アメ車マニア


「13日の金曜日」シリーズ


13日の金曜日 (原題:FRIDAY THE 13TH )

アメリカ1980年度作品

公開当時小学生だった自分は、「13日の金曜日」というタイトルと、枕に血のついた斧が刺さったチラシに恐怖を覚えました。
興味はあったものの劇場へ足を運ぶ勇気は無く、のちにテレビで見て衝撃を受けました。

ナイフで切り裂かれる咽喉、顔面に突き刺さった斧、ベッドの下から突き出てくるナイフと、小学生にとってあの直接的な描写は余りに刺激的でしたね。
そんな特殊効果を担当したのは「ゾンビ」のトム・サビーニ大先生。さすがです。

キャンプ場の監視員が仕事もせず、いちゃついてる間に息子ジェイソンが溺れて死んだことを根に持つ母親が、営業を再開したキャンプ場の監視員を片っ端から殺していくお話。
それまでの殺人鬼映画は、被害者を散々追い掛け回して怖がらせた挙句にグサッ!といきましたが、13金シリーズは気付いたら刺さってました、ってくらい呆気なくいくのが斬新でした。
まだ無名のケビン・ベーコンもサクッと殺られちゃってます。

監督はショーン・S・カニンガム。
ウェス・クレイブンと「鮮血の美学」を作って世界中に衝撃を与えた人です。

音楽はハリー・マンフレディーニで、殺人鬼が迫ってくるようなスリリングな曲を提供。
特に「チッ・チッ・チッ・チッ・・・ハッ・ハッ・ハッ・ハッ」は印象的でした。
ちなみに「Kill her, Mommy.」が語源で「キッ・キッ・キッ・キッ・・・マッ・マッ・マッ・マッ」が正解なんだそうです。

「13日の金曜日」が登場した1980年以降、さまざまなスラッシャー映画が登場。
その全てがこの作品から生まれたと言っても過言ではないと思います。
この作品もその後のホラー映画の歴史を変えた1本と言えます。


 


13日の金曜日PART2 (原題:FRIDAY THE 13TH PART2 )

アメリカ1981年度作品

初めて劇場で見たホラー映画です。当時小学2年生。泣きそうでした。。。

1作目はジェイソンの母親が死んだ息子の復讐として惨劇を引き起こし、最終的にアリスに殺されてしまいました。
この2作目では死んだとされていたジェイソンが母親の復讐のために登場!
ジェイソンは死んだはずじゃ・・・なんて野暮な事は考えずにいきましょ。
だって1作目の最後だって夢か現か曖昧なままでしたし。

ちなみに今作のジェイソンは例のホッケーマスクは被っておらず、エレファントマンのような麻袋を被っての登場です。
ホッケーマスクも格好良くて好きですが、この麻袋ジェイソンの方が不気味さでは上ですね。
また最後に見せる素顔もなかなかに不気味です。
使用する凶器は、アイスピック、ナタ、ナイフ、ワイヤー、ハンマーなど。

特殊メイクはアカデミーメイクアップ賞にノミネートされたりもしているカール・フラートン。
ジェイソンの素顔の他、ナタで顔面割りなど見せ場がいくつかあります。
また今作では、伝説の“事の最中”に二人まとめて串刺しのシーンも見れます♪

監督のスティーブ・マイナーはこれがデビュー作で、次のPART3も監督を務めます。
その後「ガバリン」や「フォーエバー・ヤング」、「ミスターソウルマン」なども監督してます。
最近では「死霊のえじき」のリメイク「デイ・オブ・ザ・デッド」も監督してましたね。




13日の金曜日PART3 (原題:FRIDAY THE 13TH PART3 )

アメリカ1982年度作品

これは80年代に一瞬起こった3D(立体)映画ブームに乗って作られた作品です。
DVDなどは普通の2D映像ですが、こちらに向かって何かが飛んできたり突き出してくるようなシーンが多いのが特徴。
また3Dとして作られたせいかどうかは不明ですが、画質がちょっとザラザラと荒れたような感じです。
見るに耐えない程ではありませんでしたが、できればデジタルで補正した映像で見てみたいですね。
ついでに、今の技術でこの作品を立体映像として見る事ができたら最高なんですが。

この作品でジェイソンはついにあのホッケーマスクを被ります。
そしてこの時点ではまだ人間っぽい風貌のジェイソンですが、既に不死身のようなタフさ。
首にロープをかけて突き落とされても、額を斧で割られても、ひたすら起き上がってきます。
格好いいわあ。

