アメ車マニア


<1980~1990年代のカーアクション映画>

この年代のカーアクション映画は2000年代以降、DVDはおろかVHSですら入手が難しくなりました。
特に本国でもDVD化されていない作品が多いんですよね。
マスターとなる本国版が無いという事は、日本でDVDが発売されることはまず無いでしょう。
欲しい!と思ったらとりあえず売ってる物を買っておかないと、永遠に見ることができなくなるかもしれませんね。

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マルホランド・ラン 王者の道 (原題:KING OF THE MOUNTAIN)

1981年アメリカ映画

マルホランドドライブは、アメリカ西海岸の走り屋が集まるスポットとして有名な峠で、そこには歴代の王者がいる。
現在の王者はポルシェ356スピードスターに乗るスティーブ(「タイタンの戦い」のハリー・ハムリン)。
彼とその仲間は、伝説の王者であるキャル(デニス・ホッパー)を目標として、峠で腕を磨いていた。
しかし当のキャルは過去の栄光にすがり、酒に溺れる生きる廃人となっていた。
ある日、スティーブの友人バディは仲間の裏切り行為から自暴自棄になり、キャルにバトルを挑んで命を落としてしまう。
友人の死をきっかけに、キャルにバトルを挑むスティーブ。
キャルが駆るC2コルベットスティングレイと激しいバトルを繰り広げるが、バディが命を落としたコーナーに差し掛かったとき、自らの行いが無意味である事に気付くスティーブ。
スピードダウンするポルシェの横を猛スピードで駆け抜けるコルベット。
コーナーを抜けた先には、道路を塞ぐ工事現場が現れ、それを避けるもキャルとコルベットは崖下へと転落していく…。

走り屋の青年が大人となり、峠を卒業していく課程を描いた青春映画です。
あくまでも人間ドラマ主体ではありますが、クルマが重要な役どころとして登場します。
迫力ある峠のバトルシーンも見所ですが、登場する車種も見逃せません。
まず主人公の356スピードスターが格好いい。
極太タイヤを収めるためにワイドフェンダー化。バンパーは外され、ごついロールゲージを装備したマッチョなスタイルに痺れます。
80年代、日本の外車雑誌には、この劇中車と同じ仕様のレプリカを販売している業者が多数掲載されていましたねぇ。
映画よりもマルホランド・ラン仕様の356の方が有名だったかもしれません。
そのポルシェと戦う宿敵がC2コルベット。今では貴重なボートテールのクーペです。
クレイジーな役柄のデニス・ホッパーに合わせ、かなり危険な仕様です。356と同様、膨らまされたフェンダーに極太タイヤが収まりますが、ボンネット無し、リアのガラスも無し、ボディは所々サフェーサーというワイルドな外見。
これが峠をお尻フリフリさせながらドリフトするんですからアメ車好きは見逃せませんよね~。

・・・ところが、残念な事にこの作品はDVD化されていないんです。
デニス・ホッパー意外、スタッフ・キャスト共にほぼ無名だけど、日本で劇場公開されたほどの作品なのにねぇ。




ターボクラッシュ(原題:CAR CRASH)

1981年イタリア映画

近未来、様々な障害物が設置されたコース上で行われる生き残りをかけたサバイバルレース。
これに出場して賞金を手に入れようとする若者とそれを阻止しようとする殺し屋とのカーチェイス。
主人公のクルマは1970年代前半の真っ赤なトランザム。
他のレース出場車はマスタング・グランデ、マーキュリー・クーガー他、すべて外観に手が加えられたノンオリジナル車。
フードスクープが付いてホイールが変わっている程度ですが、妙に雰囲気があってカッコ良く見えた記憶があります。
ただし、壊すのが惜しかったのか、クラッシュシーンはミニチュアに変更されていましたが。。。
主演はジョン・トラボルタの実兄であるジョーイ・トラボルタ、監督は「地獄の謝肉祭」などのアンソニー・M・ドーソン。

 


キャノンボール(原題:CANNONBALL RUN)

1981年アメリカ・香港合作

「トランザム7000」のバート・レイノルズ&ハル・ニーダム監督コンビの超大作カーアクションコメディ。
賞金を目指して繰り広げられる非合法な大陸横断レースを描いたシリーズ第1作目。

