アメ車マニア


炎628(原題:Иди и смотри[英語題:Come and see]) 1985年ソ連映画


第二次大戦当時、白ロシアと呼ばれていた現在のベラルーシでナチスが行った虐殺を描いた作品です。
タイトルの628は、ナチスが滅ぼした白ロシアの村の数と言われています。

荒野でライフルを拾った少年。
その姿を上空から偵察機が監視していた…。

自宅に戻った少年は国を占領しているナチスに対抗すべく、レジスタンスへ入隊すると母親に告げる。
森に潜むレジスタンスに合流した少年だったが、子供扱いされ、戦いには連れていってもらえない。
のけ者にされ落胆した彼は、部隊を離れる決意をする。
自宅を目指し歩き始めて間もなく、激しい爆撃でレジスタンスの基地は壊滅してしまう。
森の中で出会った少女と共にどうにか自分の村へと戻るが、そこには母親や妹を含め、村人の姿が無い。
沼地にある村人の避難場所へと走り出す少年と少女だったが、村の裏側には山のように折り重なった遺体が放置されていた。
そこにはナチスの襲撃から逃れた村人たちが潜んでいた。
生存者から、銃を持った少年を探しに訪れたナチスが、少年の家族や近所の住民を殺害した事を聞かされる。
自分が銃を手にしたばかりに…と後悔した少年は、村人たちに食糧を調達すべく、数名の男たちと出掛けていく。
地雷やナチスからの銃撃により次々と仲間を亡くし、一人残った少年は小さな村へとたどり着く。
しかしそこにナチスの部隊が乗り込んできてしまう。

兵士たちは、村民を集会場の建物の中に集め、鍵をかけた。
次に、子供を残して大人たちは窓から出てくるよう指示するが、子供を置いて出てくる大人はいない。
そんな混乱の中、少年は集会場から這い出し、兵士に捕えられた。
そしてナチスは建物に火を放った。
炎に包まれた集会場の中から絶叫が響き渡る。
その光景を笑いながら眺める兵士たちは一斉に銃弾を撃ち込み、さらに火炎放射器で焼き尽くした。

かろうじて殺されずに済んだ少年は、惨劇の村を出て歩き始めた。
しばらく進むと、村を襲ったナチスの部隊がレジスタンスの襲撃に遭い、壊滅させられていた。
僅かに生き残った兵士たちはレジスタンスに取り囲まれている。
その時、子供を置いて出て来いと命令した将校が語り始めた。
「民族の未来は子供から始まる。共産主義は劣等民族に宿るため、お前たちに未来は与えられない。」
そして、レジスタンスの怒りを買ったナチスの兵士たちは射殺されるのだった。

少年はレジスタンスと共に森の中へと消えてゆく。。。

少年は銃を持ったものの、一度も撃ってはいません。
しかし銃を拾ったがために引き起こされる悲劇からは、武力を保有してはいけないというメッセージを感じます。
例え使わなくとも、武力を得た時点で大きな危険を背負う事になるのです。

村人虐殺シーンは燃え盛る建物の外観のみで中の様子は見せません。
しかし燃え盛る建物から聞こえる絶叫が強烈な印象を残します。

大虐殺の場に居合わせる事になった少年は、恐怖の余り一瞬で老け込み、顔には深い皺が刻み込まれます。
戦いに身を投じた頃は無垢で美しかった少年でしたが、後半は別人のような姿になってしまいます。
この老け顔は一部特殊メイクも用いていますが、演じた少年の顔芸とも言えるような演技の賜物ですね。

ラストシーン、川に浮かぶヒトラーの肖像画に向けて少年が銃を撃ち込みます。
肖像画を撃つ度、ナチスの台頭を逆回しで過去へ遡るように見せ、次にヒトラーの生涯も逆回しで見せます。
それはヒトラーなんか生まれて来なければ良かったんだ、という少年の強い怒りを表す象徴的な映像です。
映像はさらに遡り、ヒトラーの少年時代、そして最後には、母親に抱かれ、天使のように可愛らしい赤ん坊のアドルフ・ヒトラーが映し出されます。
その赤ん坊のヒトラーを見た少年は、涙をこぼし、撃つのをやめます。

これは大変印象深く、また衝撃的なエンディングです。
子供を悪の根源として殺していたナチスと、赤ん坊のヒトラーに銃を向ける少年の違いとは。。。

暗過ぎる、悲惨過ぎる、救いが無い、といった評価が多い作品です。
確かにあまりに辛い内容ではありますが、世間で言われているほどのドギツサは感じませんでした。
そんな評判から慎重になり過ぎて、見るのを敬遠している人が居るとしたら勿体ないです。

またこの作品をプロパガンダと表現する方がいますが、自分はそうは感じませんでした。
戦争の悲惨さを語り継ぐことは大切だと思います。
日本ではマイナーな映画ですが、もっと大勢の人に見てもらいたい作品の一つです。