殺しの道具は包丁、編み棒、干し草フォーク、水中銃、ナタ、火消し棒など。
中でも逆立ちしている状態で股間からナタで切り裂かれるのと、真っ赤に焼けた火消し棒はキツイ!
あと素手で顔を押しつぶして眼球がポーンッ!と飛び出るところは可笑しいです。

特殊メイクアーティストは知らない名前が並びます。
しかし、クレジットこそはありませんが、スタン・ウィンストンと前作のカール・フラートンが参加しているそうです。




13日の金曜日・完結編 (原題:FRIDAY THE 13TH PART4 FINAL CHAPTER )

アメリカ1984年度作品

個人的には初期の13日の金曜日シリーズで一番好きなタイトルです。
このシリーズ本来のシンプルさが健在で、しかも物語はドラマティックな最後(?)を迎えます。

監督は「ローズマリー」のジョセフ・ジトー。
特殊メイクは自ら創造したジェイソンに止めを刺すべくトム・サヴィーニが戻ってきています。
殺し方はノコギリで首を切ったりする大技もありますが、刃物が体を貫通するパターンが多いです。
彼の得意パターンですね。
素手で頭蓋骨を潰したり、顔面にナタを食い込ませたりといった殺人シーンもトム・サヴィーニらしいです。
またホッケーマスクの下の醜いジェイソンの顔と、その死に様も見ものです。
ちなみにケビン・イェーガーも参加しています。

物語の鍵を握るのはコリー・フェルドマン演じるトミー・ジャービス少年。
このホラー映画マニアの少年についにジェイソンは倒される事になります。
しかしこの後トミーはジェイソンの影に怯えて生きる事になるのです。。。



新・13日の金曜日 (原題:FRIDAY THE 13TH A NEW BIGINNING )

アメリカ1985年度作品

題名に「新」が付く作品は亜流作品が多かったりしますが、これについては正統なシリーズ5作目。
とはいってもちょっと番外編的なお話ですが。。。

前作でジェイソンの恐怖から精神を病んだトミーが入所する精神病院で、またもや殺人事件が発生。
犯人は死んだはずのジェイソン?それともジェイソンとの戦いで精神を病んだトミー?

この5作目では犯人探しの要素もあってちょっと異質な13金かもしれません。
マスクのデザインが前作からちょっと変わってるのがポイントかな。
犯人はかなり意外な人でいささか強引な結末ではありますが。。。

殺しの方法はかなり残虐。
皮ベルトで頭蓋骨を締め込んでみたり、目を巨大なハサミで切り裂いたり、発炎筒を口に突っ込んだり。
特殊メイクはデイビッド・ミラーやマーティン・ベッカーが担当。
もちろんお約束の斧やナタも登場しますよ~。



13日の金曜日PART6ジェイソンは生きていた! (原題:FRIDAY THE 13TH PART6 JASON LIVES )

アメリカ1986年度作品

これは13金シリーズの中で一番アクション要素が強く、またユーモアもあり、話のテンポも良いので最もエンターテイメント色が強い作品です。

まずオープニングの007のようなジェイソン登場シーンが最高にかっちょいいです。
それからアリス・クーパーが歌うエンディングテーマ「He's back(The man behind the mask)」も素晴らしい。

ストーリーは前作からジェイソンの幻影に悩まされ、精神病院暮らしをするトミーが主役。
今回は悪夢と決別するためにジェイソンの墓を暴き、死んでいることを確認しに行きます。
でもこれが大失敗。墓に眠っていたジェイソンの死体めがけて憎しみをこめて鉄パイプを突き刺すトミー。
そこへ何とタイミング悪く雷が落ちてしまいます。
フランケンシュタインの怪物よろしく息を吹き返すジェイソン。
そこからジェイソン怒涛の殺戮が再開です。

特殊メイクやゴア描写はさほどなく、参加アーティストも前作のマーティン・ベッカーくらいしか知ってる名前がありません。
でもダークヒーローのごとく格好良く描かれたジェイソンにホレボレしちゃいます。



13日の金曜日PART7新しい恐怖 (原題:FRIDAY THE 13TH PART7 THE NEW BLOOD )

アメリカ1988年度作品

ジェイソンと超能力少女との戦いを描いたシリーズ7作目。
超能力少女という新要素を用意したことで、マンネリ化していた13金シリーズに新しい風を取り込んだ野心的作品です。
6作目はアクション映画のようにスピーディでしたが、この7作目では様々な凝った仕掛けを用意したことで、今までのシリーズとは違う娯楽性を持たせています。