まず出演者がすごい!
有名どころを挙げると、ディーン・マーチン、サミー・デイビスJr.、ファラ・フォーセット、ロジャー・ムーア、ピーター・フォンダ、ジャッキー・チェン、マイケル・ホイ…。
そしてバート・レイノルズと行動を共にするドム・デルイズ、ジャック・イーラムも濃いキャラが忘れられません。
登場するクルマは、ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ308GTS、アストンマーティンDB5、ロールスロイス・シルバーシャドウといったレアな 高級車から、偽ナスカー、ハイテク装備満載のスバル・レオーネ、GMCダブルキャブデューリーなどな ど。
GMCデューリーは列車を飛び越すという荒業を見せてくれます。
あの巨体をジャンプさせるなんてそうそう拝めるもんじゃありませんね。
あとジャッキー・チェンとマイケル・ホイが乗るレオーネは仕掛けも面白いですが、それをネタにしてドタバタする二人も楽しいです。

色々なクルマは見れますが、「トランザム7000」などと比べると激しいカーアクションは控えめ。
代わりにコメディ色がかなり強いです。
あとハル・ニーダム作品でお約束の大乱闘シーンもありますよ。

クルマ映画として期待してみると物足りないものの、オールスターキャストのドタバタアクションコメディとして見れば余りにも豪華過ぎます。
これは香港の映画会社ゴールデンハーベストの財力が成せる業でしょうか。

 


キャノンボール2(原題:CANNONBALL RUN 2)

 1983年アメリカ・香港合作

前作同様、ハル・ニーダム監督のオールスターキャストカーアクションコメディの第二弾。

前作からのキャストはディーン・マーチン、サミー・デイビスJr.、ジャッキー・チェンに、バート・レイノルズ、ドム・デルイズ、ジャック・イーラム。
新たに加わったスターは、フランク・シナトラ、シャーリー・マクレーン、テリー・サバラスという大御所たちの他、007の悪役を演じたリチャード・キール。
シャーリー・マクレーンなんてキャラに似合わずお下劣な事をやらされています。(キャリアの傷なのでは…)
登場するクルマは、色が変わる(見れば分かります)ランボルギーニ・カウンタック、C4コルベット、ロールスロイス・シルバーシャドウ、キャディラックのリムジン、三菱スタリオン、クライスラー・インペリアル、ダッジ・デイトナ、VWベースのスターリングなど。
出番は少ないけど強い印象を残すのがモンスタートラックとそれに踏み潰されるポルシェ928。
車種のラインナップはちょっと地味になっちゃいました。

クルマの見所はやはり今回もジャッキー・チェンとリチャード・キールコンビが乗るスタリオン。
またもやハイテク装備が満載なのですが、なんと潜水艦のように水中に潜ることができます。
007の専売特許を、敵役を演じていたリチャード・キールがやっちゃう所が面白いですね!

1作目と比べると全てにおいてパワーダウンを感じてしまうのが残念。
カーアクション、笑い、スターの活かし方など、全部が中途半端なんですよねぇ。
素直に言ってしまうと、まるで素人が撮ったようなクオリティの作品です。
大スターをこれだけ揃えたのにやらかしちゃったハル・ニーダムは大目玉を食らったでしょうね。。。


ジャンクマン(原題:THE JUNKMAN)

1982年アメリカ映画

「バニシング in 60」をヒットさせたH.B.ハリッキーが気を良くして撮ったカーアクション第2作。
主人公は映画をヒットさせて成り上がったハリッキー自身がモデルで、映画スターが謎の殺し屋から追われるというストーリーです。
黒幕は誰だ?的なサスペンス要素を盛り込んでいますが、普通の映画としては残念ながら駄作ですね。
映画に関しては殆ど素人なんですから、凝ったことをしようとしてはダメですねぇ。

カーアクションについてはいくつか見せ場を用意しています。
冒頭は懐かしのアメリカンスーパーカー、ブルックリンでのカーチェイスシーン。これはなかなか見ごたえがあります。

中盤はカントリーな景色の中、キャデラック・エルドラドで殺し屋のサンダーバード、ダッジ・マグナムから逃げ回ります。
このカーチェイスは結構長い時間続くのですが、色々な要素を詰め込みすぎて少しとっ散らかった印象。
また延々と同じような田園風景の中を走り回るので、見ている方は飽きてきます。
「バニシングin60」のように市街地でのカーチェイスの方が、景色も変化があって楽しかったですね。

