アメ車マニア


嗜肉の愛 ビヨンド・ザ・ダークネス(原題:BUIO OMEGA)

1978年イタリア映画


イタリア映画界が誇る迷監督、ジョー・ダマートの作品。
支離滅裂な作品しか撮れない監督かと思いきや、これに関しては意外とまともです。
ただ、それは映画の作りに関してで、中で行われる行為は完全に変態。

主人公はフランシスコという富豪の青年。
悪趣味ホラーの主人公としては無駄に美形ですが、動物の死体を集めるというネクロフィリアであります。
彼には結婚を間近に控えた美人の婚約者アンナがいたが、屋敷に住み込む家政婦アイリスにも思いを寄せていた。
アイリスはフランシスコの財産を手に入れる為、邪魔者のアンナに呪いをかけて殺してしまう。
悲しみに暮れるフランシスコは、動物の死体収集で得た知識を基に、アンナの遺体を剥製にするため遺体を掘り起こす。
そしてアンナをバンの荷台に乗せて自宅へ向かっているとタイヤがパンク。
修理している間にヒッチハイカーの女が助手席に乗り込んできてしまったため、仕方なく乗せたまま走り出す。
屋敷に着く頃にはヒッチハイカーは眠ってしまったため、車内に寝かせたままアンナの遺体を地下室へ運び込んだ。
アンナの遺体から内臓を抜き取ったフランシスコは、愛おしそうに心臓にキスしてから貪り付いた。
その姿を目覚めたヒッチハイカーに目撃されてしまい騒がれたため、とりあえずペンチで爪を引っぺがしてから絞殺。
遺体は家政婦アイリスの協力で酸によって溶かされ、庭に埋めて隠蔽された。
ヒッチハイカーの乱入騒ぎはあったものの、無事剥製にされたアンナはフランシスコのベッドに寝かされ、共に暮らす事になる。
しかし目を見開き横たわるだけの婚約者では満足できないフランシスコは、若い女を自宅に連れ込んでは毒牙にかけた。
女性を殺す度に証拠隠滅に協力してくれたアイリスに対し、今まで以上の愛情を感じたフランシスコは彼女の求婚を受け入れる。
近親者を集めて結婚パーティを開いた直後、屋敷にアンナに瓜二つの双子の妹、エレナが訪ねてくる。。。

エロとグロ、ユーモアと狂気が絶妙に絡み合ってるのがこの作品のポイントだと思います。
アンナの遺体を眺めるフランシスコの股間をアイリスが弄り始め、フランシスコが恍惚の表情を浮かべるなんて相当ヤバイ。
若い女を寝室に連れ込み、事の最中に隣のベッドに被されたシーツを剥いで、現れたアンナの顔を眺めるなんてのも狂ってます。
遺体を切り刻んだ後にカレーを汚らしく豪快に食べる家政婦を見て、フランシスコが気分を悪くして吐いちゃう場面なんかはなかなか笑えます。

特殊メイクは非常に良く出来ています。
まずアンナの遺体を剥製にする場面では、メスが皮膚を切り裂き、腹部から腸を引きずり出すシーンがリアル。
脳味噌を吸い出すためのノズルを鼻に差し込む場面も本当にやっているかのように見えます。
ヒッチハイカーの解体、ジョギング美女の喉笛噛みちぎりと、グロシーンの見どころも多数。

音楽は「ゾンビ」と同じくイタリアのプログレバンド、ゴブリンが担当。
やはりイタリアンホラーといえばゴブリンですな~♪

ジョー・ダマートの他の作品を知っている人や、世間の評判を聞いた事のある人が見たら、絶対に「な~んだ、まともな映画作れるんじゃん。」と思うはず。
扱ってるテーマはとことんえげつないですが、作品としては十分見れるクオリティです。
ただ残念な事に日本ではDVD化されていない模様。自分も昔中古で手に入れたVHSで見てます。
日本語版DVDが出たら、食いつくマニアは結構いると思うんだけどなあ。

 


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