アメ車マニア


ゴアゴアガールズ (原題:GORE GORE GIRLS)

1971年アメリカ映画


スプラッター映画の始祖と言われるハーシェル・ゴードン・ルイス監督、黄金期(?)の中でも後期の作品。
ストリップクラブで発生した連続殺人を描いた作品です。

ストリッパーが鏡に叩き付けられ、顔面を潰されるという凄惨な殺人事件が発生。
探偵と女性記者が捜査に乗り出すが、次々とストリッパーが残忍な方法で殺されていく。
ストリッパーに振られたストーカー男、ベトナムで殺しの味を覚えた男などが容疑者として浮かぶが…。

一応犯人捜しのミステリー要素を持たせていますが、そんなストーリーはどうでもいいんです。
だからオチをバラしちゃいますが、犯人は元女子プロレスラーのストリッパー。
ストリッパー転身後に火事に遭い、頭部と上半身に酷い火傷を負ってしまう。
美しい娘達に嫉妬した元レスラーは殺人鬼と化し、次々と毒牙にかけていったのでした。
「元女子プロレスラー」って必要だったんだろうか?という疑問が湧きますが、どうでもいい事なんで流しましょう。

美しさを妬む殺人鬼なので、肌も露わなおねーちゃんたちの顔を執拗に痛め付け、破壊しつくします。
アイロンで焼く、フレンチフライを揚げている油に顔を漬ける、眼球を穿り出す、皮膚をむしり取るなど、跡形も無くなるほどぐちゃぐちゃと顔面をいじり倒すのが凄い。
製作年度や低予算っぷりを考えると決して高等な特殊効果は使っていないはずなんですが、妙に生々しくいんです。
この作品の見どころはここです。残酷描写だけなんです。
他にも色々と趣向を凝らした残酷描写が盛りだくさんで、風船ガムを膨らました女性の後頭部をハンマーで殴ると風船の中に血が溜まったり、ビーチクの先端をハサミでチョキンと切れば血が混じったピンクの母乳が噴き出したり。
こんなシーン1970年代初頭から作り上げていたハーシェル・ゴードン・ルイス監督はやはり偉人かもしれません。

とはいえ、普通の映画として評価すればそのクオリティはとんでもなく低い(笑)
ピントが合っていない、照明の当て方が下手、BGMの編集が雑(音楽は70年代ぽくて悪くないんだけど)など、突っ込みだしたらキリがない。
そして個人的に大問題だと思うのがカット割りしない事。
この監督、全てワンシーンに収めようとする癖が時々見られて、引きの映像で撮り続けた起伏の無い長回しシーンが出来たり、狭い画角に色々収めようとした結果画面からはみ出すといった事態を招いています。
編集が面倒なんでしょうが、ワンシーンで済まそうとせずにちゃんとカット割りして、映像にメリハリ付けてくれるだけで一気にクオリティが高まるんですけどねえ。勿体ない。

…なんていう風に普通の映画を測る物差しで評価しちゃダメなんです、ホントは。
場末のドライブインシアターでこんないかがわしいゴミ映画が上映されていたんだなあ、なんて考えながら見ると非常に味わい深い。
アメリカの映画文化って改めて凄いと思いますね~。

でも、こんな映画がデジタルリマスターされ、DVDはおろかBlu-rayまでも買えてしまう日本だって捨てたもんじゃありませんね~。

     


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