そして最後はコルベットでの警察とのカーチェイス。中古車展示場に並んだクルマのボンネットの上を走ったりと、なかなか楽しめます。
「ジャンクマン」のカーチェイスシーン全般に言えることですが、わざとらしい演出が多いために「バニシングin60」にあったドキュメンタリーのような臨場感は無くなりました。

複葉機や飛行船を使ったりと、ハリッキー先生も力が入っているのはすごく分かりますが、いまいち空回り気味。
残念ながら「バニシングin60」には遠く及びませんでした。
ただし!とにかくたくさんの車が登場し、ドッカンドッカン破壊されていくので、クルマ好きはそこそこ楽しめると思います。
また、「バニシングin60」のエレノア=イエローマスタングも登場するので、やはりハリッキー&「バニシングin60」ファンも外せない作品だと思います!

注意してもらいたいのは、最近発売された国内版DVDは「バニシングin60」のDVDと同じく、公開当時の音楽から差し替えられています。
味のあるダサ格好いい音楽が良かったのに残念です。。。

 


クリスティーン(原題:Christine)

1984年アメリカ・ポーランド合作

有名なスティーブン・キング作品の映画化ですね。
しかも監督がジョン・カーペンター。
熱心なキングファンにしてみれば「原作の良さが表現できていない!」という評価になるんでしょうが、自分はこの映画の方も好きですね。
原作を簡略化してテンポ良く映像化したのは正解だったのではないでしょうか。
物語の深みを捨てた分、映画には原作以上のスピード感が生まれています。

この作品の主役は1958年型プリムス フューリー。
このクルマに魅入られたオーナーが名付けた名前がクリスティーン。
なんとこのクルマ、生産ラインで組み立てられている最中から女の意思を持っているんです。
とにかく自分のプライドを傷つけられたり、美しいボディを汚されるのが大嫌い。
フロントシートにタバコの灰を落としたおっちゃんを殺したり、自分の新たなオーナーとなった主人公の彼女を殺そうとしたり。
真っ赤でキラキラ光る華やかなボディと、その裏側に隠れた女の情念。
このフューリーはまさに「おんな」です。
ボコボコに潰されたフューリーが、内側から膨らまされるように自らのボディを再生するシーンはなかなか不気味です。
ま、単なるフィルムの逆回しなんですが、、、

あまりにこのクリスティーンが強烈で、赤いフューリーを見ると車名よりも先に”クリスティーン”っていう名前が浮かんじゃうんですよね~。
万が一、傷つけると恐ろしい事になるから、みなさん町で赤いフューリーを見かけたら近付かないようにしましょう。。。

 


パリ警視J(原題:Le Marginal)

1984年フランス映画

60セカンズを見てて思い出したのでついでに紹介します。
なぜ思い出したかというと、主演のジャン・ポール・ベルモンドが劇中運転していたマスタングが、ニコラス ケイジが頬擦りしていたGT500とイメージがだぶったからだと思います。
60セカンズはファストバックでしたが、こちらは67~8年型のクーペ。
貴重なクラシックマスタングのフェンダー膨らませたりしたチューニングマシンのようで、ボディカラーはつや消しのブラック。
マッドマックスのインターセプターのような雰囲気だったと思います。

映画自体の記憶は全く残っていないのでそれなりの内容だったのかもしれませんが、パリの街中でボロボロになりながらカーチェイスを演じたこのマスタングの印象だけは強烈に残っています。


ノーマンズ・ランド(原題:NO MAN'S LAND)

1987年アメリカ映画

ポルシェ専門の自動車窃盗団に潜入した刑事が主人公。
チャーリー・シーンが窃盗団のボス役でなかなかの存在感を放っています。
潜入捜査ものでありがちな展開ですが、潜入捜査官は組織のボスに魅了され、友情が芽生えてしまう事で話がややこしくなる訳です。
「ワイルドスピード」や「ハートブルー」も同じような展開ですが、製作年的に「ノーマンズ・ランド」の方が先輩ですね。

さすがにポルシェ専門の窃盗団と言う展開ですので、ポルシェがたくさん登場します。
また中盤に911で3rdカマロとリンカーンMK.Vに追い掛け回されるカーチェイスが用意されており、結構楽しめます。
アクションシーンも良くできていますが、工場の中でかくれんぼするシーンが好きです。
ちょっと「ザ・ドライバー」と被りますが(あるいはオマージュ?)かなりサスペンスフルです。
つーかリンカーンMK.V、カーアクション演じるにはでかすぎ。
この巨体をテールスライドさせるんだからプロスタントマンってすごいわぁ。


