アメ車マニア


ハチェット(原題:HATCHET)

2006年アメリカ映画


森の置く深くでひっそりと暮らす父親と奇形児の息子ビクター。
しかし町の子供たちのイタズラにより小屋が火事となり、息子を助けようと父親は斧でドアを破った。
しかし運悪くドアの向こうに立っていた息子の頭に斧が刺さってしまう。
息子を殺してしまったと思った父親は、傷心のまま10年後に死んでしまう。
ところがビクターは死んでおらず、今でも森の中で父親を探しながら彷徨っていた。

その森へモーターボートでツアーに訪れた一行がいた。
しかしボートが途中で座礁して身動きが取れなくなり、歩いて森を脱出する事になってしまう。。。

この観光客たちが一人ずつ血祭りに上げられていく訳ですが、とにかくストーリーがシンプル。
奇形児が親を求めて彷徨うなんてまんまジェイソンですし、展開には何のひねりも無く、ただひたすら直球勝負で意外性ゼロ。
さらに舞台となる夜の森は景色がどこも似ていて、ずっと同じ場所に留まって演技しているように思えます。

ただ、ホラー映画ファンへのサービス精神は旺盛。
まずビクターとその父親役を一人二役でこなすのは、「13日の金曜日」シリーズ後半でジェイソンを演じ続けたケイン・ホッダー。
オープニングの記念すべき最初の犠牲者はフレディでホラー映画界のアイドルになったロバート・イングランド。
ちょい役でトム・サヴィーニの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ファイナルデスティネーション」「キャンディマン」などに出ていたトニー・トッドも出演。
製作者自身もきっとホラーが大好きなんだと思います。

スタッフの中で目を引いたのは特殊メイクのジョン・カール・ビュークラー。
エンパイアピクチャーズの黎明期から黄金期を支えた特殊効果マンであり、「死霊のしたたり」「フロムビヨンド」など、いい意味でB級テイスト溢れるグログロ映像が素敵でした。
80年代後半はメジャー作品にも多数参加し、「13日の金曜日PART7」では監督も務めていましたね。
「ハチェット」では素手で内臓を引きずり出したり、人体を真っ二つに引き千切ったりと派手にやっています。
中でも素手でおばさんの上顎と下顎を掴んで、口を裂いちゃうシーンはすごいです。
頭蓋骨を千切られ、下顎の上で舌ベロがペタンペタン踊るのは名シーンかも。
ただ、今をときめくグレッグ・ニコテロなどの特殊効果に見慣れていると、ジョン・カール・ビュークラーの効果はややチープでリアルさは弱めです。
でもこのような低予算映画はこれくらいが味があっていいのかもしれない…という変な説得力を感じさせる辺り、流石はB級映画で大活躍した人ですね。

2000年代のスラッシャームービーとしては特出した魅力や個性がある作品ではありません。
でも1980年代に量産された「13日の金曜日」の模倣作品群を見るようなつもりで見ればそれなりに楽しめると思います。


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