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「エルム街の悪夢」シリーズ


エルム街の悪夢 (原題:A NIGHTMARE ON ELM STREET)

アメリカ1984年度作品

夢に現れる殺人鬼フレディ・クルーガー。
トレードマークはお手製の鉄のツメ。
フレディはエルム街の子供達を殺した連続殺人犯であり、自分を焼き殺した住人への復讐のために子供達の夢に現れた。
夢の中でフレディに傷付けられると実際の自分の体にも同じ傷を負うことになります。
また夢の中で殺されてしまうと、実際に命を奪われてしまうのです。
友人たちの夢に現れ次々と仲間を殺された高校生ナンシーは、フレディと対決する事を決意する。
しかし実体を持たないフレディは夢の中では無敵。
ところがある日、目覚める瞬間に夢の中でフレディの帽子を掴んだ所、現実の世界に持ってくる事ができた。
これを利用してフレディを現実の世界に連れ出し、ナンシーは現実世界で戦う計画を立てる。。。

夢の中で殺されると現実に死んでしまうというアイデアが秀逸ですね。
また夢か現実かの境界線が曖昧になっているのも面白いです。

ちなみに、ジョニー・デップが殺される役で出てるのは有名なお話ですね。
個人的にはB級臭をぷんぷん漂わせたナンシーのパパ役、ジョン・サクソンの存在感が堪りません♪

1984年に作られ、アメリカでは大ヒットを記録したと日本にも情報は入ってきましたが、なかなか劇場公開が決まらずにヤキモキさせられました。
当時は日本でも海賊版のビデオが相当出回ってましたね。

 
 

エルム街の悪夢2 フレディの復讐 (原題:A NIGHTMARE ON ELM STREET 2:FREDDY'S REVENGE)

アメリカ1986年度作品

 

1作目の主人公、ナンシー・トンプソンが住んでいた家にその後引っ越してきた少年、ジェシーが主人公。
フレディが夢の中から現実世界に戻るため、ジェシーの体を乗っ取ろうとします。

特殊効果がより凝ったものになり、派手な仕掛けが増えています。
公開当時衝撃的だった主人公の腹をフレディが突き破って現れるシーンを始め、自分の頭を引き裂いて脳味噌を見せびらかせたり、ジェシーの舌を蛇のように伸ばしてみたりと、フレディの暴走はパワーアップ。
また暗闇に紛れていた1作目よりもフレディの顔はよく見えており、彼のファンには嬉しいところ。
特殊メイクはマーク・ショストロムやケビン・イエーガーらが担当しています。

特殊メイクはグレードアップしているものの、前作のような象徴的なシーンが少ないのでインパクトは弱め。
ストーリーも基本的には主人公が男になった以外、新しい展開はないです。
むしろ前作に対しマイナスなのが、夢の中の怪人というフレディのキャラクターが余り活かされていない点。
主人公が追い詰められていく感じが希薄なのも怖さを削いでしまっていますねえ。

監督は後に傑作B級SFホラー「ヒドゥン」を撮るジャック・ショルダー。
「ヒドゥン」は世間の高い評価通り素晴らしい娯楽作品だったのに、その手腕はこの「エルム街の悪夢2」では活かされなかったのが残念です。
まあそれもシリーズ物スラッシャーホラーの定番パターンは守られているので安心して見れるのですが。

ちなみに、「エルム街の悪夢」シリーズ各作品を自分が好きな順に並べると…
惨劇の館(3作目)→1作目→ザ・リアルナイトメア(7作目)→フレディの復讐(2作目)→ザ・ドリームマスター(4作目)→ザ・ドリームチャイルド(5作目)→ザ・ファイナルナイトメア(6作目)
…ということで、この2作目もそれほど嫌いじゃないんですけどね。

 
 

エルム街の悪夢3 惨劇の館 (原題:A NIGHTMARE ON ELM STREET 3:DREAM WARRIORS)

アメリカ1987年度作品

 