ちなみにこの作品、今まで一度も日本でDVD化されていません。
チャーリー・シーンの悪役っぷりも格好いいし、売れる前のブラッド・ピットがウェイター役で出てるというオマケ付き。
単純に面白いですし、カーアクションも派手だし、DVDが出たらそこそこ売れると思うんですけどねえ。


タッカー(原題:TUCKER:THE MAN AND HIS DREAM)

1988年アメリカ映画

 

幻の自動車メーカーを立ち上げた男、プレストン・タッカーの伝記映画です。
カーアクションではありませんが、少しだけカーチェイスやクラッシュシーンがあります。
監督は「ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラ。
80年代、度重なる破産で資金難に喘ぐコッポラを、盟友ジョージ・ルーカスが援助して撮られた作品です。
スターウォーズでお馴染みのルーカスフィルムのロゴで幕を開けます。

1940年代、情熱的な発明家プレストン・タッカーは、戦後訪れる新時代に相応しい未来の車を作る為、自動車メーカーを興す事を決意します。
ところが、彼が作り上げた車を脅威に感じたデトロイトの自動車メーカー達が、発売させぬように政治的な圧力を掛けてくる。
しかしそれにも屈しないタッカーに業を煮やしたBIG3は詐欺容疑をでっち上げ、裁判を起こしてタッカーを潰しにかかる。

ジェフ・ブリッジス演じるタッカーが情熱的で格好いい。
いささか演技が大げさすぎる気もしますが、タッカーの豪快な性格が感じられて素敵です。
何も無い所から自動車作りを始めた彼に大勢の人が賛同したのは、彼のそんな性格が惹きつけたのでしょう。
登場人物の1人が「始めは金儲けが目的だったのに、あんたの夢が伝染した」とタッカーに言うシーンは感動しました。
また裁判の最後、タッカー自ら陪審員たちに想いを語る場面があります。
「自動車大国としてあぐらをかき、健全な競争を拒んでいるうちに外国車に追い越されてしまう」というタッカーの言葉を鼻で笑う傍聴人がいました。
でもそれは80年代の日米経済摩擦を示唆したセリフであり、まさにその後のアメリカ自動車産業のことを物語っているのが面白かったです。

このタッカーの事件はアメリカ自動車史の黒歴史。
それを映画化したコッポラはすごいと思います。
字幕では「大企業」と訳されてるけど、セリフでははっきり「Big three」と言っていますからね。

それにしても、タッカーが作った車が市販されていたら、自動車の歴史は今と大きく変わっていたかもしれません。
タッカーが採用したシートベルトは当時は一般的ではなかったし、舵角に応じて動くヘッドライト、フュエルインジェクション、ボディで衝撃を吸収する乗員保護、外部の突起を考慮した歩行者保護など、つい最近ようやく実用化されたアイデアが1948年当時既に採用されていたんですから。
自動車が進化する機会を潰したBIG3の罪は大きいですね。

プレストン・タッカーの話は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で有名になったデロリアンDMC-12の生みの親、ジョン・デロリアンの事件と重なります。
デロリアンも車両製造を開始してすぐ麻薬所持で逮捕され、それがきっかけとなり会社を存続する事ができなくなりました。
そしてデロリアン社倒産後、ジョン・デロリアンは無罪となりますが、自動車メーカーとしては終止符を打ちました。
真相は分かりませんが、余りにプレストン・タッカーのケースと似ていますよね…。
何台かBIG3の車を所有した事がある自分はなんだかすごく後ろめたい気分になります。。。

ちなみに、なぜか「タッカー」は日本で一度もDVD化されていません。非常に良い作品なのに不思議です。
私は大昔に買ったVHSビデオを、動きの怪しい化石のようなビデオデッキで鑑賞しています。
天下のコッポラの作品であり、スターも出演していて、世間の評価も悪くないんですから、是非日本版DVDの発売をお願いします!