東京原発 2002年日本映画


東日本大震災よりも10年近く前に製作された日本映画です。
その内容は、まるで福島第一原発事故が発生する事を予見していたかのように、日本の原発に対して警鐘を鳴らしていました。
そして現在も問題視されている、地震への不完全な対策、活断層の存在など、とても10年以上前に作られた映画とは思えません。

しかし製作当時、世間の関心の低さから劇場公開までに2年を要したというのが情けない。
福島の事故は、そんな日本人の無関心さが招いた事故なのかもしれません。
ちなみに自分は、実は電力会社が圧力かけたりして公開できないようにしてたのでは?と思ってますが…。

原発を抱える自治体が優遇される制度を目当てに、都の財政問題等を解決しようと、都知事が東京に原発を誘致しようとするストーリー。
東京都庁の会議室で、都知事の役所広司をはじめとする幹部職員(段田安則、平田満、田山涼成、岸部一徳、菅原大吉、吉田日出子)が、知事の爆弾発言を議論していきます。
基本的に軽いノリのコメディですが、幹部たちの滑稽なやりとりの中で原発や電気を取り巻く様々な問題が露わにされていきます。
途中、東大教授が識者として呼び出され、さらに突っ込んだ内容が議論されます。

都庁内でそんなドタバタ問答を繰り広げている中、秘密裏に東京のお台場から陸揚げされた核燃料が、陸路で福井県へと出発した。
ところが、核燃料を積んだトラックが少年テロリストにカージャックされてしまう。
起爆装置を付けられたトラックは東京都庁をターゲットにして走り始めた。。。

最終的に、知事の東京に原発を誘致するという発言は、現在の原発のあり方を提起するためのアクションだったという事が判明します。
地方に原発を押し付け、そこから電気を貰っている他地域の住民に現状を考え直してもらう事が目的だったのです。
それでも現状が変わらないならば、本当に東京に原発を作る、と言う知事が格好いい。

震災以降でこそ、以前よりも突っ込んだ報道がされるようになりましたが、当時は利権者の手前、タブー視されていた原発、電気に関する問題を次々と引っ張り出したのはお見事です。
ただ、映画が製作された2002年時点のデータという事を踏まえて見ましょう。
例えば、世界一電気料金が高いのは日本だと紹介されていましたが、その後、イタリアやドイツの電気代が跳ね上がった事で映画製作直後に世界一の座は譲っています。
ただ、それでも割高な電気料金を払わされているのは確かですが。(またその理由が腹立たしい。理由は映画の中で紹介されます。)

製作当時であればやや難しいテーマだったかもしれませんが、軽妙なやりとりで具体的なデータを見せることで、非常に分かりやすい構成です。
ましてや、今の日本国民にとって原発といえば生活に直結した身近な問題。
誰でも多少なりとも原発に対する知識を備えているでしょうから、決して難しい映画ではありません。
次々と露呈する衝撃的な事実に驚きの連続で、退屈することなく見れる作品です。

また、「東京原発」で取り扱われたデータについて揚げ足取りのように反論しているサイトがありますが、所詮娯楽映画なんだし、目くじら立てて「ここは違う。あそこはおかしい。」と指摘するのは何か違和感感じますわ。
この作品の中の知事と同じで、この映画がみんなで考えるきっかけになれば充分でしょう。
難癖つけてる原発にお詳しいご立派な識者様だって、原発が抱える問題点を国民に広く知らせることはできなかったんだからね。

もっと早くこの作品を大勢の日本人が見ていれば…なんていうのは今さら言っても無駄。
でも原発の恐怖を身をもって知った我々は、このコメディタッチの映画から多くの事を感じる事ができます。
そして今見れば、問題から目を背けていた自分に後ろめたさを感じるはず。
同じ過ちを繰り返さぬよう、その気持ちは絶対に忘れてはいけないと思いました。



カリーナの林檎~チェルノブイリの森 2011年日本映画

チェルノブイリ原発事故の影響が残る2004年のベラルーシで暮らす8歳の少女、カリーナのお話。

母親は体調を崩し入院、父親は出稼ぎに行ってしまい、叔母の家に預けられたカリーナ。
しかし叔母は心を閉ざした姪っ子に冷たく当たり、カリーナは自分の居場所が見つけられない。
そんな彼女が大好きなのは、チェルノブイリの隣町で今も一人暮らしているおばあちゃん。
夏の間、カリーナはおばあちゃんの家で楽しく暮らしていた。
しかし夏が終わりに近付き、学校も始まることから叔母の家へ帰る事になった。
また憂鬱な生活に戻り、季節が冬になった頃、おばあちゃんが体調を崩して寝込んだ事を知ったカリーナ。
一人家を抜け出し、バスでおばあちゃんの住む村へと向かう。
おばあちゃんはすぐに元気になったが、今度は入院中の母親の容態が悪化してしまった。
カリーナはそんな母から、みんなが調子悪いのは、チェルノブイリにある悪魔の城(チェルノブイリ原発)から毒(放射性物質)をばら撒いているせいだ、と聞かされる。
そしてついにカリーナまでも倒れてしまい、検査の結果、既に手遅れだという事が判明する。
その後、母親は昏睡状態に陥り、死にゆく病院の友達を見たカリーナはある決意をする。
悪魔の城へ行き、毒をばら撒くのをやめさせると、一人チェルノブイリ行きのバスへと乗り込むのだった。。。

