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アナベル 死霊館の人形(原題:ANNABELLE) 

2014年アメリカ映画





「ソウ」「ワイルドスピード7」のジェームズ・ワン監督が撮った「死霊館」のスピンオフ作品。続編ではありません。
「死霊館」のオープニングに出てきたアナベルという人形のエピソードを描いた前日譚です。
この作品ではジェームズ・ワンは製作に回り、監督を務めるのは「死霊館」で撮影を担当し、「バタフライ・エフェクト2」などの監督も務めていたジョン・R・レオネッティ。


ミアは待望の第一子を妊娠しており、夫のジョンと共にその誕生を心待ちにしていた。
ミアは以前から欲しかったアンティークの人形をジョンからプレゼントされ、子供部屋に飾った。
ある日、二人の自宅に悪魔を崇拝するカルト教団の信者であるカップルが押し入ってくる。
夫婦に襲い掛かるが、男は駆け付けた警官に射殺され、女アナベルは人形を抱きかかえたまま自殺して息絶えた。
傷を負って入院していたミアは、無事にリアという女の子を出産する。
退院すると事件の記憶を消し去るため人形はゴミ箱に捨て、自宅を出てアパートへと引っ越した。
アパートで荷解きをしていると、捨てたはずの人形が荷物の中から出てくる。
そのまま部屋に置いておくが、不気味な現象が次々と起こるようになる。
近所の本屋へ悪魔について調べに行くと、親切な女性店員エブリンが本探しを手伝ってくれ、二人はそれを機に仲良くなる。
書物から怪奇現象が悪魔の仕業だと確信したジョンとミアは教会へ助けを求め、神父に人形を預けた。
しかしその夜、神父は事故死してしまう。
そしてついに人形の中に潜んでいたアナベルと、悪魔が姿を現し、ミアとリア親子に襲い掛かる。
悪魔の力によりアパートの窓から飛び降りようとしているアビーを間一髪でジョンが抱き留めると、エブリンはアナベル人形を抱きかかえたままアパートから飛び降りた。
エブリンは過去に事故で娘を死なせてしまった事への罪悪感をずっと抱えて生きていたが、娘への罪滅ぼしの為、アナベルを道連れにした死を選んだのだった。
こうしてジョンとミアは悪魔から解放されたが、拾われたアナベル人形はある店先に並べられ、新しい獲物を待ち構えていた。。。


前作「死霊館」が余りにも怖く、良く出来たオカルト映画だったこともあってかなり期待していました。
ところが前作のような巧みさは感じられず、B級までとは言わないまでも、これと同レベルのホラーなら他にもたくさんありますな。

ただ、舞台となる60年後半のアメリカを震撼させたカルト教団を絡めたのは面白かった。
でもそれがエスカレートした結果、途中から悪魔が姿を現しちゃったのははっきり言ってやり過ぎでしたね。
お話が一気に嘘くさくなったし、子供だましホラーみたいな印象を与えてしまいました。

この監督さん、他のシーンでも加減が下手だなあ、と思わせるところがいくつもありました。
地下室のシーンなんかも最初は結構怖かったんだけど、それが延々と続くもんだからいい加減飽きちゃいましたね。
おまけに最後は悪魔のご登場ですから「あーあ…」って感じ。

アナベルのデザインについても同様で完全にやり過ぎ。
女が乗り移る以前から姿が不気味過ぎです。
あんなもんを欲しがっていたミアの感性を疑わずにはいられません。
悪意のある霊が乗り移った後に見た目が不気味になるのはいいんですけどねぇ。

あと、最後に本屋のおばちゃんが人形を抱えて飛び降りる展開は「は?????」という感じでした。
あれでなぜ夫妻がアナベルと悪魔から解放されたのかよく分かりません。
最後だけでもきっちり締めてくれればもっと好意的なレビューが書けたと思うんだけどなあ。

「死霊館」と「アナベル」を見比べてみると全く関係ない別の作品のようなイメージを受けます。
仕掛けに凝ってて見る者の裏をかいてきた「死霊館」に対し、「アナベル」はありがちでシンプルな怖がらせ方。
どちらにもアナベル人形は出てるんですけどね、監督が代わるとこうも印象が変わるのか…というのは発見でした。

「死霊館」を見ていない人なら、比較対象がないからそこそこは楽しめると思います。
でも「死霊館」を見た人でこれから「アナベル」を見るなら、一旦「死霊館」の事は忘れて見ましょう。
同じレベルを期待しているとがっかりしちゃうと思うので。
でも大抵の人は前作を見てから「アナベル」を見るんでしょうけど。。。

ちなみに、ジェームズ・ワン監督で、ヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソン演じるウォーレン夫妻がカムバックする「死霊館」の正式な続編も現在製作中だそうです。
「アナベル」にがっかりした人はこちらを期待して待ちましょう!

 


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