アメ車マニア


デモンズ4 (原題:LA SETTA)

1991年イタリア映画


ダリオ・アルジェントの秘蔵っ子として「アクエリアス」で華々しくデビューを飾り、アルジェントの後継者とまで言われたミケーレ・ソアビ監督。
後に名作「デモンズ95」(変な邦題が付いていますがランベルト・バーバの「デモンズ」とは関係の無い、幻想的なゾンビホラー)を撮ります。

そのソアビ監督が1991年に製作したのがこの「デモンズ4」。
これも邦題に「デモンズ」なんて付いていますが、あのデモンズとは全く関係ありません。
お話は悪魔崇拝者に悪魔の子を宿された女性のお話で、脚本にはアルジェントも参加しています。

1970年のアメリカ。
砂漠で暮らすヒッピーグループの元へデーモンと名乗る浮浪者が現れる。
もてなすヒッピー達だったが、デーモンの仲間のバイカー達が現れ皆殺しにされてしまう。
デーモンは焚き火の中に被害者から剥ぎ取った顔の皮を投げ入れ、ルシファーへと捧げる。

現代のドイツ。
街中を歩く女性は不審な男に尾行されている事に気付く。
どうにか自宅に辿り着いたが、自宅ではその男が先回りして待ち伏せしていた。
女性は悪魔崇拝者の一人だったが、裏切ったため元仲間の男に刺し殺されてしまう。
男は女性の心臓を抉り出して地下鉄に乗るが、スリが男のポケットの中にあった心臓を見つけてしまい、男は警官に取り押さえられる。
しかし男は自らの目的を果たせなかった事を悔い、警官の銃を奪って自殺を図ってしまう。

このようにルシファーの復活を望む悪魔崇拝者が世界中でひっそりと活動しているのだった。

教師のミリアムは車で老人を轢きかけてしまう。
転倒した老人だったが、医者を呼ぶことを拒んだため、自宅へ連れ帰り休ませる事にする。
老人はそのまま夜まで寝続けたため、ミリアムも自分のベッドで眠りについた。
するとその時を待っていたかのように老人が起き上がり、ミリアムの寝室へと侵入した。
寝室で虫を取り出した彼は、ミリアムの鼻の穴の中へ入れると虫は頭部の奥深くへと入り込んでいった。
この虫により、ミリアムの体に悪魔の子供が宿されたのだった。。。

何だか自分の知っているミケーレ・ソアビ作品のテイストとはちょっと違うんですよね。
師匠アルジェントの作品で例えると、傑作とはいえない「インフェルノ」のような微妙な出来。
具体的な説明が無いままイメージ映像続いていくような感じも「インフェルノ」っぽいかも。
「どうしちゃったんだソアビ?」と思って色々調べましたが、日本未公開なので日本語の資料は殆ど無し。
で、海外のマニアサイトで見つけた話によると、この作品は完成までに色々な困難があったそう。
予定していた監督が降板、代わりに白羽の矢が立てられたのがソアビ監督。
しかも脚本も何度も書き換えられ、結果的に当初のものとは全く違うお話になったとか。
色々と引っかき回しているうちに訳が分からなくなっちゃたのかもしれませんねえ。

でも見所は色々あって、まずは何と行ってもセルジオ・スティバレッティが手掛けた顔面剥がしの特殊メイク!
顔の周囲に無数のフック型の針を刺し、それを一気に引っ張ると顔の皮がベリベリっと剥がれるんです。
これは凄まじい!でも派手なグロシーンはこれくらいです。

映像はソアビ監督らしい冷たい色が特徴的。
アルジェントが原色で派手派手な照明を使ったのに対し、ソアビはブルーの照明で寒々しい空気を生み出しています。
全てがブルーに照らし出されたセットは幻想的で、異次元に迷い込んだようにも見えます。

ヒロインのミリアムは、「ハロウィン」のジェイミー・リー・カーティスの妹、「サイコ」のジャネット・リーの娘、ケリー・カーティス。
ママや姉ほど有名ではありませんが、自分はお姉ちゃんよりも美人だと思いますね。
あと謎の老人役は「スパルタカス」にも出ていた名優ハーバート・ロム。「デッドゾーン」にも出てましたね。

エンディングは「え?悪魔の子なのに!?」という疑問を残しますが、親子の縁というのはそれ程強いもの、とソアビ監督は言いたかったのかもしれませんね。

 


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