現地で集めたキャストを使い、ベラルーシで撮影された作品ながら、実は日本の映画です。
「アイコ16歳」でデビュー、以降かわいい女の子を題材に映画を撮ってきた今関あきよし監督の作品。
この監督、少女を撮るのが上手い!と言われていたのに、少女にイタズラして何度も捕まっているんですよね。
一連の事件後、あまり名前を聞かなくなってしまい、正直、この「カリーナの林檎」を知るまで存在を忘れていました。
そして久々に名前を聞くきっかけになった新作の主役が8歳の少女。。。おいおい大丈夫か?と思いましたが、そんな心配は無用でした。
変な意味ではなく、瑞々しい少女を撮る力は全く衰えていません。
汚れない純粋な心を持ったカリーナが直面する残酷な現実に胸が締め付けられます。

2004年の製作当時、日本では関心の低さから公開できず…と言う事になっていますが、事件を起こした時期と重なるんですよね。
本当の理由は分かりませんが、とにかく公開されるまで長い時間が必要でした。
そして東日本大震災、福島第一原発事故が発生した2011年、ついに日の目を見る事になります。

監督自身がチェルノブイリまで調査に行き、入念な取材のうえで製作された映画。
これが福島第一原発事故前に公開されていたら何かが違っていたでしょうか?
「たられば」の話なんてしても何も変わりませんが、今からでもこの映画を見る価値は大いにあると思います。

チェルノブイリ、福島の美しい自然を汚し、そこで暮らす人々の生活や命を奪った罪は大きい。
それを改めて痛感した作品です。

 


チェルノブイリ・ハート(原題:CHERNOBYL HEART) 2003年アメリカ映画

チェルノブイリ原発事故から16年経ったベラルーシの子供達を取材したドキュメンタリー映画。
2003年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門でオスカーを獲得した作品です。

タイトルにもなっているチェルノブイリ・ハートとは、その地域で多く見られる心臓疾患を持った子供の事を指します。
今もベラルーシでは新生児の85%が何かしらの障害を持って生まれてくるそうです。
映画では水頭症の赤ちゃんや、心臓手術に臨む子供達を紹介します。
罪のない子供達が苦しむ姿には涙が止まりませんでした。
この映画を見て、改めて放射能が長期間に渡って人間に与える影響を思い知らされました。
日本の原発事故においては、政府が適切な判断をしたおかげで、このような事態を免れた事を切に願います。

「チェルノブイリ・ハート」自体は上映時間39分という短編です。
DVDには同監督2006年製作のドキュメンタリー「ホワイトホース」も収録されているので61分となります。

「ホワイトホース」は、原発事故当時7歳の少年だった男性が、事故から20年後、住んでいた地域を訪れる旅の様子を追ったもの。
彼が住んでいたのは、チェルノブイリの廃墟として紹介される事の多いプリピャチの団地です。
原発から3キロ。事故当時のまま時間が止まった街。
建造物はあれど、そこに人が住んでいたと思わせるような命の営みの痕跡は感じられません。
廃墟の中を言葉少なに散策する彼の姿からは、人類が取り返しのつかない大惨事を招いた事を改めて痛感させられます。
そしてこの映画が撮影された1年後、彼も27歳の若さでこの世を去ってしまったそうです。。。



100,000年後の安全(原題:INTO ETERNITY) 2010年デンマーク・フィンランド・スウェーデン・イタリア合作

大規模公開はされず、ミニシアターなどで細々と公開され続けている問題作。
地中深くに穴を掘り、使用済み核燃料を埋めてしまおうというフィンランドの現状を追ったドキュメンタリーです。
しかも、埋めて管理するのではなく、完全に放置して放射線量が安全レベルにまで下がる10万年経過を待とうと言うのです。
10万年ですよ(笑)
…いや、笑い事ではないんですが、それなりに学のある方々が真剣にアホな事を考えている姿には失笑が止まりません。
真面目にやろうと既に大規模なトンネル建設を始めているんですから。

10万年の間に何が起こるか?
誰にも予測はできません。

地殻変動で地上に放射能がばら撒かれるかもしれません。
10万年の間にトンネルの存在が忘れ去られ、誰かが掘り返すかもしれない。
あるいは一旦人類が滅び、新しい人類が出て来たときに訳も分からず掘るかもしれません。
この作品の中でも指摘しているように、現在発掘された遺跡やピラミッドなどの人口建造物は、その存在目的が解明されていないモノがたくさんあります。
10万年経過するまでの間、21世紀を知らない人類の子孫がパンドラの箱を開けない保証はどこにもありません。

それにしても人類は何て愚かなのでしょうか。
原発を稼動させれば出ると分かっている核のゴミ問題を棚上げにしたまま、今も多くの国で原発を動かしています。
日本だって充分な処理能力も無いのに、ゴミは保管したまま原発に頼ってきました。
ゴミとはいえ発する放射線量は高く、核兵器製造に使われるといったリスクもあります。
この作品を見て、改めて人類が直面している問題を考えるきっかけになりました。