フレディの悪夢に悩まされ、精神病院に入れられたエルム街の少年少女を、1作目のヒロイン、ナンシーが助けに来る。
一段と仕掛けが派手になり、フレディの悪乗りもパワーアップ。
個人的にはシリーズ中最もテンポがよく、ポップな印象があって一番好きなのがこの3作目です。
主人公はロザンナ・アークエットの妹でTVシリーズ「ミディアム」や「トゥルーロマンス」にも出演しているパトリシア・アークエット。
「マトリックス」のモーフィアス役、 ローレンス・フィッシュバーン も出てます。

悪夢により自殺未遂を犯したクリスティンは精神病院に入院させられる。
病院には同様にフレディの悪夢に悩まされるティーン・エイジャーたちが
大勢居た。
病院の医者たちは子供たちが口にするフレディの事には耳を貸さず、精神的な問題として片付けていた。
そんな病院へ新しく赴任してきたのが悪夢の権威、ナンシー・トンプソン。
1作目でフレディを倒した
後、ナンシーは悪夢の研究を行っていたのだ。
子供たちの良き理解者となったナンシーは、少年、少女たちと共に、集団催眠によって同じ夢の中に入り込み、
夢の戦士「ドリーム・ウォリアーズ」としてフレディに戦いを挑む。

制作陣も豪華で、監督は後にジム・キャリーの「マスク」やシュワルツェネッガーの「イレイザー」を監督するチャック・ラッセル。
脚本は監督自身に加えシリーズ生みの親であるウェス・クレイブン、「グリーンマイル」の監督フランク・ダラボンという豪華さ。
シリーズ中で一番テンポが良いのがこの3作目ではないでしょうか。

あとLAメタルバンド、ドッケンが歌う主題歌「Dream warriors」が格好いいです!

 


エルム街の悪夢4 ザ・ドリーム・マスター 最後の反撃 (原題:A NIGHTMARE ON ELM STREET 4:THE DREAM MASTER)

アメリカ1988年度作品

 

この後「ダイハード2」に抜擢されるレニー・ハーリンが監督を務めた4作目。
当時、劇場で大ヒットしましたね。

3作目で葬られたはずのフレディが生き返ってしまう。
そして前作の生き残り、クリステン、キンケイド、ジョーイを殺してしまう。
代わりにフレディと戦うことになるのが新ヒロインのアリス。
夢をコントロールすることが出来るドリームマスターであるアリスは、その能力を活かしてフレディと対決する。

個人的には前作で生き残った少年少女をみんな殺してしまう展開がショックでした。
しかもクリステンはパトリシア・アークエットからチューズデイ・ナイトに代わってしまったのもマイナス。
パトリシア・アークエット、結構好きだったりするので。

脚本は後に「L.A.コンフィデンシャル」や「ミスティック・リバー」やなどで高く評価され、その他ハリウッドの大作も多数手掛けるブライアン・ヘルゲランド。
レニー・ハーリンとブライアン・ヘルゲランドなんて今聞くと凄く豪華ですが、この当時は二人ともまだ新人だった訳です。

自分はこの作品は劇場で見て、その後もビデオを借りたり、今じゃDVDも所有して何度も見ているんですが、ずーっと不思議に思える箇所がいくつかあるんです。

ますフレディの復活方法が???。
3作目の最後でフレディが埋葬された所に犬がおしっこをかけるのですが、犬の膀胱からはおしっこの代わりに炎が噴出!
その炎が地面の上を一直線に走ったかと思うと、突如地割れが発生!
その地割れの中からフレディが登場します。
犬はキンケイドの飼い犬。とても特殊能力があるとは思えません。
そして犬がフレディを掘り起こす理由も説明されず。
よく分からないうちにジャーン!とフレディが復活しちゃいます。
犬の名前がジェイソンだったから、連続殺人鬼仲間のジェイソンがフレディに救いの手を差し伸べたって事!?

