーリーと関係のない事をグダグダと喋らせるのはタランティーノの常套手段ですが、それに加えて時間稼ぎと思われるシーンが多く、日本劇場公開版はとにかく長かった。
特に女性が腰を振ってセクシーなラップダンスを踊るシーンがあまりにも長くてゲンナリしました。
その日本公開版のせいで「デス・プルーフ」は低く評価していたのですが、日本でも短期間だけ特別上映された本国版「グラインドハウス」を見た人は、「デス・プルーフ」を高評価しているのが気になっていました。
でも当初、日本では「デス・プルーフ in グラインドハウス」しかDVDが発売されておらず、本国公開版を見る事が出来なかったんです。
それが暫く経ってからようやく本国公開版「グラインドハウス」の日本語版が発売になり、速攻で飛びつきました♪

「グラインドハウス」に収められた「デス・プルーフ」は、日本公開版で付け足した余分なシーンがありません。
問題のラップダンスの場面もばっさりカットされててすっきり!
グダグダガールズトークのシーンは残っていますが、ラップダンスが無くなった事で流れにメリハリが付き、見ていて全く苦痛じゃありません。
何となく映画って、「完全版」とか「ディレクターズカット」のように長いと得した気分になりますが、ただ長けりゃいいってもんじゃないという事をタランティーノに教えてもらった気分です。


前半は、アーリーン、ジャングル・ジュリア、シャナの女子3人組が中心となって展開します。
車で女性を殺す事に性的な興奮を覚える殺人鬼スタントマン・マイク(カート・ラッセル)と出会い、彼に殺されるまでを描きます。
スタントマン・マイクの愛車は、スタントで使用する耐死(デス・プルーフ)仕様のシェビー・ノバ。
強化された車体を武器に、女子グループが乗り合わせるシビックに正面衝突。
激しい衝突により、ジャングル・ジュリアの美脚は千切れ、アーリーンのセクシーな顔はノバの後輪でグチャグチャに踏み潰されます。
女子は全員即死だったものの、デス・プルーフの愛車のお陰で助かったスタントマン・マイクが次に目を付けたのが、撮影のオフを利用してダッジ・チャレンジャーでドライブを楽しむスタントウーマン、女優、ヘアメイクの女性映画スタッフ4人組。
この4人組が結構ぶっ飛んでて、スタントウーマンのゾーイが憧れの「バニシング・ポイント」と同じチャレンジャーでスタントを演じたいと、走行中ボンネット上に乗っかって大はしゃぎ。
そこへスタントマン・マイクが新しい愛車であるブラックのダッジ・チャージャーで現れ、チャレンジャーとの激しいカーアクションが展開されるのが後半部分です。
ラスト、泣きわめくスタントマン・マイクをフルボッコにし、比較的おとなしめだったヘアメイク担当アナバシーちゃんのストンプで顔面グチャッ!は爽快です♪


各所に様々な映画へのオマージュが盛り込まれています。
古のB級映画に対するタランティーノ監督のリスペクトを痛いほどに感じます。
特にカーアクション映画ファンならニヤニヤしちゃうようなネタが盛りだくさん。

・白い1970年型チャレンジャーは言うまでも無く「バニシング・ポイント」
・つや消し黒の殺人車イメージは「ザ・カー」
・ガールズトーク中、「バニシング・ポイント」への猛烈リスペクト発言
・ガールズトーク中、「バニシングin60」への猛烈リスペクト&「60セカンズ」こき下ろし発言(笑)
・ガールズトーク中、「ダーティ・メリー クレイジー・ラリー」「トラック野郎!B・J」への言及
・カート・ラッセルの「トランザム7000」ばりのカメラ目線&不敵な笑み
・スタントマン・マイクが愛車に付けている「コンボイ」のラバー・ダックと同じオーナメント

などなど。

ただカーアクションファンとしてはもうちょっとディティールに拘って欲しかった部分も。

・チャレンジャーのドアには、ゾーイのスタントのために本来無いサッシュが追加されている
・女子の反撃で早々にチャレンジャーの顔面が崩壊(破壊の美学が無い。)
・雰囲気を出す為にフィルムの傷やノイズをあえて入れているんですが、後半はなぜか入っていない

…なんてちょっとだけ不満もありましたが、その手の映画が好きなら確実に楽しめる作品です。
テレビ東京の深夜映画や、60~70年代のB級アクション映画が好きだったなら絶対にお勧めです!
タランティーノと気持ち悪いくらいB級映画愛を共有できます。
ちなみに見るなら絶対にUSA公開版ですよ~。

 


クラッシュ!!!(原題:CRASH AND BURN)

2008年アメリカ映画

デビュー作「レイザーバック」を始め、「ハイランダー」「エンド・オブ・ザ・ワールド」と、好きな作品が多いラッセル・マルケイ監督。
最近では「バイオハザード3」を監督したりしていますね。
そのラッセル・マルケイ監督が「バイオハザード3」の後に撮ったTVムービーです。
2008年に撮られた作品で、2台の現行マスタング(シェルビーGT?)のカーチェイスが楽しめます。
モパーやコルベット、トランザムなど、アメ車がフィーチャーされているのが嬉しいです。
また、劇中で幻の試作車として登場する「コルベット789」のデザインに注目!とんでもない形で腰抜かしますから…。

ストーリーは60セカンズのもろパクりで、時間内に規定台数のクルマを盗むというもの。
ここまでパクると「またリメイク!?」と錯覚しますが、一応オリジナルストーリーみたいです。
ラッセル・マルケイほどの監督が、どうしてこんなコピー作品に手を染めちゃったんでしょうか。。。
総評としてはTV映画だけあって低予算な香りがプンプンしますが、これはこれで楽しめました。




デスレース(原題:Death Race)

2008年アメリカ映画

近未来のアメリカでは刑務所が民営化されていた。
運営企業の利益を生むため刑務所ごとに様々なイベントが催され、それがテレビ中継されるなどしてショービジネス化されていた。
物語の舞台となる刑務所でのイベントは自動車レース。
武装された車両に乗った受刑者達が、相手のクルマを破壊しながら順位を競うという過激なレース。
シリーズ戦を勝ち抜いた者には自由が約束されているが、敗者には悲惨な死が待っている。
妻殺しの濡れ衣を着せられた元レーサーがこの刑務所に収監され、命がけのカーレースに挑んでいく。

「デスレース2000 [DVD]」のリメイクだと聞いて楽しみに見たのですが、話がかなり変えられていたのでちょっと面食らいました。
オリジナル版では公道を使用したレースが描かれており、一般人を轢き殺す事でポイントが得られるというとんでもないルールでした。
さすがにこれを現代に復活させるのは困難だったようで、リメイク版ではクローズドの周回コースでのレースとなり、出場者同士が殺し合うというルールになっています。
道路上に配置されたマーカーを踏むと武器での攻撃が可能となる仕組みは、まるでマリオカート。
ゲームを見ているような感覚に陥りますね。

登場車両は主人公フランケンシュタインの愛車がマスタング(2005~)、クライスラー300C、ダッジラムトラック、ジャガーXJS、ポルシェ911など。
ただどれも装甲のようなものを装備していたり、武器を装着していたりで原型が分からないものも多数。
だからクルマ目当てに見たクルマ好きが楽しめるかどうかは微妙かな。
でも監督は「バイオハザード」などのポール・W・アンダーソンだけあって、B級臭を漂わせながらも、疾走感のある1級のエンターテイメントになっています。

    


 

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