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キョンシー(原題:殭屍/Rigor Mortis)

2013年香港映画




80年代に日本でも大ヒットシリーズとなった「霊幻道士」を、舞台を現代に置き換えてのリブート作品。

主演は一作目の「霊幻道士」でも一応主役だったチン・シュウホウ。
今回は道士様や間抜けな相方に邪魔される事無く、ばっちり主役を演じられています。
しかも今回は本人役で、「昔キョンシー映画で活躍した落ちぶれた俳優」という役どころ。
その他にも旧作でも道士役だったアンソニー・チャンがチンを助ける元道士役で登場。
そして驚きは、パッケージにもなってる恐ろしいキョンシーを演じているのがあのリチャード・ウン(ン)という事。
あのコミカルな顔がこんなおどろおどろしいキョンシーに化けるとは。

監督は俳優として「ドリーム・ホーム」にも出演していたジュノ・マック、プロデュースは「呪怨」の清水崇監督。
清水監督の影響からか日本のホラー映画のような陰湿な雰囲気が漂い、陽気でコミカルな「霊幻道士」とは違う新しいキョンシー映画になっています。


妻子を亡くし、生きる気力を失った俳優チンが古いアパートへと移り住んできた。
絶望している彼は、入居早々、天井から下げたロープで首つり自殺を図る。
死にかけたチンの元に亡霊が現れ、彼の体を乗っ取ろうとした。
しかし間一髪の所で、廃業してアパートの食堂で働く元道士ヤウが助けに入り、チンを助け出した。
その部屋では以前、双子の少女が家庭教師に乱暴され命を落としていた。
チンの前に現れたのはその双子の少女たちだったのだ。

そのアパートではある老夫婦が仲睦まじく暮らしていた。
ある時、亡霊に気を取られたおじいさんが階段で足を滑らせ死んでしまう。
おばあさんは悪の道士ガウに相談し、旦那を生き返らせてもらう事にする。
もちろんキョンシーとして。。。


…ってな具合に、双子の亡霊話から突然キョンシーの話に切り替わります。
ここにはあらすじ程度しか書いていませんが、映画の中でも双子とキョンシーの関係は描かれません。
双子のエピソードは必要だったんか???と思いますが、Jホラー風亡霊とキョンシーの融合は面白いっちゃあ面白い。
でも100分程度の映画なのにキョンシーが動き出すまで70分ほどかかるため、幽霊が暴れている時間の方が長いんですよね。
相変わらず無表情な顔でピョンピョンと飛び跳ねるその姿をもっと拝みたかったなあ。

映像はスタイリッシュで幻想的。
そんな映像をゆったり見せるような場面が多い事からスピード感はありませんが、ゆったりした展開が不気味さを助長しています。

ゴア描写は控え目です。
人体損壊よりも幽霊やキョンシーの描写に力が入っていますね。
でも折れた脊椎が首の後ろから突き出したり、所々に挟まれる特殊メイクはなかなかリアルでした。

そして賛否が分かれそうなのが最後のオチ。
映画のラストとしてはかなりの反則技と言われている「夢オチ」なんです。
途中、子供をキョンシーに食わせるという残虐極まりない展開に驚くのですが、夢から覚めると元気な少年が居る訳です。
ホッとする反面、夢だと何でもアリになっちゃうのはどうなんでしょうね。
ここでは詳しく書きませんので興味がある人はご自分で見て評価して下さい。

ちなみに自分は、カンフーコメディ色が強い「霊幻道士」はそれほど好きではありませんでしたが、このシリアス版キョンシーは結構好きです♪

 


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