アメ車マニア


ゾンビ大陸 アフリカン(原題:THE DEAD)

2010年イギリス映画


アフリカにゾンビが出現して国民を襲い始めた。
アフリカに駐留する米軍も事態を収拾する事を諦め、軍用機で脱出を始めていた。
最後の飛行機に乗り込んだマーフィー中尉だったが、機内で負傷者がゾンビ化し、混乱の中機体は海へと墜落した。
どうにか海岸まで流れ着いたマーフィー中尉。しかし仲間は全員死亡。
一人でゾンビがうろつくアフリカの広大な荒野を歩き始めた。
小さな集落で危うく襲われそうになりながらもプジョーのトラックを手に入れた。
アフリカから脱出できる航空機を求め、基地を目指して走り出したマーフィー。
その前に、アフリカ軍の兵士ダニエルが現れた。
彼は妻をゾンビに殺され、行方不明になってしまった息子を探していた。
二人は行動を共にし、それぞれの目的を果たすべく荒野を彷徨う。。。

タイトルが発するオフザケ感から、数あるB級ゾンビ映画の中に埋もれている1本だと思って見始めました。
ところが、予想に反して前半からグイグイと引き込まれていきます。

ゾンビは流行りの俊足ゾンビではなく、ジョージ・A・ロメロ系の鈍足系です。
全力疾走ゾンビも怖いっちゃ怖いんですが、個人的にはユラユラと無表情に歩く鈍足ゾンビの方が好きです。
特殊メイクは要所要所にグロシーンがありますが、やり過ぎていないところに好感をもてます。
ゾンビのメイクは青白く塗った顔に小さな瞳のコンタクトレンズが基本スタイル。
これでも充分不気味なのに中には顔に生々しい傷を負ったゾンビたちも登場します。
これらを踏まえて考えると、「ゾンビ大陸アフリカン」からはジョージ・A・ロメロ監督への多大なるリスペクトを感じます。
だからロメロファンには是非見て欲しい1本です。

監督・脚本・製作はフォード兄弟。
ゾンビ愛をヒシヒシと感じさせる映画作りには物凄く共感できます。
撮影も兄弟の片割れジョン・フォード(すごい名前!)が担当し、アフリカの広大な大地、真っ赤な夕日、幻想的な岩山など、映像でも楽しませてくれます。
他にもガゾリンの給油口から立ち上る揮発したガソリンのゆらめきや、暗闇を上手く使った恐怖演出など、豊かな感性を感じる映像作家です。

ラストは絶望の中に見えた一筋の光を胸に、ゾンビと対峙するマーフィーの姿を映して劇終。
続編が作りやすそうな終わり方です。
もしも続編を作るなら下手に予算を増やしたりせず、1作目と同様アイデアと感性を武器に勝負してもらいたいですね。


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