アメ車マニア


ゴースト・オブ・マーズ(原題:GHOSTS OF MARS)

2001年アメリカ映画


ジョン・カーペンター監督のSFホラーアクション。
火星を舞台にした幽霊物という異色作品です。

人類が火星に大気を作り出し、移住して暮らしている2176年。
一家の主は女性に取って代わられ、社会は女性上位となっていた。
そんな火星では、長らく眠っていた恐ろしい存在が目覚め、人の暮らす集落を襲っていると言う噂が流れていた。

その頃、火星の平和を守る火星警察官グループが、囚人護送のために鉱石運搬列車に便乗して辺境の刑務所へ向かっていた。
男性警官ジェリコらを率いる女隊長へレナと副隊長バラードは、目的地の駅で下車。
囚人を受け取った後に再度列車に拾ってもらう手筈になっていた。
しかし刑務所に隣接する街では、住人が全員逆さ吊りにされ首をはねられていた。
刑務所の中には護送予定の殺人犯ウィリアムズ、数名の囚人、さらに刑務所に逃げ込んできたウィットロック博士がいた。
混乱の中、隊長が姿を消し、ウィリアムズが刑務所から脱走した。
ウィリアムズを探しに入った建物内でバラードは、何かに取り憑かれたような住人の襲撃に遭う。
そこへウィリアムズが現れ、二人で住人を倒した後、ウィリアムズを捕らえる事にも成功する。
ジェリコは隊長を探していると、棒に突き刺して並べられた生首を発見する。
その近くでは悪霊に取り憑かれた鉱山労働者たちと、その先頭に立つ悪魔の姿を発見する。
移民たちは鉱物の発掘作業中、眠っていた悪霊を掘り起こし解き放ってしまったのだ。
そして悪霊たちは、火星の侵略者である人間を全滅させる事を目的に活動を始めたのだった。
身の危険を感じたジェリコは街へ逃げ戻る途中、悪霊から逃れたと言う生存者3名を見つけ、共に刑務所へと連れて行く。
しかし3人はウィリアムズを脱獄させる為にやって来た仲間だった。
銃を向け合うものの、刑務所へ押し寄せてくる悪霊の大群に対抗すべく、敵味方関係なく協力し合う事を決める。
そして悪霊たちが待ち受ける刑務所の外へと飛び出していく。。。

基本的には50~60年代のB級SFを髣髴とさせる絵作りがされています。
これはカーペンター監督流のオマージュなのでしょう。
また、警官と囚人が手を取り合って襲撃者と戦う展開は、カーペンター監督初期の傑作バイオレンス「要塞警察」のセルフリメイクにも見えます。

昔懐かしい雰囲気を作り出している反面、とにかく斬新なチャレンジが多いのがこの作品。

まず、地球外の惑星に巣食う悪霊というのは過去にも聞いた事がありません。
普段は実体を持たないが、人間の体を乗っ取ることで凶行に走る。
そして体がダメージを受けるとまた新しい体へと乗り移る。
この悪霊、乗り移った人間の体を金属のアクセサリーを突き刺したり、体を傷付けることでドレスアップ(?)します。
その姿はパンクやヘビメタな雰囲気満点で、かなりロックロールな悪霊さんたちです。

音楽はジョン・カーペンターですが、ヘビメタバンド「アンスラックス」が参加しているのもポイントです。

またなぜか男が主導権を失い、女が強いという設定も面白い。
ただそれが活かされている場面は少ないのですが。

あと、これらの物語は、唯一の生き残りであるバラードが上官に報告するという回想録として語られてゆきます。
他のメンバーがどうしていなくなったのかは、徐々に明かされてゆきます。

主人公の女性警察官バラードは「スピーシーズ種の起源」のナターシャ・ヘンストリッジ。
その同僚ジェリコに「トランスポーター」のジェイソン・ステイサム、「アイデンティティー」のクレア・デュバル。
彼らを率いるレズの隊長は「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリアー。
囚人ウィリアムズに「フライデー」のアイス・キューブ。
悪霊を解き放した張本人、ウィットロック博士に「ブレードランナー」のジョアンナ・キャシディ

特殊メイクはカーツマン、ニコテロ、バーガーのKNBエフェクツトリオが担当。
グログロという訳ではありませんが、生首はゴロゴロ転がり、皮膚に金属を突き刺し、顔面の皮膚は剥がされと残酷シーンは見せ場がたくさん用意されています。

SFホラーですがガンアクションや格闘アクションシーンも派手です。
エンターテイメントの美味しい所をあれもこれもと混ぜ合わせた結果できたのが「ゴースト・オブ・マーズ」という感じです。
そんな盛りだくさんな映画なのにちゃんとまとまっているのが素晴らしい。
色々盛り込んだ挙句、収拾がつかなくなった「ゴーストハンターズ」とは大違い(笑)
まさに活劇と呼ぶに相応しい娯楽作品です。

 


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