アメ車マニア


食人族 (原題:CANNIBAL HOLOCAUST)

1980年イタリア映画


日本公開時はまるでドキュメンタリー映画という触れ込みでした。
ところが実際に見てみると思いっきり作り物。
しっかりカット割りされてきれいに編集されてます(笑)
フェイクドキュメンタリーってやつですね。
これをまるで本物のドキュメンタリーのように宣伝した日本の配給会社には悪意を感じますねえ。

アマゾン奥地の現地民族を取材に行って行方不明になった4人の取材班。
捜索隊が彼らを追ってジャングルの奥深くへ入っていくと、そこには人間を食料として食べる習慣を持つ民族が居た。
そしてその民族の村の近くで消息を絶った4人の無残な遺体と、カメラ、フィルムを発見する。
彼らが残したフィルムを持ち帰って見てみると、現地民族に対する残酷な仕打ちと、その報復に殺害される取材班の姿が写っていた。。。

「食人族」というタイトルから残酷シーンばかりが続く映画と思いきや、終始人を食ってる映画ではなく、原住民の奇習を取材班と共に見ていく探検映画的な作りです。
前半は捜索班が取材班を探しながら食人族の風習を追い、後半は取材班の愚行と殺されるまでを描くという2部構成。
イタリア映画なだけあって、人間を切り刻むような残酷シーンは気合いが入っています。
ドキュメンタリー風にチラチラ物陰から撮ったり、フィルムの痛みを表現したようなノイズを入れる手法はわざとらしいですが、それが効果的に働いている箇所もあります。

また、フェイクドキュメンタリーといっても見てて気分が悪くなる部分がいくつかあります。
まず女性への暴力や嬰児を殺めるシーンなどは、ヤラセと分かっていても凹みます。
さらに精神的にダメージを食らう点が2点。
一部、本物の遺体や処刑シーンを写した映像を使っている事と、本物の動物を殺す場面。
本物の亀、豚、猿、ネズミ(?)などを容赦なく殺しています。
映画という娯楽、商業のために動物の命が奪われている事に大きな嫌悪感を感じます。

逆に見せ場である人間を殺して食べるシーンの方が気楽に見れます。
やはり映画は作り物であるという前提があって初めて楽しめる物だと思います。
「食人族」はその一線を越えてしまっているのが個人的に許せません。

ただ映画としてのアイデアは面白いし、決してつまらなくはないので、倫理的にどうなの?と分かっていながら見ちゃう自分に自己嫌悪。。。
あ、お尻の穴から口まで極太の棒を貫通させた遺体のシーンは、フェイクと分かっていても衝撃的です。

   



「食人族」ファン向けの類似作品群(笑)

   
   


<地獄の謝肉祭> <リストへ戻る> <ゾンバイオ・死霊のしたたり>