ちなみに、お堅いドキュメンタリー映画ではなく、美しく幻想的に撮られた映像、ユーモアや皮肉を交えて追求する展開は決して退屈させません。
人類が目をそらす事が許されない問題。
この作品は放射能問題に直面した日本人はもちろん、世界中の大勢の方に見てもらいたい映画です。


ブレスレス(原題:BREATHLESS) 1983年アメリカ映画

リチャード・ギア主演で、ゴダールの「勝手にしやがれ」をアメリカに舞台を移してリメイクした作品です。ゴダールの…なんて言うと堅苦しいイメージかもしれませんが、そんな事は全くありません。軽いノリで見やすい娯楽作品になっています。今となっては話題に上る事も少ない地味なB級ラブロマンスですが、個人的には非常に強く印象に残っています。リチャード・ギア演じるジェシーは、一目惚れしたフランス人女性モニカを追ってLAへと盗難車を走らせる。しかし道中警官に止められた際、誤って射殺してしまう。お尋ね者となったジェシーはそれでもモニカを諦められず、ついにLAで再会を果たし恋に落ちる。しかし警察の追跡は激しく、二人は逃避行の旅に出る。
見所はまずリチャード・ギア。彼のフィルモグラフィの中で最も軽薄で最も情熱的なキャラクターを演じています。漫画から飛び出してきたような極端なキャラクターではありますが、これがとても良い感じなんです。この「ブレスレス」を見るまではあの甘ったるい顔が妙に苦手だったのに、これ1本で大好きな俳優の1人に昇格しました。
あと相手役のヴァレリー・カプリスキーもいい。超美形ではないんですが、アメリカの女優さんとは違う気だるい雰囲気や透明感があって魅力的です。フランスで出演した映画でも脱ぎっぷりのいい女優さんでしたが、この「ブレスレス」でも頑張ってます。この女優に惚れたら「聖女アフロディーテ」を見て下さい。もう堪らんです。
リチャード・ギア演じるジェシーはジェリー・リー・ルイスのロックが大好きという設定。これがまた妙に似合ってて格好いいんです。ラスト、路上で警官隊に包囲された中、アカペラで「BREATHLESS」を歌い上げ、警官が呆気に取られているところで銃を手に取り…。(この終わり方が超格好いい!)


グラン・トリノ(原題:Gran Torino)アメリカ2008年度作品



またまた監督クリント・イーストウッドがやってくれました。新しい名作の誕生です。往年のフォードの名車がタイトルになってる事から、クルマが走り回るアクション映画と思ったら大間違い。近年のイーストウッド映画らしく、静かに心を震わせてくれる作品です。イーストウッド演じる偏屈爺さんが、蔑んでいたアジア系移民との交流を通じて人間らしさを取り戻していくお話。
朝鮮戦争で犯した過ちから自分を赦せず孤独に暮らしていた老人が、如何にして安らぎを得ていくかが見所。名車グラントリノは、閉ざされた老人の心の象徴として使われています。
毎度のことながら、甘っちょろいお涙頂戴のお話ではありません。相当に苦いです。苦いけれど、人と関わっていく事の難しさだけでなく素晴らしさも改めて教えてくれます。エンディングへと繋がる出来事は、見ているこちらにも大きな動揺を与えます。そして老人が最後に自ら選ぶ運命に、誰もが魂を揺さぶられるはず。
俳優イーストウッドは本当にいぶし銀の演技を見せてくれますが、 残念な事にグラントリノを最後に俳優業からは引退するそうです。荒野で葉巻をくわえ、サンフランシスコで44マグナムをぶっ放す姿を幼い頃から見ていた私は寂しくてたまりません。でも俳優のキャリアの最後を飾る作品としてグラントリノを選んでくれたことに、我々ファンは感謝すべきですね。
俳優引退は残念ですけど、今後は素晴らしい作品を見せてくれる映像作家 イーストウッドに期待しましょう。類稀なる才能を持った映画人ですから、まだまだ長生きしていい映画をたくさん見せてほしいと切に願います。


ニューシネマパラダイス(原題:Nuovo Cinema Paradiso)イタリア/フランス1989年度作品

映画への愛に溢れたこの作品、映画好きの心をわし掴みにします。生まれ育ったシチリアを後にし、幼い頃から好きだった映画の監督になるため、都会へ出て行く主人公トト。故郷唯一の映画館「ニューシネマパラダイス」の映写 技師であり、親友のアルフレードと交わした「成功するまで故郷には戻らない」という約束を守り、故郷を捨てて数十年という時間が経つ。そして映画監督として成功したトトの元にアルフレードの訃報が届く・・・。そして数十年ぶりに故郷へ帰るという所から物語は始まります。 故郷のシチリアと心の故郷ともいえるニューシネマパラダイスでのアルフレードとの思い出。二つがオーバーラップして郷愁を誘います。アルフレードが遺したフィルムを見るシーンは、何十回見ても涙がこみ上げてきます。
完全オリジナル版は劇場公開版と比べて、主人公の初恋の部分に重点を置いた編集がされています。これはこれで良いですが、アルフレードとの友情部分が若干ぼやけてしまう感は否めません。しかし、アルフレードのエピソードがカットされているわけではありませんし、物語に深みを出している事は間違いありません。追加された初恋の女性との数十年ぶりの再会のエピソードなんて、胸がキュン(死後だ…)となります。ただ3時間という収録時間は気軽に見れるボリュームではなく、見るには少し気合いが必要かもしれませんね。とはいえ、どちらのバージョンもそれぞれに良さがあると思ったので、2バージョンとも所有しています。
「ニューシネマパラダイス」は、文句無しに僕の好きな映画ベスト1です。これぞ色あせることのない不朽の名作。


