アメ車マニア


レギオン(原題:LEGION) 

2010年アメリカ映画





人類に怒った神が、人類を滅亡させるために地上へ送り込んだゾンビ軍団に、神に背いた堕天使と人類が手を組んで戦いを挑む…というお話。
この作品は世間の評価が面白いんです。見事に真っ二つ。
2010年公開から4年も経ちましたが、そんな評価に興味をそそられて今更ながらの鑑賞です。

砂漠のど真ん中にあるダイナー。
客の老婆が突如暴れ出して店員や他の客に襲い掛かり、店主に射殺される。
暫くすると、何かを暗示するかのように虫の大群が襲来。
不安にうろたえる人間たちの前に、多数の重火器を持った男が現れる。
男は、神の命により人類を滅ぼす為、間もなく天使の軍隊がやって来ると言う。
そして、ウェイトレスがお腹に宿した赤ん坊が人類を救う救世主であり、その子が狙われている事を告げた。
男の名前はミカエル。
彼も神に人類滅亡を指示された天使の一人だったが、天を裏切り、人類の味方となり、襲い来る天使軍団を迎え撃つためにやって来たのだった。
いつしか砂漠のダイナーは、天が使わせた多数のゾンビが取り囲んでいた。。。

ざっくりとしたあらすじだけでも十分面白そうですよね~。
ところが…、実際の作品はいまいち。。。

人類滅亡をかけた戦いでありながら、砂漠のダイナーだけでこぢんまり完結。
あらすじから感じるスケール感は映像からは全く感じられません。
登場人物の描き方も雑。キャラクターが定まらず、命を落とすシーンもサラッと描き過ぎてるためか感情移入する事を拒まれたよう。
またゾンビは出てくるものの活躍はせず、この作品い引っ張り出してくる必然性を全く感じませんでした。
人類の敵となる天使というとクリストファー・ウォーケンの「ゴッド・アーミー」が有名ですが、あの作品の天使キャラには遠く及ばず。
天使らしからぬマッチョなスタイルは格好いいんですけどねぇ。

突っ込みどころの多い作品ながら、出演者は豪華で、ミカエルが「アイアンマン」シリーズや「ダ・ヴィンチ・コード」のポール・ベタニー(ジェニファー・コネリーの旦那さん)。
ダイナーの店主はデニス・クエイド、その息子役が「ワイルドスピード3」のルーカス・ブラック。
ダイナーの客に「ワイルドスピード」「トランスフォーマー」等人気シリーズに欠かせないタイリース(・ギブソン)や「エイリアン3」のチャールズ・S・ダットンなど。
他にもテレビ映画などで見かける俳優さん達が多数出演しています。
これだけ有名な方々が出ているならその顔ぶれを見るだけでも楽しめる…はずなんですが、この作品はそんな楽しみ方も許してくれません。
なぜなら、みんな影が薄い!大した活躍もしないなら、無名の俳優で良かったのでは!?と思えるほど。
制作費の無駄使いですねえ。

最後は神の手先である天使ガブリエルとミカエルとの対決。
しかし盛り上がりも無く、あっさりガブリエルが退散してめでたしめでたし。なんじゃそりゃ。

見所といえば、見た人が口を揃えて言っている、老婆とアイスクリーム屋が変身したクリーチャーでしょうか。
みんなが言うって事は、そこが最大にして唯一の見せ場なのかも。。。

堕天使と人類VS神と天使軍団の戦いなんて、もっと壮大かつ悲壮感漂うお話が作れたんじゃないかと思うんですよね。
あまりに小さくてお気楽なB級アクション止まりになってしまったのが本当にもったいない。
深夜に酒飲みながら何も考えずに眺める(「見る」じゃなくて「眺める」ね)には丁度いい軽さと派手さですが、真面目に見たらがっくりしちゃうような作品です。

  


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