あとフレディの倒し方もよく分からず。
鏡をフレディに向けて自分の姿を見せてやると、フレディの中に閉じ込められた犠牲者たちの魂が暴れだしてフレディをバラバラに引き裂いてしまいます。
ドリームマスターの童歌みたいのが登場して、その中で姿を見せてやると云々という歌詞が歌われてはいるものの、なぜそれでフレディを倒せるのかイマイチよく分からず。
こういった抽象的な表現が多く、見る側の判断に委ねている印象が強いです。

仕掛けは派手になり、予算も大幅にアップした事が伺えます。
特殊効果に携わったスタッフの数もかなり多く、シリーズ中最もスケール感の大きな作品という印象です。
特殊メイクはスーパーバイジング・プロデューサーに、エンパイアピクチャーズの黄金期を支え、「13日の金曜日PART7」の監督でもあるジョン・カール・ビュークラー。
フレディのメイクなどを担当したのは2作目、3作目に続いてケビン・イェーガー。そのスタッフに、後にグレッグ・ニコテロ達とKNBエフェクツを立ち上げるハワード・バーガーの名前もありました。
女性がコキブリに変身するシーンは日本人の特殊メイクアーティスト、スクリーミング・マッド・ジョージ。
フレディーの最期は様々なハリウッド大作も手掛けるスティーブ・ジョンソンが担当。
メカニカルエフェクツは「13日の金曜日」シリーズなどに参加してきたマーティン・ベッカー。
このように特殊効果スタッフを見ても、豪華なメンバーを用意して気合入れて作ったのが感じられますね。

この作品の前にホラー映画「プリズン」でそれなりの評価を受けていた事もあり、まだ若手監督でありながらレニー・ハーリンは娯楽作品として手堅くまとめた印象です。
仕掛けは凝っているのですが、全体的にちょっと印象が薄く、あっさりしていて記憶にあまり残らないのが惜しい。

 


エルム街の悪夢5 ザ・ドリームチャイルド (原題:A NIGHTMARE ON ELM STREET 5:THE DREAM CHILD)

アメリカ1989年度作品


 

シリーズ最低の売り上げ、批評家からもファンからも酷評されまくった人気シリーズ5作目。
でもなぜか個人的に嫌いじゃないんですよねえ。
シリーズで最も売れて、人気も評価も高い4作目よりも断然5作目の方が好き。
まあ完成度で言ったら決して高くないですし、脚本も雑。
盛り上がらないまま終わるラストもどうかとは思うんですが、意外と見れちゃうんですよねえ。自分は。

前作でフレディを倒したアリスとその彼氏ダンは、無事高校を卒業して社会へ踏み出そうとしていた。
そんな矢先、アリスは眠っている訳でもないのに、まるであの頃の悪夢の中のような世界に紛れ込んでしまう。
そしてそこには、夢の中で倒したはずのフレディがまたもや現れる!
間一髪で逃げたアリスだったが、眠っているわけでもないのにフレディが現れた事に戸惑う。
さらには過去にアリスが持っていたドリームマスターの能力(夢をコントロールする力)が通用しなかった。
そんな中、アリスの友人たちが眠っている間に次々とフレディに殺されていき、ついにはダンまでもが殺されてしまう。
ショックで気を失ったアリスは病院に担ぎ込まれ、検査の結果、ダンの子供を妊娠している事を告げられる。
医者に胎児は一日中眠り続けている事を聞かされたアリスは、自分のお腹の中で眠っている赤ちゃんの体を乗っ取り、この世に復活しようとしているフレディの企みを知る。
母となったアリスは子供を守るため、フレディの母であるアマンダ・クルーガーの亡霊と共に、再度フレディに立ち向かっていく。。。

眠っている胎児の夢を母親であるアリスが共有するというアイデアが面白いです。
自分は寝ていなくても、胎児の夢にフレディが現れると自分も同様にその悪夢を見る羽目になります。
しかも胎児はほとんど寝て過ごしている訳ですからこれはたちが悪い。
アリスの意思とは関係なくフレディと対峙する事になる訳ですから。

今回のフレディの復活方法は、赤ちゃんがキーワードとなる展開を暗示するかのような甦り方。
夢の中でアマンダが産み落としたベイビーフレディが、例の赤/緑のボーダーのセーターに潜り込むとムクムク大きくなり、元の体を取り戻します。
ベイビーフレディのデザインがクリーチャーっぽくて、変態殺人鬼というフレディのキャラクターがブレてるのが気に掛かりましたが、個人的には面白いと思いました。

