アメ車マニア


ファンハウス惨劇の館 (原題:FUNHOUSE)

アメリカ1981年度作品


「悪魔のいけにえ」のトビー・フーパー監督が撮った殺人鬼モノ。
奇形の殺人鬼はリック・ベイカーとクレイグ・リアドンによるもので、その顔つきはなかなかの迫力です。

各地を巡業するカーニバルが町にやってくる。
観覧車やメリーゴーランドのような乗り物の他、奇形の動物を並べた見世物小屋、占いの館、マジックショー、ストリップなど、アングラな雰囲気の出 し物が多数並んでいる。
アトラクションの一つであるお化け屋敷「ファンハウス」では、フランケンシュタインの怪物に変装した男が働いていた。
園内で一夜を明かそうと、2組の高校生カップルが閉園後のファンハウスに忍び込む。
しかし館内で、フランケン男が自分をバカにした占い師を絞殺する現場を目撃してしまう。
ファンハウスの管理人である父親に咎められたフランケン男が興奮してマスクを剥ぎ取ると、その下からは醜い奇形の顔が現れた。
そしてその様子を覗き見ていた事がばれてしまった高校生達は、密室のファンハウスで奇形殺人鬼とその父親に追い回される。。。

トビー・フーパー監督作品とはいえ、「悪魔のいけにえ」には遠く及びません。
恐ろしい形相の殺人鬼と、そんな息子を偏愛する父親の狂気をもっと丁寧に描いて欲しかった…と考えると非常に勿体無い。
残念ながら「ファンハウス/惨劇の館」は、単なるB級モンスターホラー止まりです。

殺人鬼親子よりも狂気に満ちていたのが、カーニバル会場をうろつく老婆。
でも思わせぶりな予言めいた事を喋らせておきながら、結局、殺人鬼親子ともストーリーにも関係も無し。
あと不気味なホームレスの男も何かやらかしそうな気配だったのに何もしませんでした。
いい感じのキャラクターが活かされていません。

また、ヒロインの弟が姉を追ってファンハウスへと来ます。
しかしウロウロするだけで何もしないうちに保護され自宅へ強制送還。
伏線かと思いきや、何のために出てきたのかよく分かりません。
せっかく出すなら密室内の姉達と連携して弟君に活躍させてやれば良かったのに。
惜しい。惜しい事だらけ。

また全体的に演出と編集にキレがありません。
追われているというのに若者達はモタモタ、編集もモタモタしてるから見ている方はイライラします。
しかも90分程度の作品なのに、ファンハウスに侵入するまで30分以上、若者達のカーニバル巡りに付き合わされます。
ファンハウス内はアルジェントを手本にしたのか、原色系の照明でおどろおどろしさを出そうとしていますが中途半端。
ヒロインと殺人鬼との最後の対決も、モタモタノロノロで盛り上がらず。
とても巨匠の仕事ぶりとは思えません(涙)

殺人鬼も顔はインパクトあるんですが、小柄な殺人鬼という役なのでいまいち迫力不足。
顔がでかくて体が華奢に見えちゃいます。
特殊メイクの見所は殺人鬼の顔のみで、それ以外に派手な効果やゴアシーンはありません。
顔だけじゃダメなんですよ。。。
オープニングは「ハロウィン」や「サイコ」へのオマージュっぽいシーンがあったりして見る度にワクワクするんですけどねえ。

後の「悪魔のいけにえ2」でも遊園地を舞台にしたり、殺人鬼と父親の関係が似ているあたり、トビー・フーパーは意識的に狙ってるのかなあ。
「ファンハウス」でも殺人鬼の最期は、「悪魔のいけにえ」の犠牲者のごとくフックに吊るされてたし、意外とセルフパロディ好き!?

ちなみにヒロインを演じるのは「アマデウス」でモーツァルトの奥さんを演じたエリザベス・ベリッジ。
この作品では景気良く脱いじゃってます。

 


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