アメ車マニア


バーニング (原題:THE BURNING)

アメリカ1981年度作品


 

日本では大昔に発売されたビデオテープ以降、ソフト化された事が無かった連続殺人鬼映画の傑作「バーニング」が、2014年6月、ついにBlu-Rayソフトとして発売されます!

キャンプ場の管理人クロプシーは、変人である事からいつも子供達にからかわれていた。
管理人室に忍び込んだ子供達は、寝ているクロプシーの横に骸骨の模型(と言うには出来が素晴らし過ぎるんですが)を置き、寝起きに驚く彼を見て喜んだ。
しかし、驚いたクロプシーが骸骨を振り払った際、ローソクが倒れクロプシーの体は火に包まれてしまった。
病院に担ぎ込まれたクロプシーは全身やけどを負ったが、奇跡的に一命を取りとめ、5年後に退院する。
夜の街を彷徨うクロプシーは、その焼け爛れた顔を見て怯える売春婦を血祭りに上げると、自分を焼いた子供達に復讐するため、キャンプ場へと向かう。
キャンプ場ではクロプシーに悪戯を仕掛けたグループの一人だったトッドが管理人を務めていた(あんな事件を起こしながら管理人をやるとはいい度胸してます)。
そして、巨大なハサミを持ったクロプシーが大殺戮を開始する…。

念の為に言っておきますが、「バーニング」は「13日の金曜日」1作目の影響をもろに受けたキャンプ場殺人鬼モノです…。
でも星の数ほど作られた「13日の金曜日」類似作品の中で、群を抜いて面白いです。

「13金」は1980年に50万ドル程度の低予算で作られた作品でしたが、「13金」ヒット後の1981年に製作された「バーニング」は、倍以上の制作費が掛けられています。
その予算の差は、そこかしこで感じ取る事ができます。

まずセットや照明など撮影環境が良いため、「13金」よりも映像や録音状態が良いです。
「13金」の1作目は薄暗くざらついた映像で、音声にも反響音があったりとかなり粗い印象でした。
それがドキュメンタリー風のリアリティを生む要因だったのかもしれませんが、撮影環境が悪かった事は容易に想像がつきます。

また特殊メイクは「13金」で観客の度肝を抜いたトム・ザビーニですが、「バーニング」ではさらに力が入った残酷描写を見せています。
殺人シーンは「13金」でケビン・ベーコンを毒牙にかけたようなダミーボディを使ったものや、スパッと切った皮膚の下から血が溢れるのをワンシーンで描写するというトム・サビーニらしい物ですが、昼の陽光の下でもろに見せ切るあたり、御大のドヤ顔が目に浮かびます。

これら以外にも、エキストラが大勢投入されていたり、本物のヘリコプターまで登場させるなど、「13金」上回るスケール感。
こんなホラー映画にもそれなりの制作費が出るようになったのは「13金」の功罪ですね。
一連の「13金」模倣作品の中には差別化しようとして失敗しているものが多い中、「バーニング」は予算を増やして同じベクトルで昇華させた感じ…と言うと「金掛けただけのモロ真似」と聞こえますが、セオリーに沿った正攻法のキャンプ場ホラーとしてすんなり受け入れられる作品です。

そんなこんなで「13日の金曜日」と比較される事が多い「バーニング」ですが、多数の新人俳優を発掘して映画界へ貢献しているという点はお見事。
ますはコメディエンヌからオスカー女優へと上り詰めるホリー・ハンターが、この「バーニング」でデビューしています。(影は薄いですが…)
それから「ショートサーキット」シリーズで需要な役を演じたフィッシャー・スティーブンスも「バーニング」出身。今でも脇役としてアクの強いキャラを多数演じています。
「アメリカングラフィティ」のリチャード・ドレイファスそっくりの少年を演じていたジェイソン・アレクサンダーも、人気テレビドラマ「となりのサインフェルド」でレギュラーを務めたり、多数の映画で名脇役として大活躍中。
卑屈キャラのエディ君は、クリント・イーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」で相変わらず卑屈な役を演じていました。
いじめられっ子のアルフレッドはその後「ポリスアカデミー4」に出てたし、カットオフしたスウェットが印象的ないじめっ子はサム・ライミの「スパイダーマン」に出てました。

このように話題に事欠かない「バーニング」。
当時からのホラー映画ファンからは長らくDVD化を望む声が上がっていました。
「血のバレンタイン」「ローズマリー」といったスラッシャーホラーの佳作が相次いでDVD化された辺りで「そろそろバーニングか!?」と期待が高まりましたが発売されず。
それからも随分焦らされましたが、DVDを飛び越してBlu-Rayでクロプシー様を拝める事になるなんて嬉し過ぎます♪



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