ちなみに最後は母性や母胎が武器となってフレディを倒すことになります。
胎児に入り込んだフレディを
、アリスの意思で自分の体から分離します。
融合した体が剥がれていくシーンが最後の見所です。
そしてアリスの胎内から追い出されたフレディを、アリスの子供(なぜか夢の中では5~6歳?の少年姿)が被害者の霊に力を借り、体の自由を奪います。
そこに現れた生みの親であるアマンダ・クルーガーは、フレディを自分の胎内に引き戻してしまうという驚きの展開。
そしてアマンダはフレディと共に地獄の奥深くへと落ちてゆくのでした。
表現方法や盛り上げ方、また最後の締め方などはちょっと強引ですが、このアイデアも面白かったと思います。

個人的にこの作品の一番の特徴は、3作目と4作目のエピソードを受け継いでいるところだと思うんです。
前作を見ていない人に対する配慮なのかどうかは不明ですが、前作の生き残りを冒頭でいきなり殺して、全く新しい物語を始めるシリーズ物が多い中、3作目の フレディ誕生秘話を物語の中心に持ってきたり、4作目で生き残ったキャストをしっかりと再度主演に置いたストーリーは、過去のシリーズを見てきたファンに とっては好感度が高い。
そこははっきり言って評価してます。自分は。
でも3作目の神秘的なアマンダのイメージがちょっと崩れちゃったのは残念。

監督は「プレデター2」やトミー・リー・ジョーンズがIRAのテロリストを演じた「ブローン・アウェイ」を手掛けたスティーブン・ホプキンス。
「プレデター2」はアレですが、「ブローン・アウェイ」は結構好きな作品です。
世間の評価がイマイチでも個人的にこの監督とは妙にウマが合うのかもしれませんねえ。

脚本はシルベスター・スタローンの「デイライト」や「ダンテズ・ピーク」を手掛けるレスリー・ボーヘン。
他にも色々と活躍している脚本家なんですが、「エルム街の悪夢5 ザ・ドリームチャイルド」ではその手腕を発揮し切れなかったようですね。
もう少し見てる側に説得力を感じさせるための詰めが必要だったように思います。

特殊メイクは、例の如くフレディのメイクはデビッド・ミラー。今回はフレディベイビーの制作も担当。
アリスの彼氏ダンがYAMAHAのV-maxと体が融合していくシーンを担当したのはR.クリストファー・ビッグス。
このシーンはなかなかインパクトでかいです。
その他特殊効果関係はKNBエフェクツのカーツマン、ニコテロ、バーガーが3人揃って参加。
トッド・マスターズ、ダグ・ベズウィックなど、有名どころが揃っています。

ちなみにスペシャルサンクスに私の大好きなラッセル・マルケイ監督の名前があったのがうれしかったです!

世間の評価はさんざんですが、まだ未見の方がいるなら試しに見ても良いんじゃないかと思います。
もしもつまらなくても私は責任取りませんので悪しからず。。。

 


エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア (原題:FREDDY'S DEAD THE FINAL NIGHTMARE)

アメリカ1997年度作品

 

原題は「FREDDY'S DEAD」。6作目にしてついにフレディに最後の時が訪れます。

今回はシリーズ中で最も趣の異なる演出がされています。
それはスタッフの各役割を見ても明らか。
まず監督は、シリーズを通してプロデュースなどで参加してきたレイチェル・タラレイ。
後に「タンクガール」のポップな演出が評価される女性監督です。
そして監督の考えたストーリーを脚本化したのは、ニューラインシネマの社長でもあるマイケル・デ・ルカ。
この人ってプロデューサーだと思ってたら脚本なんかも書けるんですね。
さらに作品のイメージを大きく変えた要因の一つとして音楽の存在もあります。
なんとブライアン・メイが音楽を担当しています!…といっても、クイーンじゃないですよ。
マッドマックスなどの映画音楽を担当してきたオーストラリア出身の映画音楽家です。
彼の音楽が、過去の「エルム街」シリーズとはかなりイメージが違う印象を受けます。

さて、お話は、ジョンという少年の夢の中にフレディが現れる所から始まります。
前作で地獄に連れ戻されたはずのフレディがどうやって力を取り戻したのかは描かれていません。
ちょっとずるいです。

