アメ車マニア


クリープショー3 (原題:CREEPSHOW 3)

2006年アメリカ映画


完全にジョージ・A・ロメロ、スティーブン・キング、トム・サヴィーニの手を離れ、続編の制作権を持つ会社が見様見真似で作った3作目です。
それはもう酷い出来で、1作目の大ファンならば怒りを覚えるほど。
2作目だって監督がマイケル・ゴーニックに代わり、1作目と比べてしまうと頭を抱える出来ではありましたが、ロメロ、キングは脚本で参加、サヴィーニは俳優として参加していたし、監督を含め製作スタッフもロメロ一家だったので1作目のテイストは失われていませんでした。
しかしこの3作目にロメロファミリーは一切絡んでいません。
5話からなるオムニバスである点、アニメーションが挿入される点が辛うじて残された雰囲気。
でもストーリーにスティーブン・キングが再現したECコミック的な毒々しさは希薄で、脚本も雑な印象。
またアニメーションも前作までのアメコミ風味ではなく、サウスパークのようなデフォルメされた絵だし、使用されるのはほんの少しだけ。
「クリープショー」がECコミックへのオマージュとして制作されたという経緯を完全に無視した時点で、この3作目を「クリープショー」の続編と認めるのは気持ち的に難しいです。
この3作目を見てから「クリープショー2」を見ると傑作に見えますよ。

1話目「リモコン」
老人の天才科学者が作ったリモコンを父親が手に入れた事により、その娘である女子高生の周りに異変が起こり始める。
父親がリモコンを押す度に家族が別人へと入れ替わり、また女子高生の体は少しずつ溶解し始める。
体の異変を治してもらうために科学者へ助けを求める女子高生だったが、リモコンによりウサギに変身させられてしまうのだった。

良い意味での不条理とは違う、単なる訳の分からないお話でした。

2話目「アリス」
警備員の男は、ホームレスからラジオを買う。
家に持って帰るとそのラジオは女の声で男に語りかけ始めた。
彼女が指示する通りにしている事で大金を手にする事ができたが、同時に殺人に手を染める事になる。
ラジオに言われるがまま街を出る事にしたが、同じアパートに住む売春婦に一緒に連れてって欲しいと頼まれる。
ラジオは売春婦を殺さないと金を奪われると言い出したが、妬いていると思い込んだ男は口うるさいラジオを叩き壊した。
その直後、男は背後から売春婦に撃たれてしまう。

アイデアは面白いのですが、テンポの悪い演出と大仕掛けの無い展開で眠気を誘います。

3話目「コールガール」
自身の快楽の為に連続殺人を犯してきたコールガールのお話。
今夜も郊外に住む若者の自宅へと向かった彼女は、跨った青年の胸をナイフで何度も突き刺して殺した。
シャワーで血を流してバスルームから出てくると、殺したはずの若者が恐ろしい形相となって蘇り、彼女を噛み殺した。

ちょっと意外な展開があったものの演出は極めて単調。
ただ、蘇った青年の形相がなかなか恐ろしかったです。

4話目「教授の妻」
1話目に出てきた老人の天才科学者が結婚する事になり、教え子二人が自宅へ祝福に訪れる。
そこで紹介された婚約者は、科学者とは孫ほど歳の離れた若い女性だった。
「何であんな老人に…」と納得がいかない教え子二人は、婚約者は老人が作ったアンドロイドだと決め付けた。
そして老人が一人で買い物に出かけた隙に、婚約者の分解を始める二人だったが…

これは導入部分こそダルかったですが、ブラックユーモアが利いててそこそこ楽しめました。

5話目「ホーンテッドドッグ」
路上に落として異物が付着したホットドッグをホームレスに恵んだ医師。
ホームレスは喜んで食べるが、その場で苦しみだして死んでしまった。
それから医師の前にはそのホームレスの幽霊が現れるようになる。
亡霊に付き纏われるようになった医師はドラッグにのめり込み、自らの命も落としてしまう。

非人道的な医師をコメディタッチで描いてるんですが全然笑えない。
ホームレスの幽霊に付き纏われるお話は「クリープショー2」にもありましたね。

それぞれの物語が少しずつ交差したりと面白い部分もあるのですが、演出、脚本、カメラワークがとにかく酷い。
あとよくぞこれだけ下手な俳優を集めたな、と思うくらい演技もショボイ。

ロメロファンおよびクリープショーファンとして見ておかなければ!という義務感を覚えてる人以外、見なくていいと思います。
こんな作品に「クリープショー」の名を冠して欲しくなかったなぁ。

(しかしこの作品をモンスター映画として括るには無理があるな…)


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