アメ車マニア


クリープショー (原題:CREEPSHOW)

1982年アメリカ映画


これは数あるホラー映画の中でも間違いなく名作といえる作品です。

監督は「ゾンビ」「死霊のえじき」のジョージ・A・ロメロ。
脚本はホラー小説の帝王であり「シャイニング」「キャリー」「デッドゾーン」の原作を書いたスティーブン・キング。
そして特殊メイクはロメロ監督の下で「ゾンビ」「死霊のえじき」を、他にも「13日の金曜日」他、80年代のホラー映画を代表する作品に参加してきたトム・サビーニ。
それぞれの分野の第一人者が三位一体で仕上げたのがこの「クリープショー」です。
5話の短編からなるオムニバスで、1950年代に子供達の間で人気のあった「ECコミック」というホラー漫画へのオマージュと言われています。

1982年に制作されたものの長らく日本未公開でした。
一部マニアの間で評価が高く、また海賊版ビデオの人気などから1986年にようやく日本でも劇場公開されました。

子供が部屋でホラー漫画「クリープショー」を読んでいると、父親に見つかり外へ捨てられてしまう。
風に煽られてめくれたページから死神が現れ、物語の中へ我々を誘ってくれる。。。

1話目「父の日」
家族みんなに嫌われていた頑固者の父親が、数年前の父の日、娘に殺された。
父の日を祝うために家族が集結するが、そこに白骨化したゾンビになった父親が復讐のために現れる。。。

2話目「ジョディ・ベリルの孤独な死」
空から降ってきた隕石を拾った貧しい農夫。
隕石で一攫千金を夢見るが、隕石に触れた手からは苔のような植物が生え始める。
いつしか植物は農夫の全身を覆い。。。
農夫役はスティーブン・キング先生。特殊な状況が悲劇を生み出すというキング先生らしいお話です。

3話目「押し寄せる波」
浮気した妻とその浮気相手を海岸の波打ち際に首だけ出して埋め、満ち潮を利用して溺死させた男が主人公。
死んだはずの2人はゾンビとなって復讐に訪れる。。 。
海草にまみれ、肌が海水でふやけた海ゾンビのいでたちはなかなか強烈です。
襲われるおじさんは「裸の銃を持つ男」のレスリー・ニールセン。

4話目「箱」
歴史のある大学の物置から見つかった古い木箱。
蓋の隙間からは恐ろしい怪物が見える。
大学教授は自分の鬼嫁を怪物に食わせてしまおうと画策する。。。
怪物は鋭い牙と鋭い爪を持つ凶悪なマントヒヒ(?)みたいな姿です。
ちなみに教授の鬼嫁役はジョン・カーペンター作品の常連エイドリアン・バーボー。

5話目「奴らは群がりやってくる」
潔癖症の会社社長は無菌室のような部屋に住んでいる。
ゴキブリを極度に嫌い、部屋で見かけると問答無用で叩き潰す。
しかし日ごとにゴキブリは増えていき。。。
ゴキブリの復讐なのか、最後、社長の体を食い破って体内から出現する無数のゴキブリは、苦手な人にはたまらない映像ですね。。。

短編×5本とはいえ、1つの映画でここまで満腹になることは稀です。
それくらい1話ごとの内容が濃いです。
そしてロメロ/キング/サビーニの3人がいかに楽しく作った映画か、見れば分かります。
遊び心に溢れ、いい歳こいたおっさん達が童心に返って作ったのが一目瞭然。
また、そんな作り手の気持ちが映像を通じて我々観客にもしっかり伝染するのがすごい。

「クリープショー」を見て、私のホラー映画を愛する気持ちが一層深まったのは紛れも無い事実です。。。
こんな素晴らしいホラー映画でありながら、日本では長らくDVDが廃盤になったままなんですよね。
こういうのは永久に生産し続けても良い作品だと思うんですけどねぇ。


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