ジョンはフレディによってスプリングウッドという町に放り出される。
その時、石に頭をぶつけて記憶を無くしてしまう。
記憶を無くしたまま町を彷徨っている所を警官に保護され、少年矯正施設へと連れてこられる。
そこの職員でジョンの面倒を見る事になったマギーは、ジョンのポケットに入っていた新聞の切り抜きに目を奪われる。
その新聞には、スプリングウッドに棲むフレディ・クルーガーの妻が行方不明になった事が書かれていた。
ジョンの記憶の手がかりを探すために新聞に掲載された場所へとバンを走らせるマギーとジョン。
そのバンには施設の少年と少女たちが隠れて乗り込んでいたため、5人で問題の場所を探す羽目に。
しかし辿り着いた場所は子供が1人もいない不思議な町だった。
異様な空気を感じたマギーは、無関係の3人の子供たちにバンのキーを渡し、施設へと戻るように伝える。
3人はバンを走らせるが迷宮のような町から出ることができない。
疲れ果てた3人は空き家を見つけて休憩するが、その家はかつてナンシーが暮らしていたあの家だった。
一方、自分がフレディの息子ではないかと疑心暗鬼になっているジョンのため、フレディの事を調べるマギーたち。
しかし、仲間の危機を察したジョンはその夢の中へ飛び込んでいくが、仲間はフレディに襲われ次々と命を落としていく。
またジョンもフレディから「娘をここに連れてくるための囮だった」と聞かされた後に、フレディに殺されてしまう。
なんと、マギーがフレディの娘だったのだ。
自宅地下で子供殺しの証拠を見つけた妻を殺したフレディだったが、逮捕され、娘マギーを取り上げられてしまったのだった。
その後、責任能力が認められず無罪となったフレディは、殺した子供の親たちに火を放たれる。
父親の全てを知ったマギーは、フレディの息の根を止めるため、自ら眠りへとおちてゆく…。

フレディが結婚して家庭を持っていた事や、子供の頃から自傷癖がある事、力の源が夢魔だったといった新たなフレディの過去が明らかになっていきます。
そういった新要素は面白いのですが、盛り上がりに乏しくグダグダ感があります。
レイチェル・タラレイはこれが監督デビュー作ですが、後に監督する「タンク・ガール」のような吹っ切れた勢いはまだ感じられません。
このグダグダ感は脚本に起因するような気もします。とにかく雑な印象。
アリス・クーパー演じるフレディの継父が登場し、フレディを折檻します。
母親は尼僧で、誤って閉じ込められた精神病棟で患者に襲われてフレディを身篭った
事が過去に明かされています。
神に仕えていた母親が、そんな折檻親父と結婚するでしょうか?
こういう細かい疑問符が積み重なって映画と自分との距離がどんどん開いていくのを感じるのが残念。

また最後だというのにフレディが登場するシーンや活躍場面が少ないのも理解に苦しみます。
今回殺されるのは男子3人で、殺され方も地味です。
おまけにフレディのトレードマークである鉄の爪は一度も使いません。
フレディなのに爪で殺さないってどうなのよ?
ちなみにフレディのメイクは例の如くデヴィッド・ミラー。
その他特殊メイクはジョン・ビュークラーなどが手掛けています…が地味なんですよ、とにかく。

あとこの作品、3D映画として劇場公開されました。
だから時々画面に向かって物が飛んでくるシーンがあるのはそのためです。
また登場人物が突然、3D映画用メガネ(昔ながらの赤/青セロファンタイプ)のメガネをかけるシーンがあります。
話の流れとしては???なんですが、きっと劇場で鑑賞している時は笑いのポイントだったのでしょうね。

一世を風靡した人気シリーズを締めくくる作品としてはあまりにもお粗末と言わざるを得ません。
こんな形で終わらせてしまったらフレディも浮かばれません。
この「FINAL NIGHTMARE」を見るに見かねた…のかどうかは分かりませんが、生みの親であるウェス・クレイブン監督が後に7作目を撮ります。
「これがファイナルじゃなかったのかよ!」なんて突っ込みたくなりますが、7作目は番外編的な扱いとなっており、現実の世界に現れたフレディに本当の意味でとどめを刺すことになります。(さらに番外編でもう一度甦ってジェイソンと戦いますが…)
ファンとしてもこのグダグダ6作目で終わらなくて良かった、というのが本音ですね。

