アメ車マニア


遊星からの物体X (原題:THE THING)

アメリカ1982年度作品


南極大陸のアメリカ基地。
そこへノルウェー基地の人間がヘリコプターで犬を追ってやってくる。
犬に向けて銃を乱射したため、アメリカ基地の隊員に撃ち殺される。
隊員たちがノルウェーの基地へ偵察に行くと、焼け落ちた建物と、変形した奇妙な死体が転がっていた。
そして基地の裏では、氷の中に埋まった発掘途中のUFOを発見する。
ノルウェー基地は秘密裏にUFOの発掘作業を行っていたのだ。
アメリカの隊員たちは、発見した遺体を基地へ持ち帰って調査する事にする。

その夜、基地で保護した犬が怪物に変形し、他の犬たちに襲い掛かった。
火炎放射器で倒すが、それから徐々に隊員たちの行動にも異変が表れ始める。

調査の結果、ノルウェー基地が掘り出した未知の宇宙生命体が襲った相手を吸収、姿をコピーしていた事が判明。
そして、犬の姿でアメリカ基地内に入り込んだ生命体が隊員の誰かの体を乗っ取り、紛れ込んでいる可能性が生じる。
誰がエイリアンなのか、見た目からは分からない。隊員たちは疑心暗鬼に陥っていく。。。

ジョン・カーペンター監督が「遊星よりの物体X」をリメイクした作品。
オリジナル版は2足歩行の宇宙人でしたが、リメイク版では実体を持たず、生物の体を渡り歩きながら姿を変えていく細胞のような生命体になりました。
襲われた生物は姿を真似られてしまうため、一旦生命体に吸収されてしまうと正体が分からなくなってしまいます。
この緊迫感がたまりません。

特殊メイクアーティストのロブ・ボッティンでしょう。
人間からモンスターへと姿を変える場面は、特撮技術の見本市状態です。
人体を好き勝手に変形させ、全く新しい生物を作り出したロブ・ボーティンの想像力は素晴らしく悪趣味。
その技術を今の基準で評価しても全く見劣りせず、古臭さは皆無です。
その映像は言葉で表現するのは無理なので、未見の方はまあ騙されたと思って見てみて下さい。

主演はカート・ラッセル。
B級映画界のスターだったのに今や泣く子も黙るハリウッドスター。
「バックドラフト」みたいな名作もありますが、個人的にはこの作品を初めとするカーペンター作品に出ていた彼の方が好きでした。

音楽は何と、イタリアの巨匠エンニオ・モリコーネ!
あの「ニューシネマパラダイス」や「アンタッチャブル」のモリコーネ先生ですよ!!
でも出過ぎることなく、オープニングからいかにもカーペンターが書きそうな曲を披露してくれます。
ドンドーン…ドンドーン…と繰り返すシンプルな曲で見事に不安を煽ってくれます。

「ハロウィン」も「要塞警察」も「クリスティーン」も好きですが、カーペンター監督の最高傑作はこの「遊星からの物体X」だと思っています。
ところが、公開当時は評論家からのウケも、興行収入も芳しくなく、世間的には失敗作と認識されていました。
それが後年、一部の熱狂的なマニアのお陰で再評価される事になったんです。
まるでリドリー・スコットの「ブレードランナー」のようですね。
SFやホラー映画ファンなら、この映像は一度見ておいたほうがいいですよ~。

 


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