 


傷だらけのキャデラック(原題:Valentino Returns)

1989年アメリカ映画

 

カーアクションではありませんが、男にとってのクルマという存在を題材にした青春映画です。
1958年、アメリカの片田舎で農業に汗を流す青年が主人公。
仕事で稼いだ金をはたいて、新車のキャデラック・エルドラドを買う。
目的は片思いの美女を乗せてドライブするため。
しかし彼の周りには人間関係のトラブルが多く、憧れの彼女と共に様々なゴタゴタに巻き込まれていく。

主人公は「トップガン」に脇役で出てたバリー・ダブ、憧れの美女は「セント・エルモス・ファイヤー」などに出てたジェニー・ライト(一時期は結構見かけたんですが、いつの間にか消えちゃいましたね…)、他にも「地獄の黙示録」のフレデリック・フォレスト、「エイリアン」のヴェロニカ・カートライト、「ロボコップ」のミゲル・フェラーなどが出演。

物語は淡々と展開しますが、それが逆に退屈な田舎町の生活を生々しく表現している感じがします。
しがない田舎町の労働者であり、またアイデンティティもまだ確立していない若者にとって、数少ない自己表現の一つがクルマ…な訳ですね。
主人公のピンクキャデラックとバックに流れるオールディーズの名曲がいい雰囲気を醸し出しています。

この作品を初めて見たときの自分も免許を取った直後で、また初めての愛車を手にした時期でもありました。
時代こそ違えど、置かれた状況はこの主人公とそっくり。
週末のたびに自慢の愛車で美女を求めて徘徊してた訳ですよ。
だから当時は共感できる部分がたくさんある映画で、何度も繰り返し見ました。
これって「クルマ離れ」の現代の若者達には理解してもらえない感覚なのかな?
携帯サイトで出会いを探したりするより余程健全だと思うんだけどなぁ。

ちなみにこの映画、DVD化されていない模様。
久々に見たくなって探したら輸入版VHSしか見つかりませんでした。
当時は中古の日本版VHSを持っていたのですが、いつの間にやら紛失。。。
このビデオ、抱き合うイケメン主人公と美女がピンクキャデラックにもたれかかったパッケージ写真が格好良かったんです。
同じパッケージでDVD化してくれないかなあ。




アクセル 爆走マッハ428(原題:BORN TO RUN)

1993年アメリカ映画

中古ビデオがナゼか高速のサービスエリアで売られていたのでつい買ってしまいました。

内容は非合法の公道ドラッグレースに明け暮れる青年を描いた青春映画です。
1970年型マスタングで常勝の主人公ニッキーは、それを快く思わないレース主催者のギャングに目を付けられていた。
おまけにギャングのボスの女と恋仲になり、さらなる怒りを買う事となる。
そして彼をレースから葬り去るべく、次々と刺客のレーサーが送り込まれる。
手ごわい対戦相手達も倒していくが、相手の一人がニッキーの仲間の一人をひき殺してしまう。
その事故に関わったとして、ニッキーは警察からも追われる身となってしまう。
そんな中、ニッキーの兄がギャングのリンチに遭い、瀕死の重傷を負う。
怒ったニッキーは最後の強敵とのレースに挑んでいくのだが。。。

70年型マスタングと対決する刺客は、それぞれデュースクーペ、シェベル、ダスターといったクルマに乗っています。
レースは夜間なので暗いですが、走行シーンはスピード感も迫力もあって迫力があります。
ただ直線を走るだけのドラッグレースは映像としてはやや地味ですね。

でもアメ車はたくさん出てくるし、アンダーグランドレース界を舞台にした青春映画としてはそれなりに楽しめます。
つい最近知ったのですが、監督はプリンスの「パープルレイン」を撮った人だそうです。
「パープルレイン」は音楽を融合した映画として評価も高く、大ヒットしましたが、この「アクセル 爆走マッハ428」はありがちな青春映画のパターンからは抜け出せていません。

ちなみに、あくまでも青春映画なのにこの邦題は反則です。
「マッハ」とか「428」とか書かれるとカーアクション映画だと思っちゃいますよね。
アメ車乗りの心をくすぐるタイトルを付けたビデオ会社の勝ち。
あと、「爆走」なんてタイトルのビデオを高速のサービスエリアで販売しているJHはもっとエライ!?

amazonを見たところ日本国内版のビデオやDVDは見つけられませんでしたが、輸入版ビデオが販売されていました。



ザ・チェイス(原題:THE CHASE)

