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ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学(原題:THE LAST HOUSE ON THE LEFT)

2009年アメリカ映画





1972年に作られた伝説のバイオレンスホラーのリメイク作品です。

まずはオリジナル版について紹介しておきます。
オリジナル版は「サランドラ」「エルム街の悪夢」「スクリーム」のウェス・クレイブンの初監督作品。
当時ポルノ映画界で活躍していたショーン・S・カニンガム(「13日の金曜日」の監督)が、教師を辞めて映画界に飛び込んだばかりのクレイブン監督の才能に目を付けてプロデュース。
日本では「白昼の暴行魔II」という邦題が付けられ、全く関係ない類似した作品の続編としてテレビ東京の深夜枠でひっそり放映されました。
それが両監督がメジャーになった後に伝説のように語られるようになり、「鮮血の美学」というタイトルで公開&ビデオ発売されました。
少女が暴漢に襲われて殺され、少女の両親が偶然その犯人と出会ってしまい凄惨な復讐を遂げる…というストーリー。
プロットだけ見るとセンセーショナルだし、やたらサディスティックな残酷描写も頑張っているのですが、展開はグダグダ、編集も適当な感じでテンポが悪く、緊張感も無し。
テンポが悪いからバイオレンスシーンがやたらとネチネチ感じられて非常に胸糞が悪かったです。

これが1972年版の予告編↓


そんなオリジナル作品の印象からかこのリメイク版も何となくスルーしてました。
しかも監督こそ違えど、オリジナル版を作ったウェス・クレイブンとショーン・S・カニンガムが製作に関わってますからねえ。
でも世間の評判はそれほど悪くないんですよね。
で、今更ながら見てみる事にしました。


高校の夏休みを利用して、マリーは両親と共に湖畔の別荘へとやってくる。
マリーは一人で友人ペイジがバイトする店を訪ねると、偶然店に居合わせた少年から泊まっているモーテルに来れば上物のマリファナがあると誘われる。
マリファナを貰ってすぐ帰るつもりで部屋に入ると、ちょうどそこに逃亡中の凶悪犯グループが入ってくる。
少年はグループのリーダーの息子だったが、警官殺しでお尋ね者となった父親たちはもう部屋に戻らないと思い、マリーたちを部屋に誘ったのだった。
犯人グループの顔を見てしまった二人の少女は拉致されるが、マリーの抵抗によって車が道路を逸脱、森の木に衝突する事故を招いてしまう。
森の中で二人は暴行を受け、抵抗したペイジは殺され、隙をついて川へ飛び込んだマリーは背後から撃たれてしまう。
川面に浮かぶマリーを見届けたグループは、事故で負傷した傷の手当のため、近くに家に助けを求める。
しかしその家は、マリーの両親の別荘だった。
自分の娘を撃った犯人だと知らない夫妻は、犯人を手当てし、離れの部屋に泊めてやることにした。
犯人たちが床に就いた頃、夫妻のいる母屋にボロボロになった瀕死のマリーが帰ってくる。
離れの寝室で寝息を立てる連中が娘を痛め付けた犯人だと知った夫妻は、復讐のため、武器を手にグループの元へと向かう。。。


うん、オリジナル版の100倍まともな映画になってましたね。
素人が撮った自主制作映画みたいな作品が、リメイクによってふつーの映画作品として生まれ変わってます。
まあ相変わらず暴行のシーンは胸糞悪くなりましたが、オリジナルと違ってとりあえず生きているのがせめてもの救いです。
でも内臓を引っ張り出したり、腕を切り取ったり、イチモツを噛みちぎったり、ノミで歯を砕いたりといった残酷シーンが多かったオリジナル版に対し、血の量は多いものの描写は大分ソフトになっています。
とはいえ、キッチンのディスポーザーで手の平を切り刻んだり、電子レンジに頭を突っ込んで内側から破裂させるといったグロシーンもちゃんと用意されています。
特殊メイクは「ウォーキング・デッド」で大活躍しているKNBエフェクツで、グレッグ・ニコテロとハワード・バーガーがクレジットされています。
監督はギリシャ出身のデニス・イリアディスという人らしいです。

映像作品としてはちゃんと見れるクオリティになっているものの、毒も薄れ、これ単体ではちょっとインパクトに欠けるのも事実。
個人的には、「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト」の本質をお下劣なオリジナル版で理解した上で見ると、ちょっとソフトなリメイク版もより楽しめるかな、と思いました。

ちなみにクレイブン監督は「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト」をイングマール・ベルイマンの「処女の泉」がベースだと言い放ってました。
神々しいほどのあの名作を引っ張り出すなんて怖い物知らずですね(笑)



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