監督はエンパイアピクチャーズの作品で特殊効果を担当していたジョン・カール・ビュークラー。
監督が特殊効果マンなだけあって、今回はジェイソンの造形にも力が入って骨が見えちゃうくらい腐乱させられてます。
でも体系はがっちりと筋肉質。格好いい。
今まで生き残ったヒロインはキャーキャー逃げ回ってばかりでしたが、超能力少女は能力を駆使して積極的に戦います。
ちなみに、洋風の蛯原友里っぽくてかわいいです。

ジェイソンのメイクは気合が入っているのですが、前作同様ゴアシーンは控え目であまり見せてくれません。
このシリーズも後半は収入が落ちていたようなので、興行を考えて年齢制限を下げるための措置なのかもしれません。

エンディングはファンタジーっぽい結末で、個人的にはホロリとさせられて好きです。
でも人によって好みが分かれるところかもしれませんね。



13日の金曜日PART8ジェイソンN.Y.へ (原題:FRIDAY THE 13TH PART8 JASON TAKES MANHATTAN )

アメリカ1989年度作品

ジェイソンが修学旅行の船に紛れ込んでニューヨークに上陸してしまうという8作目。
前作の超能力少女に続き、付加価値を持たせた「13日の金曜日」です。

ニューヨークに上陸というアイデアは良かったのですが、個人的にはシリーズ中一番の駄作だと思っています。
まず展開がダルい。
劇中ほとんどがニューヨークへ向かう船の中での殺戮大会なのですが、盛り上がりも無く非常に退屈。
最後の最後になってようやくニューヨークへ上陸し、ここから大暴れするかと思いきや、地味に裏通りや地下でこちゃこちゃやるだけでニューヨークらしい場所での活躍はほんの僅か。
わざわざ舞台をニューヨークに移した意味がない気がしましたね。
あと殺害方法が地味なうえに特殊メイクがショボイので、ホラー映画らしい満腹感がないのもマイナスポイント。

面白くなりそうな要素はあったのにそれを活かしきれていないのがこの作品のダメなところですね。
ユーモアのセンスも悪くなかったのに本当に惜しいです。



13日の金曜日ジェイソンの命日 (原題: JASON GOES TO HELL: THE FINAL FRIDAY )

アメリカ1993年度作品

この作品から映画会社がパラマウントから「エルム街の悪夢」のニューラインシネマに移行しました。
それが良くも悪くも…という変化をこの人気シリーズにもたらせています。

冒頭、クリスタルレイクと思わしき森の中で罠にハメられたジェイソンは、狙撃隊の攻撃を受け、体を木っ端微塵にされてしまいます。
肉片と化したジェイソンは遺体安置所へと運び込まれますが、何とそこで心臓のみがドクンドクンと脈を打ち始めます。
それを見た安置所の検視官のおじさん、何かに取り憑かれたようにジェイソン心臓をムシャムシャと食べてしまいます。
これにより検視官のおじさんの体にジェイソンの魂が乗り移り、次々と殺人を繰り返していきます。
すると、そんな信じがたい状況をなぜか全てお見通しの賞金稼ぎのおじさんが突然登場。
一連の殺人は死んだはずのジェイソンの凶行だと言い切り、またジェイソンは血縁の体を得る事で元の自分の体を手に入れる事ができると言い放ちます。
そんな前振りがあり、ジェイソンの妹とその娘と孫がジェイソンに狙われる事になります。。。

もう脚本が最悪です。穴だらけ。
まず、前作パート8でニューヨークの下水に消えたジェイソンはどうやって生き返ったのか、という説明も無し。
また賞金稼ぎのおっさんが何故ジェイソンに詳しいのかも有耶無耶のまま話は進んでいきます。
こういう肝心なストーリーの欠落、勝手な解釈で展開する部分が多く、鑑賞者の解釈に甘えた作りです。

そしてこの作品、お馴染みのホッケーマスク姿でジェイソンが登場するのは最初と最後のほんの僅かな時間のみ。
色々な人間の体を乗っ取って暴れていく訳ですが、後半では「エイリアン」のチェストバスターのようなクリーチャー形態を披露。
シリーズ自体、人気が下降線を辿っていたので起死回生を賭けての大勝負だったのでしょうが、こうなると最早「13日の金曜日」では呼べません。
「13日の金曜日」として見なければまあ見れない程ではないんですが、これは「13日の金曜日」ですからねえ。
人気が陰ってきたとはいえ、ファンが大勢いるシリーズなのにその期待を裏切り過ぎましたね。
ジェイソン愛が感じられないのが猛烈に悲しかったです。