ビッグフィッシュ ( 原題:Big Fish) アメリカ 2003 年度作品

超好きな作品です!鬼才ティム・バートンが実力をフルに発揮した名作ファンタジーです!!
夢と愛に満ちた話を語る事が得意で、その温厚な人柄も手伝って町の人気者の父エドワード。息子のウィルは、幼い頃から聞かされ続けた父のおとぎ話のような体験談が信じられず、常に父の真実の姿を知りたいと考えています。そんな親子はいつしかすれ違い、結婚して家を出た息子は父親との交流を断ち切ります。それから数年が経ち、子供の出産を間近に控えた頃、故郷から父の容体悪化の知らせが届く。そして息子は、父から本当の人生を聞くために故郷に帰る。。。
映画は父親が経験した人生を映像で追体験していく構成です。魔女、巨人、人魚といったキャラクターが登場する父親の話は、息子にしてみれば確かに信じ難いものです。しかし、見ている観客にとってはただの夢物語ではなく、現実とおとぎ話がバランスよく描かれているおかげで、非常にリアリティのあるファンタジー映画に仕上がっています。また、おとぎ話の主人公をユアン・マクレガーが爽やかに好演しているのも、この映画に温かさをプラスしている大きな要因と言えます。
キラキラと輝く父親のおとぎ話、そんな父親を受け入れられない息子の苦悩を交互に描きながら、物語は意外で感動的なエンディングへと突っ走ります!公開時にはそれほど話題にはなりませんでしたが、個人的には同監督の「シザーハンズ」を超えていると思います。「シザーハンズ」が好きな方には絶対見て欲しいです。幸せな感動を感じたい方にお勧めのファンタジー映画です!!


21グラム(原題:21 Grams)アメリカ映画2004年度作品

この作品にはたくさんの見所があります。
まず演技派出演陣の鬼気迫る演技。宗教に出会う事で犯罪から足を洗ったのに親子を轢き殺してしまったベニチオ・デル・トロ、ひき逃げによって夫と子供を失ったナオミ・ワッツ、交通 事故で死んだ男の心臓を移植して生き延びたショーン・ペン。
脚本はそれぞれのエピソードが交わって起こる悲劇を、丁寧に、斬新な手法で描いています。ちなみに「21g」とは、人が死んだ時に減ると言う重さ。この僅かだが非常に重い意味を持つ重さによって、3つの人生が狂ってゆきます。3人の心の揺れを平行して見事に表現した脚本。そして時間軸を飛び越えて交錯する過去・現在・未来によって、一人一人のキャラクターを浮き彫りとした演出。時間軸をいじった映画では「メメント」も有名ですが、あちらはエンディングからオープニングに向かって逆回しに進む構成なので、意識的にひっくり返った時間軸を、頭の中で修正しながら見ていかないと訳が分からなくなりました。その点この「21グラム」では、展開が直感的にわかるようにされているおかげで頭が混乱するような事は無く、登場人物の置かれている状況を非常にわかりやすく、効果 的に表現しているのが面白かったで す。
3人の抱えた問題を見れば分かるように、救いようのない重いテーマを扱っています。その内容に負けないくらい重厚で凝った映像を作り上げたスタッフ、そして心の奥底に悲しみを抱いて寡黙に演じたキャスト、相互作用によって完成したこの作品は、見る者の心に何かが重くのしかかってきます。この監督、ただものではないと見た!


