アメ車マニア


プロメテウス(原題:PROMETHEUS)

2012年アメリカ映画


リドリー・スコット監督が名作SFホラー「エイリアン」の前日譚として製作したのが「プロメテウス」。
「エイリアン」ファンとしてはリドリー・スコット監督が戻ってくる事で、路線変更を繰り返してよく分からなくなったシリーズを軌道修正し、本来の姿に戻ったプリクエルになると期待していいました。
ところが製作が進むにつれ入って来た事前情報は、企画当初よりも前日譚としての色合いが薄れて「エイリアン」から独立したオリジナルストーリーになったとの事。
それを聞いてがっくりしましたが、それでもファンとしては無視する事は出来ず、公開と同時に見に行ってきました。

ちなみに、このレビューを書いてる時点ではまだ劇場で公開中です。
ネタバレを大いに含むレビューとなりますので、これから見る方はご注意下さい。


まだ人間が存在していない太古の地球に、人間に良く似た一人の宇宙人が降り立つ。
自ら黒い液体を飲み干すと苦しみだし、体のDNAが破壊され始めた体は崩れ落ちて激流の川の中へと落ちていく。
川の中で粉々になった宇宙人の体は水の中でDNAが再編成され、地球の生物の源が形成されていく。。。

2080年代、地球上の各国の古代遺跡などから6つの点が描かれた壁画が見つかる。
これは古代の人間が存在を知るはずが無い、はるか遠くにある太陽系に良く似た惑星系を示すものである事が判明する。
そこで、壁画の謎を発見したエリザベスとチャーリーカップルの他、専門家、宇宙船のクルー、スポンサーのウェイランド社スタッフによる調査隊が編成される。
彼らは壁画に導かれるように宇宙船プロメテウス号で惑星LV226現地へと赴く。

LV226で一行は人工的な建造物を発見、調査に向かう。
まず遺跡の中で見つけたのは「エンジニア」と呼ばれる巨大な体の宇宙人(例のスペースジョッキー)の遺体。
調査に同行したウェイランド社のアンドロイドのデイヴィッドが遺跡の文字を解読、ホログラム映像の再生に成功し、逃げ惑うエンジニアの姿が映し出された。
その状況に恐れおののいた2人の科学者は先にプロメテウス号に戻るといって一行から離脱する。
そして奥へと進んだ一行が目にしたのは、人間の顔を模したような石造と、並べられた無数の筒状の物体。
その頃、外では猛烈な嵐が近付いてきたため、一行は遺体の頭部を、またデヴィッドは誰にも気付かれないよう筒状の物体を1つバッグに入れてプロメテウス号に持ち帰った。

(どうして知ったのかは明らかになっていないが…)プロメテウス号の船長によると、エンジニア達が生物兵器であるエイリアンを開発するための星がこのLV226ではないかという事だった。

プロメテウス号へ戻ると、先に戻ったはずの二人が帰っておらず、建造物の中で迷っている事が判明。
二人は嵐が過ぎるまで内部で過ごす事になってしまう。
筒状の物体が並んでいる部屋では、筒の上部から黒い液体が染み出すように流れ出し、地面を流れていた。
その液体は地面を這う小さな虫を蛇のような生物へと変化させ、二人の科学者に襲い掛かる。
手に巻きついたその生物を剥がそうとナイフで切断すると、酸性の体液が飛び散った。。。

プロメテウス号の中でデイヴィッドが筒を開けると、中には黒い液体が入っていた。
そしてその液体を一滴、チャーリーの飲み物へ混ぜて飲ませてしまう。
その夜、何も知らないチャーリーは、エリザベスと一夜を共にする。

翌朝、内部に取り残された二人と連絡がつかなくなったため、一行は再び建造物内部へと入る。
しかしそこでは一人の科学者の遺体を発見する。
もう一人はというと、酸を浴びて死んだはずだったのに、馬鹿力の怪物となってプロメテウス号の前に現れた。
クルーを次々と殴り殺していくが、最後は火炎放射器で焼き殺されて絶命する。(この辺りは「遊星からの物体X」のようです…)

建造物の中ではチャーリーの体に異変が起きていた。
眼球や肌が変色し、もがき苦しみだした。
一行は治療のため、チャーリーを連れてプロメテウスに引き返す事にする。

その頃デイヴィッドは、建造物内の一角でエンジニアの宇宙船のコックピットを見つけていた。
ホログラム映像を再生し、宇宙船の操作方法や、地球へ向けて飛び立つ予定だった事を知る。
そして、生命維持装置(?)の中で眠る、冬眠状態のエンジニアを発見するのだった。