1994年アメリカ映画

チャーリー・シーンとクリスティ・スワンソンが共演したカーチェイスコメディ映画。
無実の脱獄犯が、たまたま居合わせた富豪の娘を人質に、E36のBMW3シリーズクーペで逃亡する。

パトカーが転がったりはしますが、カーアクション映画というにはちょっと大人しい印象です。
パトカーに追われてる中でドタバタ男女が演じるドタバタ喜劇という感じです。
フリーウェイを逃走中、運転したまま…しちゃったりとか、死体が道路上に散乱したりとか、かなりハチャメチャな展開です。
終始走行中の車内のシーンなのでいささか単調ではありますが、コメディとしてはまあ楽しめます。

E36クーペは今見ても格好いいですね~。



タクシー(原題:TAXi)

 1998年フランス映画

 

フランス製カーアクションコメディ映画。
製作と脚本は「レオン」や「フィフスエレメント」の監督、あのリュック・ベッソンです。監督はジェラール・ピレス。

タクシー運転手に憧れる宅配ピザの配達人ダニエルは念願の資格を取得、タクシードライバーデビューを飾った。
プジョー406セダンを改造したタクシーと持ち前のドライビングテクニックを駆使し、制限速度を遥かに超える速度で、目的地へ急ぐ客の要望に応えるべくマルセイユの街を走っていた。
また刑事エミリアンは同僚の美人女刑事にいい所を見せたかったが、仕事ではいつもドジばかり。
おまけに教習所に通っているが、教習中に店へ突っ込むほど車の運転が苦手。
そんなエミリアンがたまたま乗ったのがダニエルのタクシーだったが、客が刑事だとは知らないダニエルは自慢の腕を披露。そして御用。
しかしドライバーとして捜査に協力する事を条件に、違反を見逃してもらう。
そして、暴走タクシードライバーとへなちょこ刑事の凸凹コンビが誕生する。

彼らが追うのは数台のメルセデスベンツを駆る連続強盗団。
ただのメルセデスではなく、ミディアムクラスのボディに5リッターV8を詰め込んだモンスター、500Eだから強敵です。

でもダニエルのタクシーもスーパープジョーで、ボタン一つで車高が下がり、トレッドが広がり、エアロパーツが飛び出し、暴走仕様へとトランスフォーム!
これが格好いい!一気にプジョーファンになりました。
劇場で「タクシー」を見た帰り、コンビニでカーセンサーを買って帰りましたもん(笑)

出演はダニエル役がサミー・ナセリ、エミリアンがフレデリック・ディーファンタル。
基本的にフランスの俳優さんには疎いのですが、後に「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」でオスカー主演女優賞を受賞、ハリウッドに進出して「インセプション」「ダークナイト・ライジング」などに出演するマリオン・コティヤールが、ダニエルの彼女役で出演しています。
いつも仕事でダニエルにかまってもらえず、欲求不満気味の彼女役がかわいいです。

スピード感のある走行シーン、変形後のスタイルが格好いいプジョー406、貴重なメルセデス500Eのアクションシーンなど、クルマ好きが楽しめる要素が盛りだくさん。
ヒットメーカーリュック・ベッソンが裏で手を引いているだけあり、娯楽性はハリウッド製アクション映画に負けていません。
また軽いノリのコメディなので、クルマに興味が無い人や女性とも一緒に見れる作品になっています。

 


タクシー2(原題:TAXi 2)

2000年フランス映画

 

シリーズ2作目はパリで大カーアクションが展開します。

サミットでフランスを訪れた日本の要人がマルセイユ警察を視察に訪れる。
しかしそこに数台の黒いランサーエボリューションVIに乗って日本のヤクザ軍団が現れ、誘拐してしまう。
ヤクザたちは日本とフランスの関係悪化を企んでいたのだった。
その陰謀を阻止すべく、スーパータクシードライバーダニエルとずっこけ刑事エミリアンは、サミットが開かれるパリへと乗り込んでいく。

前作から大幅にスケールアップして破壊される車の量も大幅に増加。
マルセイユ警察のパトカーが次々とクラッシュして山のように積み上がる場面は笑えます。
フランス車も好きな自分にとっては涙無くしては見れない場面でしたが。。。
ラスト、パリ市街で繰り広げられるプジョーとランエボの追跡劇はド迫力です。

今回のタクシーはフェイスリフトした後期型のプジョー406セダン。
新装備として羽根を備えました。
羽根といってもリアウイングじゃなくて、空を飛ぶための本当の羽根。