デッドマンウォーキング(原題:Deadman Walking)アメリカ映画1995年度作品

死刑を目前に控えた冷酷なレイプ殺人犯の心の浄化をテーマに、死刑問題に真っ向から取り組んだ社会派ドラマ。この作品を見ると、法の基で人間が人間を殺すという仕組みに違和感を感じずにはいられませんでした。
死刑囚に安らぎを与える為に遣わされた尼僧(スーザン・サランドン)と、自分の犯した罪への後悔を口にしない囚人(ショーン・ペン)。全ての罪を告白させ、過ちを認め、被害者と遺族への謝罪を引き出す事で心の安らぎを与えようとします。しかし囚人は心を閉ざし、悔い改める事なく刑の執行を待つばかり。 果たして彼の心の闇を解き放つ事はできるのでしょうか。。。というのが映画の本筋です。 死刑囚ばかりではなく、死刑囚の母親や兄弟、また被害者の遺族の視点から見た死刑制度。制度が求めるのは”死んで謝罪する”こと。尼僧が求めたのは”心からの真の謝罪”。謝罪の気持ち無しに、ただ法によって殺されるのは何の解決にもならないと思えました。凶悪犯は殺してしまえ!とばかりに処刑したとしても、その結果 だけで被害者、遺族は慰められるのでしょうか?心の傷は完全に癒えないとしても、囚人の口から発せられる言葉が「死刑になるんだからいいじゃん」と「すみませんでした」とでは、同じ死刑でも意味合いが大きく変わってくると思います。反省や改心が見られない凶悪犯罪者には、死刑相当の極刑も必要な場合もあると思います。自分がそんな凶悪犯に被害を被ったとしたら、間違いなく「あいつを死刑に!!」と言うと思います。だから絶対死刑反対!!とは言いませんし、ここで死刑制度の是非を論じるつもりもまったくありません。ただ、犯人を殺してハイ終わり、では、根本的な問題の解決や、社会 への良い影響も無いのではないでしょうか。日本での死刑執行はいつも「本日、死刑囚○名の刑が執行されました」という事後報告。死刑囚の後悔の言葉や謝罪の気持ちは一切公表される事はありません。クローズアップされるべき所は、”死刑にされた事”ではなく、”囚人の心の中”ではないかと考えてしまいました。
「デッドマンウォーキング」というのは独房を出て刑場へ歩き出すときに、看守が叫ぶ掛け声。ラスト、ベッドに縛られ、薬によって遠のく意識の中でショーン・ペンが流す涙は、人間性を取り戻した証なのでしょう。
ちなみに、尼僧役のスーザン・サランドンは監督の奥様でもあります。そしてその監督は、「ショーシャンクの空に」や「ミスティックリバー」でショーン・ペンとも共演している俳優のティム・ロビンス!!すごい人です!


アメリカングラフィティ(原題:American Graffiti)アメリカ映画1973年度作品



青春時代と旧き佳き時代の終焉を重ねて描いた青春映画の傑作です。青春群像劇の典型とも言えるのではないでしょうか。 高校を卒業し、人生の岐路に立たされた若者達が主人公。出演者は、「ジョーズ」「オールウェイズ」等のリチャード・ドレイファス(若い!!)、「アポロ13」等の監督としても有名なロン・ハワードの他、人気が出る前のハリソン・フォードも脇役で出ています。
高校卒業を間近に控え、子供ではいれなくなった少年たちと、1960年代に突入してベトナム戦争が始まり、豊かさを追い求めた1950年代の夢から醒めざるをえない状況となったアメリカの姿が重なり、胸を締め付けられるような切なさを感じさせます。古き良き時代の昔話と侮るなかれ。だれもが大人になる時に感じる切ない想いを見事に思い出させてくれます。子供の心をどこかに置き忘れて来た大人にこそ見てもらいたい作品です。
あえて一番最後に書きますが、この映画のサントラは、サントラ史上10位以内に入るのは確実の名盤です。全編オールディーズの名曲で構成されています。いつも映画よりもサントラが話題になるので、今さらあえて語る必要もないのですが、「アメリカングラフィティ」を語る上で欠かす事のできないファクターです。持っていない人はとりあえず買っておかないと大損しますよ!



スタンド・バイ・ミー(原題:Stand by Me)アメリカ映画1986年度作品

もはや説明不要のスティーブン・キング原作による青春映画の傑作。家庭や心に問題を抱えた 4 人の少年たちの冒険を描いています。行方不明になった少年の死体を見つけて有名になろう!と、 4 人は森の中へ入っていきます。死体を探す冒険の途中、けんかしたり、悩みを告白したり、お互いの絆を深め合ってゆきます。森の奥深くで死体を見つけた時、 4 人の目の前に現れたのは・・・。
死体探しとしう危ういテーマを選んだ点は、少年時代の危うさを表現するのにぴったりです。美しい青春映画ながら、キングらしい毒々しさは密かに息づいている感じもしましたね。また、少年たちのキャラクターが非常によくできています。優しい優等生の兄を亡くし、両親からの愛も得られない主人公。荒れた家庭に生まれたがために不良の烙印を押された少年、虐待を受けながらも帰還兵の父を尊敬する子など、子供たちの心の闇が痛々しく描かれています。またこの少年たちを演じる俳優たちが素晴らしい!ナイーブなウィル・ウィートンは主人公にぴったりだし、アイドルでありながら性格俳優ばりの演技派コリー・フェルドマン、今は亡きリバー・フェニックスもキラキラした存在感と悲しみを漂わせています。
冒険が終わり、それぞれが別れて家路に着くシーン、そして大人になった主人公が友人たちのその後を語るエンディングは、楽しかった少年時代の思い出と共に大きな感動を呼びます。誰もが通り過ぎてきた輝かしい時期を描いたこの作品は、すべての大人に見てもらいたい名作です。


