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ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド(原題:JUAN OF THE DEAD)

2011年キューバ映画


キューバを舞台にした映画は色々見ましたが、恐らくキューバで制作された映画を見るのはこの作品が初めてです。
戦争、内戦、革命、大国の狭間で翻弄されてきた歴史、長年の経済封鎖による貧困など、キューバに対して明るいイメージは余り持っていませんでした。
そしてキューバの映画についても勝手に後進国だと決め付けていました。
しかしそんなキューバの暗いイメージや、キューバ映画界への不安はこの作品で完全に吹っ飛びました(笑)
「ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド」はカリブ海に浮かぶ島ならではの陽気で楽しいゾンビコメディ♪

主人公はランニング&カットオフジーンズにビーチサンダルと言うラフな出で立ちの中年男フアン。
失業したのをいい事に、海で魚を釣っては酒を飲んで暮らしていた。
しかしキューバに謎の伝染病が蔓延し、街に蘇った死体が現れ始める。
パニックに陥った街を見たフアンは、有料でゾンビ退治をするというビジネスを思いつく。
仲間を集めて街へと繰り出す彼らだったが、数々のトラブルが待ち受けていた。。。

まず主人公のクセに格好悪いファッションのフアンが笑えます。
格好からはヤル気の欠片も感じられないのですが、船のオールを持たせると無敵のゾンビバスターに大変身。
親友のラザロは膨らんだビール腹を揺らせながらも、両手に握ったマチェーテでゾンビを切り刻んでいきます。

特殊メイクは結構派手で、時折CGも織り交ぜた特殊効果は想像以上の出来栄え。
安っぽさは全く感じませんでした。
厳しいレーティングに引っ掛からない程度に程好くグロシーンもあります。
またゾンビ映画としては珍しいほど首が飛んで飛んで飛びまくります!
あまりにも豪快に首が飛びまくるので爽快感を感じるほど。。。
画面中に生首ゴロゴロが転がってるシーンは笑えます(笑)

コメディとしても笑いのツボは分かりやすく、充分に楽しめました。
さらにアクションも派手で、ツイ・ハークばりのワイヤーアクションまで取り入れています。

脚本的にはやや荒さはあるものの、気楽に見る分には丁度いい気の抜け具合かもしれません。
ハイレベルなコメディゾンビ映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」と比べるのはかわいそうですが、それでも「ショーン~」が好きな人には是非チャレンジしてもらいたい一本です。

ちなみに、経済封鎖によって西側諸国の製品が流入しなくなったため、キューバ人々は1950~60年代のアメ車を直し直し乗り続けています。
アメリカ本国でもカーショーに展示されるような骨董品が未だに実用車として走っているキューバの風景は、独特な異国情緒を発散しています。
作品の中でフアンが故障して動かなくなったロシア製の車に対して悪態をつく場面があります。
何気ないシーンですが、キューバが置かれた複雑な状況を物語る台詞がズシリと重く感じられました。


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