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ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド死霊創世記 (原題:NIGHT OF THE LIVING DEAD)

アメリカ1990年度作品


ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」のリメイク作品。
監督は、特殊メイクアーティストであり、ゾンビの暴走族役でもあるトム・サビーニです。

脚本はジョージ・A・ロメロ自身が書き上げています。
淡々としていたオリジナル版をベースに、所々に独自のスパイスを効かせた感じです。
現代の感覚で見られるようにうまくアレンジされているといった印象ですね。

オリジナルと大きく違うのは、泣き喚いていたバーバラが今作ではタフな女性として描かれている事。
やはり兄貴と一緒に墓参りに来てゾンビに襲われ、もみ合った兄貴は石に頭をぶつけて失神(死亡?)。
そしてゾンビから逃げて田舎の一軒家へと逃げ込むまでは一緒。
ここからオリジナル版のバーバラは泣き喚くだけでしたが、リメイク版のバーバラちゃんは逞しいです。
黒人青年ベンと共にしっかりゾンビや自分の運命と向き合います。

そしてラストのオチも大きく変えられています。
オリジナル版で最後に生き残るベンに代わり、このリメイク版ではバーバラが唯一の生き残りとなります。
またオリジナルは「ふうっ、助かった」と安堵したベンを悲劇が襲いますが、バーバラは違います。
命は助かるのですが、救出された後に目にする光景はゾンビをおもちゃのように弄び、ゲーム感覚で撃ち殺す醜い人間達の姿。
人間の愚かさをオチに持ってくる辺り、さすがはトム・サビーニ兄貴。
ロメロ監督作品のリメイクとしては最高な、最悪の結末ですね。

ちなみにあっという間に倒されちゃうバーバラの兄貴ジョニー。
出番は短いのにやたらと印象に残るんですが、演じているのは「悪魔のいけにえ2」のチョップトップなど、ホラー映画に多数出演しているビル・モー ズリィ。
「They are coming to get you Barbara」…この意地悪なセリフがぴったりです。
またベン役は「キャンディマン」や「ファイナルデスティネーション」シリーズでホラーファンには馴染みの深いトニー・トッド。
この人も色々なホラー映画に出ていますが、この作品以降徐々にホラーへの出演が目立って来るんですよね。

参加している特殊メイクアーティストは名前を見る限り知っている人は見当たりませんが、天下のトム・サビーニ監督作品ですから抜かりはありませ ん。
体が真っ二つにされたりといったゴアシーンもばっちりあります。
ゾンビの数は多くありませんが、ゾンビ発生直後を描いた作品ですからこれは仕方ないですね。

人間の愚かさをしっかりと描き、ロメロ監督の流れを汲んだ正統なリメイク作品と言えます。
近年は色々な趣向凝らした様々なゾンビ映画がありますが、この直球ゾンビ映画はそんな中でも一際輝いています。



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