アメ車マニア


エンゼルハート (原題:ANGEL HEART)

1987年アメリカ映画


ルイス・サイファーという紳士から、人探しを依頼されたミッキー・ローク演じる私立探偵ハリー・エンゼル。
探すのは失踪した歌手、ジョニー。
ジョニーの痕跡を追って南部の町に辿り着き、そこでジョニーの関係者を探すのだが、ハリーが近寄ると皆、次々と惨殺されてしまう。
犯人は誰なのか?ジョニーとは何者なのか?

ハードボイルドタッチのオカルト映画です。
南部のジメッとした気候に、陰のある人々、随所に挿入されるイメージカット、どす黒い血にまみれて息絶える被害者たち。
作品全体を包み込む重たい空気が凄い。
ルイス・サイファーを演じるのはロバート・デ・ニーロ。
役名を聞けば何となく正体が分かると思いますが、その存在感もまた強烈です。

ラストのオチはかなりヘビーでした。
オチを書かないとこの映画を説明できないので書いちゃいますよ。。。

ジョニーは悪魔に魂を売り渡すかわりに歌手としての成功を手に入れます。
しかし後になって悪魔との契約を後悔し、悪魔から逃げることを画策。
そこでニューヨークで見つけた若い帰還兵を部屋に連れ込み、悪魔の儀式によって彼の心臓を食い、身分と記憶を奪ってしまいます。
この心臓を奪われた兵士というのが、実はミッキー・ローク演じるハリーだった訳です。
つまりハリーの体は歌手ジョニーのものであり、その体の奥底にはジョニーの人格が隠されています。
ハリーの意識はジョニーの体に取り込まれて生き続けているものの、心臓を食われてしまったのでもう自分の体は存在しない。
で、当のジョニーは意識と記憶を封印しているので、悪魔との契約をジョニーの代わりにハリーが受ける事になった…という事なんですね。

最悪です。このラストだけちょっとややこしいんですが、ジョニーとハリーの関係だけ分かってれば多分理解できるはず。
「エンゼルハート」は私が過去に見た映画の中で最もダークでヘビーなホラー映画です。
見てはいけないものを見てしまったような後ろめたさを感じるほど。
現実世界に悪魔という存在を持ってきたところに猛烈なリアリティがあります。

監督はアラン・パーカー。
この職人監督の映像に対する拘りは半端じゃありません。
地獄へ堕ちるエレベーターをはじめ、映像がとにかく美しい。
また一つ一つのカット全てに意味が込められており、見れば見るほどに発見があります。

ラストはミッキー・ロークと共に、恐怖に号泣してください。。。


 


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