アメ車マニア


仄暗い水の底から

2002年日本映画


「リング」と同じく、鈴木光司原作&中田秀夫監督コンビによるジャパニーズホラー。

夫と離婚調停中の淑美(黒木瞳)は、新生活を始める為、娘と共にマンションへ越して来る。
夫(小日向文世)に娘・郁子の親権を奪われぬよう、安定した生活環境がを整える必要があった。

入居の日、マンションの屋上で郁子が赤い園児バッグを拾ってきた。
淑美は管理人室に拾得物として届けた。

生活拠点が決まりホッとしていた淑美だったが、入居早々、天井から水が染み出し、ポタポタと垂れている事に気付いた。
階上の部屋を訪ねるが人気がない。
諦めて帰ろうとした淑美の前に一瞬少女が姿を見せるが、すぐ幻のように消えてしまう。
淑美は管理人に水漏れの事だけを伝えたが「管理日誌に記録しておくが、古い建物だから仕方ない」という素っ気無い返事が返ってくるのみだった。

郁子はマンション近くの幼稚園へ通い始めた。
土砂降りの園庭にずぶ濡れで立ち尽くす黄色いレインコートの少女を見かける。
数日後、園内で友達とかくれんぼしている郁子の前に、ずぶ濡れの少女が近付いてきた。。。
嘔吐と高熱に襲われ意識を失った郁子を迎えに来た淑美は、園内の壁に貼られた奇妙な絵を見つける。
それは、数年前に行方不明になったままの園児、美津子の無事を祈って園児たちが描いた絵だった。
絵の中の美津子は、黄色いレインコートと赤い園児バッグを身に付けていた。。。

母親に幼稚園に置き去りにされた美津子は、1人で園を抜け出し、近くのマンションの屋上へ向かった。
そこにあった貯水タンクを覗き込んだ時、手を滑らせてタンクの中に落ちてしまった。
母親の愛情に飢えたまま、美津子は人知れずタンクの中に眠っていたのだった。

最後、姿を現した美津子は親子に襲い掛かる。
我が子を守る為、怨念を鎮めようと美津子を抱きしめたまま屋上の貯水タンクへと向かう淑美。
そして姿を消してしまう。

父親に引き取られ高校生になった郁子は、廃墟となったあのマンションを訪れる。
母と暮らした部屋に入ると、そこは昔と変わらぬままだった。
懐かしさに浸っている郁子の前に現れた当時と変わらぬ姿の淑美。
久々の親子の会話を楽しむ二人。
また母と暮らすことを望む郁子だったが、娘の成長を見届けた淑美は再び姿を消してしまうのだった。

ストーリーの概要はこんな感じです。

悲しい幽霊物語です。
母に捨てられ、人知れず亡くなった美津子。
わが子を守る為に別れを選ぶ母親。
子を持つ親なら切なさ倍増確実。

恐怖演出も冴えてて、広がってゆく天井の染み、捨てても捨てても戻ってくる園児バッグ、蛇口から流れ出る髪の毛、水浸しの階上の部屋…。
日本の恐怖映画らしい怨念めいたエピソードが効果的です。
特に、貯水タンクに沈んだままの美津子の怨念を表す、水にまつわる演出が秀逸。
湿気を肌に感じるようにじっとりまとわり付く不気味さが感じられます。

改めて思いましたが、黒木瞳ってやはり美人ですね~。
ただ、舞台女優出身だからか、または監督の演出なのかは分かりませんが、表現がやや大袈裟に感じられるシーンがありました。
例えば、風呂場で娘が幽霊に溺れさせられそうになっている時、その異変を感じ取り、大袈裟に恐る恐る、ゆっくりゆっくり近付いていく動作とかね。
愛娘の姿が見えないんだからそこはびびってないでダッシュだろ~!と思わず突っ込んじゃいました。
このような良くも悪くも日本映画らしい演出はそこかしこにあります。

でも海外で賞を取り、ハリウッドで「ダークウォーター」としてリメイクされた事からも、量産されたJホラーの中でも一級品である事を証明していま す。
ジトーッと忍び寄る恐怖と切なさを味わってください。

 


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