敵のランエボVIは千葉ナンバーを装着しています。
日本から裏ルートで持ち込んだ車両なんでしょうね。
前作のメルセデス500Eも強敵手強い相手でしたが、日本が誇るスーパーセダンであるランエボも強敵ですね。

他にもプジョー605のセキュリティ装備を強化した「コブラ」という特殊車両が出てきますが、役目も果たせずに終わります。
またオープニングではラリー用のキットカー、プジョー306マキシが競技中にも関わらず、後方から来たダニエルのタクシーにぶち抜かれる場面があります。

製作と脚本は1作目と同じリュック・ベッソン。監督はジェラール・クラヴジックに代わっています。
1作目よりも色々詰め込んだのせいか展開は忙しないですが、今作もエンターテイメントカーアクションコメディとなっています。

 


タクシー3(原題:TAXi 3)

2003年フランス映画

 

シリーズ3作目は製作と脚本がリュック・ベッソン、監督はジェラール・クラヴジックという「タクシー2」のコンビ。

今回の敵はスイスからやってきた強盗団。
またダニエルとリリィ、エミリアンとぺトラ夫妻、それぞれ妊娠が発覚します。
ダニエルはクルマ三昧の生活に呆れて家を出て行ったリリィを取り戻す為に奔走。
エミリアンは父となる事にうろたえ、相変わらずドジを連発。

ストーリーは強盗団との対決よりもドタバタ喜劇要素が強くなっています。
前2作と比べるとストーリー性は薄くなったように感じました。

最後、強盗団は雪山を抜けて国境を越え、スキーでスイスへと逃げてゆきます。
それを追いかけるダニエルとエミリアン。
雪山を前にダニエルのプジョーはタイヤからキャタピラにチェンジ。雪上車となって雪山を爆走します。

ドタバタコメディとしては楽しめますが、前2作のようなカーアクションを期待すると肩透かしを食らいます。
ランエボパトカーが出てきた所でバトルが盛り上がるかと思ったら、酒を燃料に添加してあっけなくぶっちぎって終了。
モンスタートラックが出てきてタクシーと戦うのかと思ったら、渋滞中の車を踏み潰すだけ。
最後のチェイスもキャタピラプジョーとスキーヤーの追いかけっこで、最早クルマではないし。

これ、本当にリュック・ベッソンが絡んでるのかなあ?
何か投げやりな感じがしてしまう3作目です。

ちなみに、オープニングのゲストとしてシルベスター・スタローンがタクシーの乗客として登場します。

  


タクシー4(原題:TAXi 4)

2007年フランス映画

 

この4作目からダニエルのタクシーがプジョー407に変更されています。
端正なプジョー406から、個性的なネコ顔になった事でかなりイメージが変わりました。

3作目ではそれぞれのパートナーが妊娠している事が分かったダニエルとエミリアン。
今作ではめでたく二人とも息子を持つ父親となっています。
しかしダニエルの奥さんはハリウッド進出の為リタイヤ…ではなくパリへ出掛けており不在。
エミリアンの妻のぺトラは復職して刑事として大活躍中。
そんな中、エミリアンはいつものドジで護送中の犯罪組織のボスを逃がしてしまい、ついにクビにされてしまう。
仕事へ戻る為、エミリアンはダニエルの協力を仰ぎ、犯罪組織の捜査を行っていく。

シリーズ4作目ですが、ここにきて作品の質は一気に低下。
ストーリーは3作目以上に薄っぺらく、笑いのレベルもダウン。
息子たちが絡んでくるのかと思ったらオープニングとエンディングだけで物語には関係無し。
見せ場であるタクシーの活躍も殆ど無く、派手なカーアクションも見ることができません.。
エンディングは主役二人を差し置いてジベール署長の大活躍(大暴走?)で幕引き。
さらに追い討ちをかけたのが、ダニエルの奥さんリリィ役のマリオン・コティヤールの不参加。
まあ名女優としてハリウッド映画にも出るようになった彼女にとって、この作品に出なかったのは大正解。
キャリアの傷になるところでしたから。

これ以降続編が作られていない事からも、この作品に対する評価が見えてきますね。
1作目、2作目は好きだったので、おかしな方向へ向かい始めた3作目と4作目が残念でなりません。
プジョー407の活躍も見たかったよ…。。

  


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