プロメテウスまで戻ってきた一行だったが、チャーリーの症状は悪化し、火炎放射器で焼き殺されてしまう。
失意のエリザベスに、デヴィッドは人間ではない何かを妊娠している事を告げる。
しかも行為は昨夜なのに既に3ヶ月目程度まで育っているという。
エリザベスは自動手術マシーン(?)に入り込み、腹部を切開し、中からイカのような生物を取り出す事に成功する。

取り出した生物を閉じ込め、近くの部屋に逃げ込むと、死んだと言われていたウェイランド社長が居た。
自らの死期が近いと悟った社長は、人類の創造者であるエンジニアに会って延命を頼むという。

再度建造物の中に入り、エンジニアを目覚めさせるが、エンジニアは社長を撲殺。
デヴィッドも首をもぎ取られてしまう。
エリザベスは必死に建造物から逃げようとするが、エンジニアはコックピットに座り、宇宙船を発進させようとする。
行き先は地球。
人間を滅ぼすために黒い液体をばら撒きに行くというのだ。
エンジニアの意図を知ったエリザベスは、宇宙船を地球へ行かせてはならないとプロメテウスに伝える。
それを聞いたプロメテウスのクルーは宇宙船めがけてプロメテウスを発進させ、自爆を代償に宇宙船を墜落させる事に成功する。

惑星上に一人取り残されたエリザベスは、酸素を補給しに、プロメテウスの残骸へと向かう。
しかしそこにエンジニアが現れエリザベスを襲う。
エリザベスがドアを開けると、そこには自らが産み落としたイカ生物が巨大化して潜んでおり、エンジニアに襲い掛かった。
その隙に船外へと逃げ出すエリザベス。
エンジニアはイカ生物の触手を口に突っ込まれて絶命する。

途方に暮れるエリザベスに、首だけとなったデイヴィッドから連絡が入る。
この星にはもう一機、エンジニアの宇宙船が隠されているという。
自分を助けてくれればこの星から脱出することが可能だと言われ、デイヴィッドを救出に向かう。
しかしエリザベスは地球へ帰ることが目的ではなかった。
エンジニアが住む本当の惑星に向かうよう、デイヴィッドに指示するのだった。

誰もいなくなったLV226ではイカ生物に殺されたエンジニアの腹が蠢いた。
次の瞬間、エンジニアの腹を突き破ってエイリアンの成虫が誕生したのだった。。。


ストーリーの概略はこんな感じですね。

CMでは「人類の起源」と謳っていましたが、それは導入部分だけで、結局は「エイリアンの起源」と「スペースジョッキーの正体」を捜し求めるお話でした。
思ってた以上に「エイリアン」の要素が生きていたので「エイリアン」好きには堪りませんでした。

エンジニア=スペースジョッキーの素顔にはびっくりしました。
像の鼻のような顔をしていましたが、あれはなんとマスクだったんです。
そのマスクを外すと、中には人間そっくりの顔が現れます。
何となくそんな気はしてましたが、1979年に見た「エイリアン」からずっと思い込んできた顔がお面だったというのはそれでも衝撃的でした。

あと今回は今までのエイリアンとはデザインがかなり違います。
まず大きく分けて2種類。
筒よりあふれ出した黒い液体から生まれた子と、エリザベスの胎児として生まれた子。
黒い液体の方は触手の無いヌメヌメしたフェイスハガーですが、こいつが成体となった後の姿は出てきませんでした。
エリザベスから生まれた方は最初はイカみたいなんですが、巨大化して足を開くと超大型フェイスハガーへと早変わり。
どちらも「エイリアン」のフェイスハガーとはデザインが大きく異なります。

またエンジニアから生まれるのはチェストバスターではなく、いきなりエイリアンの成虫が生まれます。
このエイリアンもH・R・ギーガーの物ではなく、ヌメヌメして凹凸の少ないデザイン。
口の中に仕込まれた顎も備えてるのですが、顎の迫り出し方が異なります。

これら旧作品とデザインが異なるのは、エイリアンが進化の途中だから?
それとも今風にリデザインされたのでしょうか?
その辺ははっきりさせず有耶無耶のまま終わります。

他にもイマイチすっきりしない部分が多い。
例えば黒い液体の正体とか、円筒の正体とか。
最初から続編の製作も考えられていたようですので、次の作品で明らかになるのでしょうか。
とりあえず、これにはあえて突っ込まずに今は流しておいた方が良いのかもしれませんね。

ところで、先日残念なことにリドリー・スコットの弟さんで、「プロメテウス」の共同プロデューサーでもあり映画監督のトニー・スコットが自殺して亡くなってしまいました。
リドリー・スコットはイギリスで製作に取り掛かっていた次回作の撮影を中止して、アメリカの家に帰ってしまったとか。
次の作品は「プロメテウス」の続編ではなかったようですが、続きが見れるのはいつになるのでしょう。。。

   


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