アメ車マニア


ステイクランド 戦いの旅路(原題:STAKE LAND)

2010年アメリカ映画


ヴァンパイア化した人類に埋め尽くされたアメリカを舞台に、安住の地を求めて旅する人々を描いたポストアポカリプスホラーロードムービー。


中年男性”ミスター”はヴァンパイアと戦いながら、安全に暮らせるニュー・エデンと呼ばれる場所を探し、文明が滅んだアメリカを車で旅している。
旅の途中で出会った両親を亡くした少年マーティンを助け、戦士として育てながら共に行動していた。
二人はならず者に襲われていたシスターを助けるが、殺した男が武装カルト教団のメンバーだった事から、その仲間に捕らえられてしまう。
そしてミスターはヴァンパイアだらけの森に放り出され、マーティンとシスターはカルト教団の施設に連行される。
シスターから自分を置いて逃げるよう勧められたマーティンは、教団の隙をついて森の中へ逃げ込み、クルマの中に隠れていたミスターと合流。
傷を負ったミスターとマーティンが転がり込んだ酒場では、同じくニュー・エデンを目指す妊婦のベルと出会う。
そして途中で出会った黒人青年を加え4人となったチームは、再び安全地帯を求めて旅に出発する。
カルト教団が支配する地域を走っていると教団の教祖を見つけ、捕えてヴァンパイアだらけの森の木に縛り付けてその場を立ち去る。
4人は周囲を厳重に警備された村へ辿り着き、そこで教団から逃れてきたシスターとも再会した。
大勢の生存者と共に村の祭りに浮かれる彼らだったが、居場所を突き止めたカルト教団がヘリで上空からヴァンパイアを投下し、平和な村は一転、地獄と化してしまう。
どうにか村から逃げ出したものの一行をヴァンパイア軍団が囲んだ。
妊婦で足が遅いベルを逃がす為、シスターが自ら犠牲となり、彼女が襲われている隙に4人は山の中へと逃げ込んだ。
ヴァンパイアの手が及んでいない深い山中にそのまま暫く身を隠していたが、ある日何者かに黒人青年が殺され、ベルは連れ去られてしまう。
ミスターとマーティンはベルを探して歩き、見つけた廃工場の中でヴァンパイアと化したベルを発見する。
その傍らに居たのは、ヴァンパイアとなり強い力を得たカルト教団の教祖だった。
死闘の末、教祖の心臓に杭を打ち込むミスターとマーティン。
そして、変わり果てた姿のベルにも杭を打ち込み、山を下りる。
麓の店へ立ち寄ると、廃屋と思われたそこには一人の少女ペギーが暮らしていた。
ボウガンを武器に、一人ヴァンパイアと戦って生き長らえてきたのだった。
逞しく成長したマーティンと、逞しく生きるペギーの姿を見届けたミスターは、二人の前から姿を消す。
パートナーを見つけた二人は翌朝、ニュー・エデンへ向けて出発する。。。


ヴァンパイアといってもドラキュラのような知性のある吸血鬼ではなく、ゾンビのような風貌です。
心臓に杭を打つのが弱点だったり、太陽に当たると死んでしまうという吸血鬼の特徴を持っていますが、ゴシックホラーよりもゾンビ映画ファン向け。

ゾンビ風ヴァンパイアの特殊メイクはなかなか凝っています。
体バラバラや内臓ズルズルみたいなグロシーンはありませんが、スコップを口にぶち込んだり、後頭部から刺した杭が口から飛び出したりといったショックシーンが程良く(?)散りばめられています。
口から血をダラダラ流しながら迫ってくるヴァンパイアの姿はなかなか不気味です。

ジム・ミックル監督については今作で初めて知りましたが、派手さは無いものの手堅く演出している印象。
脚本はジム・マイクル監督と主演のミスター役ニック・ダミチが共同で書いています。

ベル役のダニエル・ハリスは色々なホラー映画に出演しているのでその筋では有名人ですね。
ミスターを演じるニック・ダミチは知りませんでしたが渋めのおじさまですね。ただ主役を張るにはちょっと華が無いかな?
マーティン役のコナー・パオロも主演作品をいくつか見てるのに全く記憶に無し。ちょっと影が薄いか?

なんか地味なキャストだな~と思ってたら、大スターが出ておりました!
「トップ・ガン」「刑事ジョン・ブック 目撃者」のケリー・マクギリス!!
ワタクシ、実はエンドロールまで気付きませんでした。。。
シスターを演じていたのがまさかあのケリー・マクギリスだったなんて。。。
だってただのおばちゃん、いや、おばあちゃんにしか見えなかったんですもん(汗)
老けキャラの割りにならず者に襲われそうになったり、教祖から誘われたりと扱いがちょっとお色気系だったのが不思議でした。
それも昔のケリー・マクギリスを知ってれば何となく理解出来る気もするんですが、「ステイク・ランド」の彼女しか知らなければ全くそんな気は起きませんね。
それくらい普通のおばあちゃん化してます。
映画の内容以上に、時間の残酷さが衝撃的でした。。。

作品は「ザ・ロード」「ザ・ウォーカー」のような終末世界を舞台にしたロードムービー。
上記の二本ほど予算が掛かっていないのは明白ですが、ホラーとロードムービーの融合は大成功。
個人的には大作「ザ・ウォーカー」なんかより余程楽しめました。
出演者に華やかさが足りないので何となく目立たない作品ですが、よくまとまった佳作だと思います。


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