アメ車マニア


ワールド・ウォーZ (原題:WORLD WAR Z)

2013年アメリカ映画




ブラッド・ピット主演のゾンビ映画。
劇場でパンフレットを眺めながら上映開始を待っていると、気になる記述を発見。

「子供が楽しめる夏休み映画を作りたかった。(ブラッド・ピット談)」

子供が楽しめるゾンビ映画???
その意味は上映が始まって見ているうちに理解できました。

ストーリーは以下の通り。

世界中に伝染病が蔓延し、死んだ感染者は十数秒後にゾンビとして復活。
噛まれた者もゾンビとなり、倒すには脳を破壊するか焼き払うしかなかった。

引退した元国連職員のジェリー(ブラッド・ピット)は、家族と共に混乱の市街地を脱出した。
ゾンビに追われ駆け上がったアパートの屋上から、かつての上司が手配したヘリで救出され、洋上の空母へと連れて行かれた。
その頃のアメリカは、政府が壊滅状態となったために軍部が仕切っていた。
軍は紛争地帯でも生き延びてきたジェリーの過去を評価し、ワクチンを作る為に感染源を突き止めるよう指示する。
家族のために危険な仕事を拒むが、仕事を請けなければ一家を船から降ろすと脅され任務に就く事を決心する。

ジェリーたちはまず、ゾンビ発生の一報が最初に発せられた韓国へ調査に出掛けた。
そこで出会ったCIAエージェントから得た情報を元に、ゾンビの発生を予見し、都市を壁で囲ったイスラエル・エルサレムへと向かう。
高い壁で囲まれた都市は平穏を保っており、パレスチナ人の避難民の受け入れも行っていた。
イスラエルはインドから発せられた「ゾンビ発生の予言」に従い、事前に壁を築き上げたと言う。
ジェリーたちが情報収集を行っていると、壁により助かった人民が拡声器で祈りの歌を歌い始めた。
その声から生者が居ると知ったゾンビたちは壁を乗り越え、内部に侵入してきてしまう。
混乱の中、イスラエル軍の兵士達に守られ、エルサレムを脱出しようとする一行。
空港を目指して走っていると、襲い来るゾンビに女兵士セガンが左手首を噛まれてしまう。
ジェリーは咄嗟の判断でセガンの手首を切り落とし、ゾンビ化するのを防いだ。
そして無事空港に到着し、ジェリーとセガンは離陸直前の旅客機に乗り込むことに成功する。

ジェリーは騒乱の中、ゾンビに全く襲われない人々を見かけた事に気付く。
ゾンビは襲った人間を食べる事が目的ではなく、仲間を増やす為に噛み付く。
その為に、五体満足な人間しか襲わないのではないか?
障害や病気を抱えた人間は襲われないのではないか?という仮説を立てた。

それを立証する為にパイロットを説得し、最寄りのWHOの施設へと飛行機を向かわせる。
しかし機内に潜り込んでいたゾンビが暴れ出し、客室内はあっという間にゾンビだらけになってしまう。
なす術が無くなったジェリーは女兵士が持っていた手榴弾を機内で爆発させ、客室の穴からゾンビたちを空中へと吸い出す事に成功する。
ところが制御できなくなった旅客機は田園地帯へと不時着。
二人とも命は助かったものの、ジェリーは腹部に傷を負ってしまう。

傷付いた体を引きずりながらもどうにかWHOの施設に到着した二人。
職員に仮説を伝え、伝染病などの病原菌を打った人間をゾンビと対峙させようと提案する。
しかし病原菌サンプルが保管された棟は80体のゾンビがうろついていた。
実験のためには病原菌を取りに行かなくてはならない。
そして建物内へと入っていくジェリー。
ゾンビと戦っているうちにサンプルが保管された個室に辿り着く。
小瓶を手に取り、部屋を出ようとすると、ドアの外にはゾンビが待ち構えていた。
たった一人、戦う武器も無く、ゾンビに立ち向かわなくてはならない。
そこでジェリーは病原菌を自らの体に注射し、ドアを開けた。
するとゾンビは襲い掛かる事も無く、ジェリーの前を通り過ぎていった。

こうして病原菌をベースとしたワクチンが開発され、世界各国へと送り届けられた。
そしてようやくジェリーは家族の下へと帰っていった。。。

以上。

ゾンビ映画としては異例なほどグロシーンがありません。
ゾンビはカプッ!と噛む事だけが目的で、内臓を引きずり出して貪り食う事に興味はありません。
脳を破壊すると倒せると言いながら、それを直接見せるシーンも無し。
人体損壊シーンは手首から先が無い女兵士の腕くらい。
それも切断するシーンは写りません。

ゾンビはダッシュ系で、雄叫びなんかも含め「28日後…」の影響が感じられます。
特性が他のゾンビ映画とちょっと違ってて、空腹を満たす為に人を襲うわけではないという点が新しい。
この映画のゾンビ、集団行動型なのが大きな特徴です。
CMなどで流れているように、軍隊蟻のように群れでドドドドーッ!と襲い掛かってくる。
だから彼らにとっては仲間を増やす事が重要なようです。

ちなみにこのゾンビ軍団のメイキング動画が面白いです。



前述の通り、健康じゃない人間は襲わないというのも面白い。
また音に対して非常に敏感と言うのも新しいです。
脳を破壊&焼く事で倒せるという定番と組み合わせ、この作品ならではのゾンビ像が作り上げられました。

ただ、キャラの立つゾンビが少なく、単体のインパクトより数で圧倒するという見せ方。
ゾンビ映画ではお約束のゴアシーンも無いので、生粋のゾンビ好きにはちょっと物足りないかも。

でもそのおかげで、ブラピが言っているように、子供にも比較的見やすいゾンビ映画になっていると思います。
もちろんドッキリシーンもあるので泣いちゃう子供も居るかな?
お化け屋敷が好きな子とかなら耐えられるレベルかもしれませんね。
とりあえずウチの子には充分刺激は強いです。

だけど、色々な映画を見てきた大人にとっては中途半端感が拭えません。
ゾンビは出てくるけどホラー映画を見たという気分にはなれないのが不思議。
ジャンル分けするとしたら、インディ・ジョーンズみたいなアドベンチャー映画という感じかなあ。
監督のマーク・フォースターが過去に撮った「007/慰めの報酬」も、スパイ映画というより冒険活劇みたいでしたもんね。
ちなみにタイトルを見ると人間VSゾンビの壮絶な戦争映画のような感じもしますが、銃火器でドンパチする訳ではありません。
またTVCMではゾンビの「ゾ」の字もなく、家族愛映画のように宣伝されてましたが、家族なんて早々に別行動です。
実際、劇場から出る際に前を歩いてた女性達は「ゾンビ映画だとは想像もしてなかった」と涙目で話してました。
あの宣伝には配給会社の悪意を感じますねえ。

ジャンル分けが難しいものの、A級のエンターテイメント作品である事に変わりはありません。
娯楽作品としては何の問題もなく楽しめますから。
ゾンビ映画と括らず、【ゾンビの出てくる冒険映画】として見ることをお勧めします!

ちなみにこれ、多分続編がありますよ!

  


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