フェノミナン(原題:Phenomenon)アメリカ映画1996年度作品



アメリカの田舎町を舞台に、不思議な力を持つ素朴な男が繰り広げる大人向けファンタジーの佳作です。 夜空から注いだ不思議な光を浴びて、思いもよらず超能力を身につけてしまった男ジョージ(ジョン・トラボルタ)が主人公。ある日突然、触らずに物を動かしたりといった力を得ますが、同時に不眠症となり、一日に何冊もの難解な本を読みあさって知識を身につけていきます。その不思議な力を活かして行方不明の子供を見つけたりしますが、周囲はその力を気味悪がってジョージは孤立してゆきます。そんな中、結婚の失敗から他人との交流を恐れ、街から離れて暮らすシングルマザー親子と出会い、互いに理解を深め始めます。しかしその頃、不思議な力は徐々にジョージの体を蝕み・・・。
人生で大切な物は愛なんだと気付かせてくれる作品です。「誰もが持っている可能性が大切なんだ。ぼくはそのいい例さ。」と言うジョージの言葉に、この作品に込められたメッセージを感じ取る事ができます。淡々とした演出、少年のように素朴なトラボルタの演技に加え、名脇役陣(ロバート デュバル、フォレストウィテカー)のサポート、涙を誘う音楽、すべてがうまく調和しています。
そうそう、音楽といえば、「フェノミナン」のサントラは即買いの価値ありです。クラプトンの「CHANGE THE WORLD」、アーロン・ネヴィルの「CRAZYLOVE」他、一流アーチストの名曲がたくさん収録されています。
あまり話題にならない作品ですが、定期的に見たくなるほどクセになる映画です。心が疲れているときや落ち込んでいるときに見ると、気持ちがホカホカしてきますよ~。



デッドゾーン(原題:The Dead Zone)カナダ映画1983年度作品

個人的に、文句無しにスティーブン・キング映画化作品の最高傑作だと思います。スティーブン・キングがよく題材とする「特殊な能力を持ったがために悲劇的な状況に陥る」ストーリーですが、他の作品よりもホラー/SF的な要素を抑えているために、サスペンスとして、またラブストーリーとして非常に奥深いドラマを楽しませてくれます。
高校教師ジョニーは交通事故によって昏睡に陥り、5年後突然目覚めます。恋人は別 の男と結婚し、仕事も無くし、失意の中で社会復帰を目指している最中、人の体に触れると相手の過去や未来を追体験できる能力が備わっている事に気付きます。その能力を活かして火事から女の子を救ったり、連続殺人事件を解決したりしますが、ジョニーの体は日増しに衰えていきます。ある日、群衆の中に昔の恋人を見つけ人ごみの中を探している時、選挙活動中のスティルソン候補と偶然握手を交わす羽目になります。その時ジョニーが見たものは、大統領にまで上り詰めたスティルソンが核ミサイルのスイッチを押すという戦慄の未来。自分にしか知る事のできない忌まわしき未来を変えるべく、孤独な戦いを決意するジョニー。人類の未来の為、ライフルを隠し持って単身選挙演説会場へ潜入した彼を待っていた運命とは・・・。
本作成功の鍵は、原作のスティーブン・キング、監督のデビッド・クローネンバーグ、主演のクリストファー・ウォーケンが、それぞれの役割を見事に果 たしている点にあると思います。特殊な能力ではなく、苦しむ主人公の内面にスポットを当てたキングの原作。原作の趣旨を理解し、クローネンバーグ独自の世界観を抑えた控えめな演出。難解で独特な作品が多いクローネンバーグは評価が真っ二つに分かれる映像作家ですが、デッドゾーンを見ると彼がただの変態作家ではないことが理解できます。そして、優しさと悲哀を背負った主人公を見事に表現したクリストファー・ウォーケン。彼以外の俳優ではこの作品は成立しなかったでしょう。まさに三位 一体。見終わった後にこれほどまで原作者、監督、俳優に対する尊敬の思いが溢れてくる作品は珍しいと思います。繰り返し何度見ても、止めどなく込み上げる感動でエンドロール中盤まで立ち上がる事が出来ません。。。


ザ・デイ・アフター(原題:The Day After)アメリカ映画1983年度作品

この映画を”好きな映画”という中に入れるのは少々迷いがあります。救いの無いツライ映画だからです。
この映画の登場人物は、政治家でもなく、軍人でもなく、ヒーローでもありません。ただ普段どおりの日常生活を送る人々です。独り立ちする娘を見守る老夫婦、結婚を翌日に控えたカップル、出産間近な妊婦、喜びに満ちた人々を横目に敵国へ向けて発射される核兵器。そしてその後に敵国から降り注ぐミサイルの雨。穏やかな日常やささやかな喜びも無残に破壊する核戦争をリアルに描いています。
日常の延長線上で淡々と描かれる被爆後の世界。過剰な演出を排除しているせいか、見ているうちにドキュメンタリー映画を見ているかのような錯覚に陥ります。核戦争の悲惨さを訴えながらも決して説教じみておらず、見た人間それぞれに深く考えさせる構成は真の反戦映画と言えるのではないでしょうか。
もともとテレビ映画として放映されましたが、反響の大きさからアメリカではテレビ放映の後に劇場公開されました。日本でも劇場公開され、テレビでも放映されたので見た方も多いと思います。私は小学生のとき、子供たちを対象とした市民ホールの映画会で初めて見ましたが、そのときの衝撃は今見ても全く色褪せていません。それは20年以上経った今でも、核兵器の恐怖というものが我々人類にとって無縁ではないからだと思います。これからも一人でも多くの方に見てもらいたいと思える映画です。


