アメ車マニア


クライモリ デッド・リターン (原題:WRONG TURN 3:LEFT FOR DEAD)

アメリカ2009年度作品


「クライモリ」シリーズの3作目。
ナゼか3作目はアメリカでもDVDスルーだったようです。

主要なスタッフ名を見るとアメリカ人ではないと思われる名前が大勢並んでいます。
製作国はあくまでもアメリカとされていますが、撮影はブルガリアで行われたという事。
アメリカ資本のブルガリア映画、といった感じなのかもしれません。

ボートでの川下りに出かけた4人の若者が冒頭に登場しますが、3人はオープニングで瞬殺されます。
眼球が飛び出したり、口に鉄パイプを突き刺されたり、体を三枚おろしにされたりと、序盤から見せ場たっぷり。
一人の女子アレックスの生死が分からぬまま、舞台は刑務所へ移動。
そこに収監されている囚人チャベスとフロイドが、別の刑務所へ移送される事になっていた。
二人は外の仲間と連絡を取り合い、移動の最中に脱獄する計画を練っていた。
彼らを護送する3人の看守の中には、間もなく法科学院へ入学する為、数日で退職予定のネイトが居た。
他の囚人数名と共に護送バスに乗り込んだ一行は深い森の中の一本道を通り抜けていく。
しかし、途中で食人鬼の乗ったトラックに襲われ、バスは横転、携帯電話も圏外の山中に放り出されてしまう。
囚人に銃を奪われた看守達は、言われるがままに徒歩で進む。
そんな一行の前に、森の中を逃げ回っていたアレックスが現れ合流する事に。
そこへ食人鬼一味の子供が襲い掛かるが、屈強な囚人が押さえつけ、首をはねてしまう。
それに怒った食人鬼の父親は、一人、また一人と看守や囚人を餌食にしていく。。。

前作のリアリティ番組というシチュエーションは日本人には馴染みが薄い事もあって、イマイチ馴染めないシチュエーションでした。
ところが今回は極悪な囚人たちと共に食人鬼から逃げなくてはならないという最悪の状況。
敵と味方両方から殺されるかもしれないという点でスリルは前作以上です。

惜しいのは食人鬼の影が薄く、あまり怖くないこと。
前作までは食人鬼ファミリーと戦ってきましたが、今回登場する食人鬼は2人のみ。
しかも1人は子供で前半のうちに倒されてしまうため、襲い掛かるのは実質1人なんです。
前作ではミュータント同士の濡れ場や、出産シーンがあったりと、食人鬼は強烈な嫌悪感を残しました。
それに比べ今回はキャラも弱く、ひょろひょろしてて強くも無さそうなのが寂しい。
怖さでは残念ながら囚人軍団の方が上でしたねえ。

また1作目の「クライモリ」は、特殊メイク界の大御所スタン・ウィンストンが腕を振るったゴア描写が売りでした。
特殊メイクアーティストは代わりましたが、2作目もその傾向をしっかり受け継いでかなり頑張っていました。
この3作目も頑張ってはいるのですが、部分的にCGを使っているのがマイナス。
人体損壊シーンのリアルさや、飛び散る血の表現力は、出来のいい特殊メイクにはまだ敵いませんね。
特殊メイクを使っているシーンはよく出来ていたのでなおさら興醒めさせるCGが残念でした。

でもこの手のスラッシャー映画としては充分楽しめるレベルではあります。
1作目、2作目がやり過ぎていた感もあったので、そこを基準に考えると物足りなさが残った、という所でしょうか。

ちなみに次回作となる4作目はまた劇場公開されています。
多少の物足りなさはあっても、劇場公開を見送ってDVDのみの販売というのは悲しいですね。
シリーズ中で残念な一本になってしまいましたが、実はこの監督、続く4作目、5作目も継続してメガホンを取っています。
という事を考えると、この3作目はそれなりに評価されたという事なのかもしれませんね。
とりあえず「クライモリ」シリーズファンは必見の一本であるのは間違いありませんねっ!


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