ちなみにこの6作目、ゲストが豪華です。
アリス・クーパー、ジョニー・デップ、ロザンヌ・バー、トム・アーノルド、ゲストじゃないけどヤフェット・コットー。
みんな出演した事を後悔しただろうなあ。

 


エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア (原題:WES CRAVEN'S NEW NIGHTMARE)

アメリカ1994年度作品

 

「エルム街の悪夢」の7作目ですが、一応シリーズは前作6作目「ファイナル・ナイトメア」で完結しているので、本作は番外編といった感じです。
主人公は1作目でヒロインであるナンシーを演じ、3作目にも出演した女優ヘザー・ランゲンカンプ。
しかも本人役で登場しており、「エルム街の悪夢」出演者&製作者の夢に現れたフレディと対決する事になります。

「エルム街の悪夢」で有名になったヘザーは、特殊効果マンの旦那チェイスと、息子ディランと幸せに暮らしていた。
しかし夢にフレディが現れるようになり、電話からは映画で使われた「1.2. Freddy's coming for you.」という歌が聞こえるようになる。
そんな折、「エルム街~」の制作会社であるニューラインシネマに呼び出され、会長のロバート・シェイか生みの親であるウェス・クレイブン監督が、現在新作の脚本を執筆している事と、再度出演して欲しいという話を聞かされる。
一連の不気味な事件もあって出演を断って家に帰ると、息子ディランに何かが憑依したような異様な態度に。
息子の状態を電話で聞いた旦那のチェイスは、映画撮影中の現場から一路自宅を目指してクルマを走らせる。
しかし居眠り運転しかけた瞬間、シートから鉄の爪が飛び出し、チェイスの胸を抉る。。。
映画の中の存在だったフレディが、シリーズ完結によって映画と言う束縛が解け、現実世界に現れようとして関係者を襲い始めたのだった。
そしてフレディの魔の手は、ヘザーの息子ディランへと向けられる。。。

このフレディは、見た目こそ焼け爛れた皮膚に鉄の爪、赤&緑のセーターに黒い帽子といった姿ですが、過去のフレディとは雰囲気が違います。
それはフレディというキャラクターに古代の悪魔が乗り移って、現代に復活しようとしているからなんです。
あの陽気で人をバカにしたようなキャラではなく、ひたすら邪悪な雰囲気を出しまくっています。
このように、フレディであってフレディでない…という微妙な存在を、過去とは少し違うタッチの特殊メイクで表現しているのが分かります。
パッと見た感じはフレディだけど、爪のデザイン、肌のタダレ具合、目つきなどが別物。

このフレディの特殊メイクは1作目のフレディと同じデビッド・ミラーが担当しています。
フレディを作り出した張本人が、新しいフレディ像を再構築した訳ですね。
またその他の特殊メイクシーンは、トム・サビーニ一門のグレッグ・ニコテロらが結成したKNB EFXが担当。
…とはいっても、今回は人がバンバン殺される展開ではないので、それほど派手な特殊効果やゴアシーンはないのですが。

今作一番の見所は、やはり「エルム街の悪夢」関係者が本人役で大挙出演しているところでしょう。
ヘザー・ランゲンカンプに始まり、フレディ役のロバート・イングランド(しかもフレディの悪夢に悩まされる!)、ナンシーの父親役のジョン・サクソン、監督のウェス・クレイブン、ニューラインシネマ創業者でありプロデューサーのロバート・シェイなどが全て本人役で出てきます。
ウェス・クレイブンもロバート・シェイもそれなりに台詞があってしっかり演技しています。
またニューラインシネマの社屋やオフィスでもロケーションされており、スタッフの内輪ウケ&悪乗りで作られた映画という気がしますね。
何だか同窓会を見ているようです。
でもファンなら間違いなくその悪乗りを一緒に楽しめます!
微笑ましくて思わずクスッと笑っちゃいますよ。


 


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