ギルバート・グレイプ(原題: What's Eating Gilbert Grape)アメリカ映画1993年度作品

田舎町で暮らす青年の日常を描いた作品。何も無い田舎の生活の中だからこそ感じることのできる人間と触れ合う喜びや難しさを、主人公の目線で描いています。その主人公を演じるのはジョニー・デップ。淡々と透明感溢れる演技を見せてくれます。その弟で、障害を持つ少年にレオナルド・ディカプリオ。まだ子供なのにジョニー・デップを食うほどの演技を披露し、ファンならずとも必見の価値があります。
この監督の映画はどれを見ても「人間に生まれて良かった」と思える人間愛に溢れてます。優しい雰囲気が好きなんです。


天使の涙(原題:堕落天使 Fallen Angels)香港映画1995年度作品

映画が芸術である事を再認識。監督のウォン・カーウァイと撮影を担当したクリストファー・ドイルの仕事は見事というしかありません。パワフルな映像と切ないストーリーは、ある意味ハリウッドでは実現不可能なのかも。
“香港映画は苦手”という人や“香港映画と言えばジャッキーチェン”という人にも是非見てもらいたいです。


ビューティフルガールズ(原題: Beatiful Girls)アメリカ映画1996年度作品

派手さを抑えたしっとりした演出がお気に入りの青春映画。三十路目前で人生の壁にぶち当たった主人公。傷心のまま帰郷して、再会した旧友たちと触れ合う中に人生を見つけていく、というストーリー。セントエルモスファイヤーの 30 代版って感じです。


フェリスはある朝突然に(原題: Ferris Bueller's Day Off)アメリカ映画1986年度作品

「こんな気持ちのいい日に学校なんか行けるかっ!」と学校をサボる優等生が巻き起こす大騒動。やってる事はむちゃくちゃだけど、自分に正直に生きる事の大切さを教えられます。ラスト、パレードのど真ん中でビートルズの TWIST&SHOUT を歌うシーンは爽快です!
若い頃はジョン・ヒューズの青春映画にもはまったなぁ。。。


フットルース(原題: Foot loose)アメリカ映画1984年度作品

パーティ帰りの若者が事故死、それ以来ダンスとロックが禁止された田舎の町。 LA から転校してきた高校生が、大人により抑圧された魂を解き放つためのダンスパーティ開催をかけて大人と戦う。
孤立していた主人公が徐々に信頼を集め、大人にも認めてもらい、ダンスパーティを成功させる姿は、時には戦うことも必要なんだと考えさせられます。みなさん、嫌なことには「 NO! 」と言えていますか?ケビン・ベーコンがカッコ良すぎ!


ハイランダー 悪魔の戦士(原題: Highlander)イギリス映画1986年度作品

主人公は中世から生き続ける不老不死の戦士。世界中に点在する不老不死の戦士たちは、見えない力に引き寄せられ、最後の決戦のときを迎える。
SF アクションですが、見所の多い作品です。不老不死であるがために、愛する人が死んでいく姿を何度も見なければならない悲しさ。自分は出会った頃と変わらぬ若さのままなのに、先に老いて死んでいく妻を看取るシーンは涙の洪水です。自分の運命を呪い、孤独に生きる主人公が悲しすぎます。
監督はラッセル・マルケイ。数々のプロモーションビデオや CM で鍛えた演出手腕はこの作品にスピード感を与え、独自の美的センスは時に芸術的でもあります。
またクイーンが全面的に担当した音楽も雰囲気を盛り上げることに成功しています。
続編は B 級映画に成り下がってしまいましたが、この 1 作目は間違いなく A 級の娯楽作品です。


テルマ&ルイーズ(原題: Thelma & Louise)アメリカ映画1991年度作品

仕事、家庭から逃れて旅に出た女 2 人。ところがトラブルに巻き込まれお尋ね者になってしまう。なりゆきで罪を重ね、追い詰められる 2 人の運命は・・・。
リドリー・スコットが撮ったロードムービー。スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス演じるアウトローおばさんがかっこいいんです。二人の愛車、サンダーバードも重要なキャラクター。衝撃的だけど妙に清々しいエンディングは、バニシングポイントのエンディングにも通じる“魂の開放”を感じさせます。
また、脇役でブレイク前のブラッド・ピットが出演しているのでお見逃しなく。


パーフェクトワールド(原題: A Perfect World)アメリカ映画1993年度作品

脱獄犯と人質の少年に生まれた絆を描いたロードムービー。エンディングはハンカチでは役不足。吸水力たっぷりのタオルを用意して見ましょう。クリント・イーストウッドは人情ものを監督させたら天下一!