ジェイソン愛が無いのに、所々に他のホラー映画への愛をチラつかせているのもイラっとする所。
「死霊のはらわた」の死の書が出てきたり、ジェイソンにトドメを刺せる剣の雰囲気も何となく「死霊のはらわた」や「オーメン」の剣っぽい。
そして最後の最後、後にジェイソンと対決する事になるあのホラーヒーローとも初共演を果たしています。
でもそんなお遊びが許されるのは、ジェイソン愛のある作品である事が大前提。
制作陣はそれを理解していなかったんですね。
製作にシリーズ生みの親であるショーン・S・カニンガムが名を連ねているにも関わらずです。

ただ、特殊効果はカーツマン/ニコテロ/バーガーの特殊効果会社KNBエフェクツが担当してるので見所は多いんです。
体を真っ二つに引き裂いたり、ドロドロと溶けさせたり、あの手この手で派手な特殊効果を見せてくれます。
特殊効果マンたちは頑張ったのに作品がこれじゃああまりにもかわいそうです。。。

次の「ジェイソンX」共々、「13日の金曜日」シリーズのスピンオフ作品として、パラマウント時代とは切り離して考えるべきだと思います。



ジェイソンX 13日の金曜日 (原題:JASON X )

アメリカ2002年度作品

以前ここで「先入観を捨てて見る事ができれば評価できると思う。残念ながら自分には無理でしたが。」と書きました。
最近、10年ぶりくらいに見直したのでレビューを書き直してみます。

この「ジェイソンX」は記念すべき10作目にしてシリーズ最後の作品となりました。(リメイクは除外)
制作は9作目「ジェイソンの命日」と同じニューラインシネマ。

2010年、ついに生きたまま捕らえられたジェイソン。
クリスタルレイクの研究所でその肉体が研究材料にされようとしていた。
しかしジェイソンが黙って切り刻まれるはずもなく、自ら拘束を解き、政府の関係者を次々と殺害する。
機転を効かせた女性科学者ローワンにより冷凍保存装置に放り込まれたジェイソンは冷凍保存される。
しかしジェイソンが装置に穴を開けたために冷気が吹き出し、部屋ごとローワンも冷凍されてしまう。
それから時は流れ、2455年。地球は環境が破壊され人類は他の惑星に移住していた。
そんな荒廃した地球に、教授と共に学生たちが学習のために訪れ、冷凍されたジェイソンとローワンを見つける。
宇宙船内に運び込まれ、ローワンは蘇生装置に復活、ジェイソンは自慢の生命力で自力で復活を遂げる。
船内で学生たちを殺し始めたジェイソンに、学生に同行していた屈強な兵士たちが立ち向かうが歯が立たない。
最早ダメかと思われた時、女性型アンドロイドが兵器を装備し、ジェイソンの体を吹っ飛ばす。
完全に体の機能を停止したジェイソンだったが、死んだ場所が運悪く蘇生装置の上。
吹き飛ばされた頭、腕、胴、足などを蘇生装置が金属で再生、強靭な体のジェイソンとして生き返らせてしまう。。。

今回も前作同様スピンオフ的な作品ですが、作り手が完全に吹っ切れてます。
ここまでムチャクチャやればもうコメディですね。
前作のラストで地獄に落ちたはずじゃ…なんて事も気にさせないパワーがあります。
そういうパワーが前作には足りなかった。
メタル・ジェイソンはホッケーマスクもデザインが変わってしまいますが、それすら許せてしまいました。

そんな作り手の悪ノリに同調したのがデビッド・クローネンバーグ監督。
この作品ではスタッフとしてではなく、研究所の博士として出演、瞬殺されてしまいます。
ホラー界の大物監督がB級ホラーヒーローにやられちゃうなんて笑えます。

「ジェイソンX」の脚本は、兵士役として出演もしているトッド・ファーマーが書いています。
最近では「ブラッディ・バレンタイン」や「ドライブ・アングリー」にも脚本家&俳優として参加しています。
この人のブッ飛んだ脚本のおかげで、「ジェイソンX」はここまでのパワーを得られたのでしょう。

監督のジェームズ・アイザックはクリス・ウェイラスと共に「グレムリン」やクローネンバーグ作品等の特殊効果を担当し、また「ジェイソンX」の他に数本のホラー映画を監督して、2012年に51歳で亡くなってしまったようです。
そんな経歴を見ると、デビッド・クローネンバーグがこの作品に参加した経緯も何となく見えてきますね。

いや~、以前見た時よりも10倍楽しく見る事ができました。



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