アメ車マニア


ドリームホーム (原題:DREAM HOME)

香港2010年度作品


平均月収が10万円前後にも関わらず、不動産価格が高騰している2007年の香港が舞台。
昼は銀行、夜はブランドショップで働きながら高級マンション購入資金を貯める為に真面目に働くOLが主人公。
ある夜、憧れの高級マンションに忍び込み、次々と住人を殺し始める。。。

破壊的なパワーを持った香港製ホラー。 シリアルキラーものです。
特殊メイクはハリウッドで「エイリアン3」や「ミミック」などにも参加したアンドリュー・ リンという人と、ゴア系作品の多いタイで活躍している特殊メイク工房が担当しています。
この作品でもゴアシーンには相当力が入っていて、眼球は飛び出し、 内蔵はダラダラこぼれ落ちといった見せ場が多数あります。
クオリティはやはりハリウッドでも通用するレベルで、昔のキョンシーのようなチープな物を描いて いるとびっくりすると思います。

でもただグロいだけじゃなくて殺し方もかなり陰湿。
頭にビニールを被せて掃除機で空気を吸引、真空状態にして殺害(通販番組で布団をコンパクトに収納する あれです)。
首にタイラップ(結束バンド)をキュッと巻いて窒息とか。
あとブラックなユーモアも満載で、飛び出して床に転がってる主婦の眼球を帰宅した夫が気付かずに踏んづけ、まるでウンコを踏んだかのように迷惑そうな顔をするシーンとか、内蔵を引きずったままズルズル動き回る被害者とか、口に板を突き刺されてカタカタ痙攣するシーンとか(言葉じゃ面白さを表現できないので見てください…)、シリアスなグロシーンと笑いの融合が面白い。

地上げ、中国人の不動産投資などにより、香港の一般的水準の生活者ではマイホームを買うことができないと言われるほどに高騰した香港の住宅事情がベースに あります。
グロさ満点の殺人シーンの合間合間に主人公の生い立ちを挟み込む事で、ナゼそこまで高級マンションに執着するのか、そしてナゼ無関係の住人たち を殺しているのかが明らかになってきます。
そういう問題を絡めているあたり、監督のパン・ホーチョンは上手いです。
そして最後のオチも静かながら何とも言 えない脱力感を感じさせてくれます。


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