アメ車マニア


ゴースト・血のシャワー (原題:DEATH SHIP)

1980年アメリカ映画




地味なB級作品であるものの、個人的にとても強い印象が残るオカルト映画。
子供の頃にテレビで見てトラウマになり、DVDが発売されて速攻で買って見直しましたが、今見ても小道具や船がいい雰囲気を作り出してます。

航海中の客船が船と衝突する。
客船は衝突により沈没するが、助かった船長を初めとする数名の乗客たちは相手の黒い船に乗り移る。
しかしこの船に人気は無い。
船内を探索してみると、山積みにされた多数の金歯や、器具に吊るされた遺体が見つかる。
何とこの船、ナチスの拷問船だったのである。
殺害された人々の怨念か、またはナチスの怨霊の仕業か、船内では超常現象が頻発する。
シャワーのコックを捻れば血が噴き出し、船内にあったキャンディを食べた女性は顔が崩壊し始める。
ジョージ・ケネディ演じる船長はナチス将校の霊に取り憑かれて乗客を襲い始め、船自身も意思を持っているかのように人を襲いだす。

このように設定やストーリーはいいんですが、注意しないといけないのは脚本と演出の酷さ。
まず問題なのは登場人物たち。こんな不気味な船に乗り込んでおいて緊張感の無いこと甚だしい。
船の乗員も探さずにいきなり娯楽室で映画を見始めますからね。どんな神経だよ。
その後も映写室で起こる超常現象が笑いを誘ってくれます。
引っくり返してもフィルムを引っこ抜いてもスクリーンにプロパガンダ映像を映し続ける映写機に、
スクリーンを破いても破いても裏から次々と新しいスクリーンが登場するシーンなんてコメディ映画のワンシーンみたい。
こうして止める事のできないプロパガンダ映像に頭を抱えていると、映写室から一瞬で甲板上に場面が移動して死体だらけのプールに飛び込んだり、
何の脈絡も無くいきなりジョージ・ケネディが刺されたりと、かなり前衛的な展開を見せます。。。
そんなB級丸出しのおかしな所も含めて好きなんだよなぁ。これが。

日本公開されたとはいえ、その後話題になる事も無くこのまま葬り去られると思ったこの作品がDVDで発売されたときは嬉しかったですね~。
画質はB級ホラーですから望めませんが、DVD化されただけでも奇跡といえるかも。

しかし、「ゴースト/血のシャワー」っていう邦題は糞ですね。この作品の内容が全く分からない。
確かに血のシャワーは強烈なインパクトを残すシーンではありますが、あくまでも怪現象の一つ。
また幽霊が姿を現す訳でもなく、見えない力が働くところが怖いのでゴーストっていうのも違和感があります。
原題通り「デス・シップ」でよかったと思うんだけど。

ちなみに、死体だらけのプールに落ちるシーン、見る度に身悶えしちゃうくらいキモイです。
ありゃ誰だって泣きわめくわ。


【2014年2月追記】
DVDの酷い画質に我慢しながら見ていた「ゴースト・血のシャワー」も、ついにHDリマスターでBlu-ray化です!

 


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