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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(原題:TUCKER & DALE VS. EVIL)

2010年カナダ映画


おんぼろのトラックに乗った二人組の田舎男、タッカーとデイル。
ようやく手に入れた別荘へ向けて森の中を走っていた。
途中のガソリンスタンドで、バカンスへ向かう大学生グループと出会う。
奥手で自信の無いデイルは、大学生の一人、アリーという娘に一目惚れ。
勇気を絞って話しかけに行くが、胡散臭い田舎男とガソリンスタンドの組み合わせ。。。
スラッシャー映画の定番シチューエションの中、二人に怯えて大学生たちは逃げるように立ち去っていく。
その後、タッカーは落ち込むデイルを励ましつつ、無事に別荘に辿り着いた。
二人は廃墟のようなおんぼろ小屋ながらも、夢にまで見た別荘に大はしゃぎ。
ビールで祝杯を上げた二人は夜の湖にボートを漕ぎ出し、夜釣りを楽しむ事にした。
しかしその近くでは、先ほど出会った大学生グループも泳いでいた。
仲間とはぐれたアリーは、岩場で頭を打ち、気を失ったまま湖底に沈んでいった。
その姿を目撃したタッカーとデイルは、湖にからアリーを助け出し、手当てのために小屋へ連れて帰る事にする。
しかしその状況を見た大学生たちは、アリーが殺人鬼に拉致されたと勘違いし、武器を手に小屋へと向かう。。。

タッカーとデイルは殺すつもりなんて全く無いのに、ドジな大学生たちが次々と自爆して勝手に死んでいくんです。
森の中を走っているうちに倒木に突き刺さって死んだり、躓いて自分が持ってる槍に刺さって死んだり、木材を粉砕してチップにする機械に自ら飛び込んだり。
次々と築かれる死体の山に、タッカーとデイルは殺人鬼と勘違いされて散々な目に遭っていきます。

この映画、スラッシャーホラーの定番シチュエーションを上手く利用したコメディです。
「悪魔のいけにえ」や「13日の金曜日」のような、田舎で惨劇が起こる殺人鬼ものを見たことがある人ならきっとバカウケです。

・田舎男とガソリンスタンドの組み合わせ
・湖畔の廃墟
・焚き火を囲んで怪談話
・裸で湖
…etc.

どれも殺人鬼が大活躍するスラッシャー映画でよく見かける場面ですね。
ゾンビ映画のコメディやパロディは多いですが、スラッシャーホラーに特化している所が新鮮です。

まず冒頭のガソリンスタンドのシーンが傑作。
「悪魔のいけにえ」や「ヒルズ・ハブ・アイズ」など、トラブルの発端となるお決まりのシチュエーションです。
それを気はいいが見た目の怪しさ100%の田舎者二人組みと、大学生の双方の視点で描いているのが面白い。
殺人鬼ホラーを見た事があれば確実にああいう展開になりますよね。

あと二人の別荘はまんま「死霊のはらわた」の小屋。
しかも持ち主が考古学者なんていう小ネタまで用意されています。

一番笑ったのがチェーンソーで木を切ってる時、誤って蜂の巣を切ってしまったタッカーが、攻撃してくる蜂を追い払うためにチェーンソーを振り回しながら逃げ回るシーン。
完全に「悪魔のいけにえ」です!

最近のホラー映画として見ればそれほどゴアシーンは多くないと思います。
個人的にややグロと思ったのが木材粉砕機から上半身が無くなった体を引っ張り出すところくらい。
それも内臓がズルズル飛び出してる訳でもないのでまあ大した事ないです。

でもとにかくスラッシャーホラーへの愛をヒシヒシと感じる作品。
ホラー映画ファンにとっては名作と呼ぶに相応しい一本!
それなのにひっそり公開、ひっそりDVD発売、レンタルはツタヤ限定という寂しさ。
本国の映画会社も、日本の配給会社も分かってないねえ。

ちなみに監督のイーライ・クレイグは何とあのサリー・フィールドの息子だそうです。
アカデミー賞女優の息子がこんな素敵な映画を撮るなんて、ハリウッドの懐の深さを感じちゃいます。
(…と思ってたらコレ、カナダ映画ですって。。。)


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