アメ車マニア


新・ハウリング (原題:THE HOWLING REBORN)

2011年アメリカ映画


ジョー・ダンテ監督の「ハウリング」がリメイクされるという話は聞いていました。
しかしまさかこんな直球タイトルでひっそりDVDスルーされているとは驚きました。
このタイトルを聞いて、てっきり柳の下のドジョウ狙いのパチモン作品かと思いました。
タイトルに「新・~」などと付けられるのは、ヒット作にあやかったC級作品だったりするのが常ですからね。

ちなみにリメイクと聞いていましたが、タイトルの通り、新解釈のハウリングです。
共通点といえば狼男が出てくる事と、そのモンスターデザインが旧作に似ている事のみ。
旧作の物語との共通性、関連性は皆無です。

子供を身ごもったキャスリンが腹を引き裂かれ、何者かに殺される。
赤ちゃんの命は助かり、ウィルと名付けられるが、キャスリンの遺体は姿を消してしまう。

18年後、成長したウィルは高校卒業を翌日に控えていた。
想いを寄せる女子高生エリアナには彼氏が居たが、卒業前に告白するか悩んでいた。
そんなウィルの熱視線に気付いた彼氏に危うくボコられそうになる。
でもその甲斐あって、エリアナからこっそり卒業ダンスパーティへ誘われる。

パーティではエリアナと急接近するも、得体の知れない生物に追われ、命からがら会場から逃げ出すウィル。
翌日学校では、一緒にパーティへ行った事に激怒するエリアナの彼氏が待っていたが、突如目覚めた攻撃性で見事ノックアウトする。

ウィルには母親が殺された際に負った引っ掛かれたような古傷があった。
秘めたパワー、すぐに治癒する傷など、自分の体に異変を感じたウィルは高校の図書室で狼男について調べていた。
そこへエリアナが現れてウィルを誘惑していると、今度は死んだはずのウィルの母、キャスリンが不良生徒を引き連れて登場。
キャスリンは狼男に襲われて死んだ為、自らも生き返り、狼人間一族のリーダーとして生き続けていた。
そして狼男の能力に目覚めたウィルを仲間に引き込むため、手下の狼男たちと共にやって来たのだった。
手下たちがエリアナに襲いかかろうとした瞬間、ウィルはエリアナを抱きかかえたまま、窓から学校の中庭へと飛び降りる。
校舎から出ようとするが、全ての出入り口は厳重なセキュリティで守られ、狼人間達と共に校内へ閉じ込められてしまう。

こうして閉鎖された空間で狼人間たちとの戦いが繰り広げられていきます。

もう突っ込みどころ満載のストーリーです(笑)
全体的に説明不足なところが多く、脚本が雑な印象。
放置プレイや、今のシーンに何の意味が?の連続。
出来事をきっちり収束させないまま次に進んでしまうので、意味を持たないシーンが見られます。

人物描写も所々に不自然さがあり、前半は男をぐいぐいリードする遊び慣れた感じのエリアナが、後半では突如、純情純愛少女にキャラ変更。
ウィルの父親は、甦ってきた自分の奥さんに気付くのが遅過ぎ。散々自分を口説いてきて、飲みに行って、家に連れ込んで、ベッドインしても言われる まで気付きません。

見せ場であるはずの狼男への変身シーンは、CGによって一瞬で変身完了。
オリジナル版ではロブ・ボッティンの特殊メイクにより、顔や体が人間から狼男へと変身していく様をじっくりと見せました。
変身シーンをお手軽に済ませた時点で、この作品に「ハウリング」を名乗る資格は無いと思います。
分かってないなあ。

そして「新・ハウリング」最大の罪は、「トワイライト」と同じ青春恋愛モノ路線を選んでしまったこと。
しかもバンパイアが狼男になっただけで、やってる事は「トワイライト」の猿真似にしか見えません。
おまけにクオリティ面で圧倒的に敗北。
オリジナル版「ハウリング」を完全に冒涜してますね。

もしオリジナルの「ハウリング」とこの「新・ハウリング」のどちらを見ようか迷っている人が居るなら、自分は全力でオリジナル版を勧めます。
あまりに落胆したので、「新・ハウリング」を見終わってすぐ「ハウリング」を見直しましたが、やはりあれは傑作です。何度でも見れます。
「新・ハウリング」はもう二度と見る事はないでしょう。。。

ちなみにこちらがオリジナル版ハウリング。



ただ悔しいことに、眠くなることなく最後までしっかり楽しめちゃった自分も居ます。
何も考えずにボーっと見るには、リメイク版も軽くて丁度いい作品なのかもしれませんね(汗)

  ←こっちがお勧め


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